タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

東京宝塚劇場公演「ひかりふる路」「SUPER VOYAGER」/5回目(中継)

なんというか、望海ロベスピエールが剥き出しの感情と質量のある歌声でひたすらに殴りつけてくる、そんな狂乱の一時間半(わりとマジで)。映像に切り取った時点で別の作品になるのが舞台作品の常とはいえ、あまりにも自分が見てたものとは別のものが出てきたので、映画館で死ぬほどびっくりした。おかしい……私が知ってる「ひかりふる路」となんか違う……。でもめちゃくちゃ新鮮で楽しかったし、カメラワークひとつで全く別の作品になる、というのが、中継(=映像化)の面白いところでもあり難しいところでもあるよなあ、と改めて思った。宙組宝塚千秋楽は、「自分の視点に限りなく近い/だからノーストレス」で、今回の雪組は、「自分の視点とは全然違う=別の作品を見てるみたい/だから印象が変わって面白い」って感じ。素敵なカメラだった(ちなみに宙組東宝千秋楽のアレは放送事故です)。

てことで、テキトーな感想を以下に。

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・千秋楽だからか、望海風斗のリミッターが完全にブチ切れてる(怖い)。

・やたらとカメラが朝美絢を抜くので、サンジュストロベスピエールに向ける、ちょっと正常な範囲を逸脱したヤバめの「独占欲」みたいなものがびゃんびゃん伝わってきて面白かった。特に、彩風ダントンが「革命も一段落したし、お前も結婚しろよ」とか何とかロベスピエールに言う場面(そこでエレオノールじゃなくて、サンジュストを抜くのって生田先生の意向なの?)。チラチラ映る朝美サンジュストが常に、「あなたの偉大さを一番理解しているのは僕なのに」みたいな顔してて、思わずヒェッってなった(怖い)。

サンジュストロベスピエールに向ける感情っていうのは、まあ、ラブではない(サンジュストは別にロベスピエールに愛されたいわけではない)ので、ロベスピエールの結婚とか恋愛を忌避するのは別に嫉妬とかでは全然ない、と思うんですけど。ただ、ロベスピエールに対する神格化がちょっと行き過ぎてるせいか、「凡百の女にあなたの価値が分かるもんか/そんな女、あなたには相応しくない/妻なんて、あなたには必要ない」ってスタンスで一貫しちゃってるような気はするんですよね(例え、美貌と知性と教養を兼ね備えたスーパーウーマンでも、サンジュストが認めることはないんじゃないかと)(サンジュストがいる限り、ロベスピエールは結婚できねえな……)(妻=友人って置き換えると、友達もできねえな……)。

・あと、演ってる朝美絢がああいう美貌の人なので、サンジュストロベスピエールに向ける視線に、「少女の純粋で潔癖な恋着」めいたものが見え隠れする瞬間があるのが、なんというか、話(というか二人の関係性)をややこしくしている気がする。潔癖な年頃の少女って、たまにギョッとするほど残酷な一面を見せたりするじゃないですか。あの感じが実にサンジュスト

・しかし、映画館のスクリーンのアップに耐え得る美貌って一種の才能ですね。

・リミッターを跡形もなく破壊した望海風斗の顔がわりと「どう見えるか/どう見せるか」っていう計算を失って乱れがち(!)だったんですけど、なぜか不思議とそれがかっこよくて、キレイではないのに美しくて、印象的。特に、ダントンの裏切り発覚から、恐怖政治に至るまでの一連の流れのところ。疲れ果てて憔悴しているのに、目だけが爛々と輝いていて、額に落ちた髪が色っぽくて、めちゃくちゃかっこよかった。望海風斗って白目が大きいのが、舞台で映えるなあ。贔屓目入ってます!

・「全てだ!全てをやるんだ!!」がなくなったのがいまだに悲しい。

・敢然と処刑台に赴くロラン夫人に夢中すぎたせいで、ジロンド派の処刑の場面のロベスピエールサンジュストを中継で初めて見た、ような気がする。やれ、って指示を受けて超嬉しそうだった。サンジュストくんって、ロベスピエールを見るとき大体恍惚としてるよね……。

・「今こそ彼の言葉を聞こう!」って言葉でせり上がってきたロベスピエールが銀橋を渡るところ、銀橋のライトが端から順に点灯していくのが夢のように美しかった。革命が最も輝いていた瞬間、彼らの目に写るのは間違いなく明るく輝く未来で、目の前にはひかりふる路が真っ直ぐに伸びていた。彼らの結末を知った上で見るとき、「これからも三人で仲良くやるんだ!」よりもむしろこの場面で泣きそうになる。望海ロベスピエールの歌声が希望に満ち満ちているのでなおさら(あと、この歌が祭典で繰り返されるのがまた、憎い演出だなあ、と)。

・寄り気味のカメラと迸るパッション!のおかげで、これまでで一番マリーアンヌが理解できたような気がする千秋楽。彼女の「私は二度も家族を失った/家族だけじゃなくて愛する人も」みたいな台詞、「二度」が「愛する人」にも掛かっているように聞こえて好きです。「私が愛したあなたもまた、革命に奪われた」って、マリーアンヌなりの精一杯の告白じゃないですか。同時に「今のあなたを愛してはいない」っていう決別の言葉なのが残酷なんだけど。

ロベスピエールの説得に失敗したダントンの頬に流れる一筋の涙。なのに、湿り気のない声で、別れを告げるのが、最高にかっこよかった。ビジュアルじゃなくて(この公演、メイクは正直失敗してた気がする)、その生き様がかっこいい。彩風咲奈に関しては正直、贔屓目入っているので冷静な判断ができない。

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・超変化球な月組の後だったので、王道には王道のよさが(いつもの宝塚のよさが)あるんだよなあ、って思った。バッディ最高だったですけどね。少なからず、アイデア一発勝負!みたいなところはあるので。

・前回くらいから、オープニングの歌詞に慣れてきたような気がしてたんだけど、全然そんなことなかった。やっぱり恥ずかしかった。特に、「俺が暖めてあげる」「ギュって」のあたり。星組エンターテイナーにも似たような歌詞があったんですけど、野口幸作のツボなんですかね……。

・暴風雪は中継で見ると結構アリでした。

 

 

月組大劇場公演「カンパニー」「BADDY 悪党は月からやってくる」/1回目

良いニュースと悪いニュースがあります。「バッディが最高に面白くてかっこよくてテンション上がる素敵なショーだった」というのが良いニュースで、「カンパニーが突き抜けた駄作じゃないけど通うのがツラいやつ」っていうのが悪いニュース。バッディにはもれなくカンパニーがついてくるよやったね!(白目)

いや、カンパニーもヤバイくらいの駄作では全然なかったんですけど。ただ、最初からなかったことにするくらいアレだったわけじゃないせいで逆に判断が難しいんだわって、今頭を抱えてる。何回くらいなら楽しく見れるんだろう。二回目くらいまでならブーブー文句言いながらもそれなりに楽しく見れるのかなあ(分からん)。悩む。

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そういうわけで、諸々感想。

・完全オリジナルだったら「意外と石田昌也いけるやん」って言ってた可能性が微粒子レベルで存在する。言うほど悪くなかった。ただ、原作読んで期待してたものとは全然違うやつが出てきたので、なんかコレじゃないんだよなぁって評価下がっちゃったところがあるし、あの原作ならもっと面白くできただろ……ってどうしても思っちゃう。ホント、絶対もっと面白くできただろ……

・私が嫌いな石田昌也(社会風刺しちゃうオレカッコイイだろみたいなところ(死ぬほどダサいし面白くない))は、本人比で控えめ(あくまで本人比)。とりあえずホッとした。

・最初から最後までダイジェスト進行で、それ自体はいいんだけど、場面が変わるのがホントに場当たり過ぎて、え、どういうことなの(心象風景なのホントの舞台なの何なのさっきの話はどうなったの)って混乱させられて全然入り込めないんですよね。で、その後に説明台詞で補完されるんだけど、後から説明されても「あ、そう」ってなるじゃないですか。徹頭徹尾その構成なので、盛り下がること甚だしかった。「あ、そういうことね」じゃなくて、「あ、そういうことだったのね(分からないまま終わったじゃん)」みたいな。二回目は分かってるから楽しくなるかもしれないし、知ってるから分かるけど普通は分かんないだろ!!(ちゃんと構成しろ)って余計に発狂するかもしれない。

・盛り上がると思ったフラッシュモブが全然盛り上がらなかった。ていうか、「フラッシュモブ大成功でしたね!」みたいな台詞で分かったけど、なかったら(前の場面で)フラッシュモブやってたってことが分からないレベル。フラッシュモブってこういうのでしたっけ……?あれ……?普通の夏祭りイベントになってたよ……?

・なので、いい役になると思った山田重役が全然いい役じゃなくて、山田重役って役名がついてるだけのモブになってた。残念。輝月ゆうまは可愛い。重役設定も消えてた気がする。

・青柳と美波が「お互い憎からず思ってる」みたいなレベルじゃなくてわりとはっきり恋愛する(あと作中の時間経過がほとんどないように見える)ので、奥さんが二年前に亡くなったっていう設定が最近過ぎる気がした。まだ二年しか経ってないのにアレって、青柳どんだけ手が早いんだ(そういうキャラじゃないじゃん……)

・高野が出て行った直後に「フラッシュモブとかやったらチケット売れますよ!」みたいな話してるのが意味わからなさ過ぎて混乱した。そういう話するタイミングか…? 追いかけようよ。そりゃ高野さんもウィーンに帰るよ。

・踊りまくる暁千星がすごくよかった。意外と蒼太の比重が上がってて、那由多の比重が下がってる印象。月城かなとって踊れる人ではないんだな、ってのは把握した。

・青柳さんも踊りましょうよ!って言われて珠城りょうが上着脱がされてベスト姿になるのが個人的にはハイライトでした。あと、シャツ姿。

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・ピースフルプラネット(不穏)。すごい深読みしなくてもディストピア感溢れる管理社会だわこれって開幕十秒で把握。でもフワッと漂わせるだけに留めてあって、スパイスであり背景のアクセント程度のブラックさ。ちゃんとかっこよくて、楽しくて、ひたすらテンション上がるショーだった。体感時間めちゃくちゃ短い。

・最初から最後までストーリー仕立てなのに、ちゃんと中詰めがあって、ロケットも(ストーリーの一部として)やって、デュエットダンスもパレードさえも話に織り込んでやり切ってしまうという構成が見事の一言。何回も言うけど、ちゃんとショーとしてかっこいいんですよ!

・珠城りょうの短髪いいなあ。これでトートもやろうぜ。

・珠城りょうが美弥るりかを「スイートハート」って呼んだの、「ダーリン」とか「マイハニー」的なやつ(海外でよくある恋人に対する呼びかけ)だと思って死ぬほど興奮した(役名だとは知らなかった)。

・美弥るりかのキャラクタは、ちょっと今までの宝塚にはない感じの珍しいとこついてる気がする。すごく良かった。印象的。いわゆるよくある「オカマキャラ」ではなくて、女言葉は使うけどかっこいい男の人で、女の装い(※)をするとハイパー美女で、珠城りょうの恋人(※女装ではない、と思うんですよね。説明しづらい微妙なニュアンスなんですけど。「今日は女で行くわ」くらいの感じというか)

・輝月ゆうま……!

・「悪いことがしたい/いい人でいたい」みたいな歌詞がわりと好き。結構真理だよなあ、って思った。人間、悪いことはしたいし、いい人でいたい。

・銀橋で膝枕してもらう珠城りょうが最高にかっこいい(あとそこはかとなくエロい)んだけど、この場面、本舞台もかっこいいのでどっち見たらいいのか混乱する(そしてどっちも満足に見れない)。

・デュエットダンスのリフトがなんか変わったタイプのリフトですごくよかった。軽々と回す珠城りょうも、キレイに回される愛希れいかもさすが。

・宇月颯がかっこよくて、暁千星がかわいい。知ってたけど再確認。あと悪になった月城かなとが、フロント企業の社長みたいで素敵だった。

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とりあえず、チケット買い足した。上田久美子の芝居も好きだけど、ショーもまたやって欲しいなあ。上田芝居久美子と上田ショー久美子に分裂してくれないかな……

 

 

雪組東京宝塚劇場公演「ひかりふる路」「SUPER VOYAGER」/4回目

WSSがああいう救いのない悲劇だったので、ショーが妙に楽しかった。「宝塚ってどんな悲劇でも終わった瞬間、ポップな曲でラインダンス始めるじゃんどうなのそれ(雰囲気台無しじゃん)」みたいな意見に、今なら胸を張って言える。それが宝塚のいいところだし、ショーは正義!(「星逢一夜」のあとに、「ラ・エスメラルダ」がなかったら辛過ぎるじゃん……みたいな話です)(ただまあ、雰囲気台無しじゃん、って意見も分かる)。

そういうわけで諸々感想は箇条書きで。

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・恐怖政治の場面に結構大きい変更があってびっくりした。「徳なき恐怖は無力である」が、「徳なき恐怖は忌まわしく」(こっちの方が意味的には通ってる気はする)になって、その手前に台詞が色々追加されてる、のかな(あまり記憶に自信がない)。分かり易くするための説明台詞追加だと思うんだけど、この話って基本的に戦争も内乱もそういう緒問題は全部サイレント処理されちゃうので、変に説明するよりも雰囲気で流している方がよかった気がしなくもない。個人的には望海風斗の「全てだ!」がツボだったので、なくなってて(というか、微妙にやり取りが変わってて)、ちょっぴり残念だった(「全てだ!全てをやるんだ!!」って言った瞬間の、ロベスピエールの中にある天秤みたいなものが、ガン!って振り切れちゃった感が好きです!)(でも東京ではなかった残念)。

・「ダントンとデムーランを処刑しました!(ウキウキ)」って報告するサンジュストが、ロベスピエールの反応を見ている内に、「あれ、もしかして、なんか……間違った……?」って徐々に表情を翳らせるあたりがなんか好き。意外とこの話って、サンジュストがマトモなんですよね。いかにも「狂信者」な役だし(片耳ピアスだし)、銀橋で抱き締めたり、あなたは神だって口走ったり……でヤバイ系って印象が先行するんだけど、実は真面目だしわりとマトモだし真人間といえなくもない(少なくとも、「恐怖政治」にまつわる諸々を正義と心底確信するような狂信者では全然ないし、やってることが「悪」に分類されることだってちゃんと認識してる)。序盤のつくりとか演出を見てると、元々はもっと突き抜けた狂信者になる予定だったのかなあ、って思った(場面場面でサンジュストのキャラが(脚本レベルで)ブレてるのって、そのせいなんじゃないかと)。

フーシェの「お姫様にはナイトが……」が相変わらずツボ。はったり利いてて、めちゃくちゃゲスい(褒めてる)。好きだなあ、真那春人。

・「至高の存在のための祭典を開くのです!」みたいな台詞の後に客席に漂う、「何言い出したんだコイツ」感。史実通りらしいけど、唐突感半端ないのと(私に教養がないので)、「うわあ、いよいよ宗教がかってきたゾ(※)」みたいなドキドキ感にハラハラした。(※ 宗教化(=中心人物の神格化)→教義の厳格化→異教徒の弾圧・教義違いの内紛、っていうルートが簡単に想像できちゃうというか……/革命派が既存の宗教を否定する(ことが多い)のって、革命(反体制組織)そのものに新興宗教的な側面があるからだと思うんですよね)

・で、フランス革命に限らずこういう革命モノって、うまくやらないと、いわゆる「学生運動っぽさ」みたいなのが出ちゃうんだなって思った(この場合の「学生運動っぽさ」っていうのは、安っぽいとか稚拙とかそういうことではなくて、山岳ベース事件的な陰惨さとか集団心理(=総括!とかいってリンチしちゃうノリ)と、カルト宗教化的な部分です)。これは生田大和の脚本に、学生運動に対する思い入れみたいなものがないせいもあるかも。

・祭典の背景のピラミッドがくるりと回転してギロチン(を模した斜めライン)になるところ、皮肉な(革命の理想も理念も裏返せばギロチンでしかない、みたいな)演出で毎回いいなあって思う。

・「人生の喜びを知らないやつが、人に喜びを与えられるわけがない」みたいなダントンの台詞と一連のやり取りがすごく好きで、そのせいで彩風ダントンに甘い自覚アリ。「人を幸せにしようと思うなら、お前がまず幸せにならなければ」っていう彼の言葉は間違いなくロベスピエールの耳に届いたし甘く響いたんだけど、だからこそ、その言葉をロベスピエールは受け入れることができなかった(望海ロベスピエールは心のどこかで、自分への罰を求めてるので)。それを分かってるダントンがそれでも、「お前は幸せになっていいんだ」って振り絞るように言うのが切なかった。

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・通路際の席だったので、オープニングの客席降りですでにウキウキ。手が届きそうな距離で踊ってくれる、なんなら視線もくれる(錯覚じゃない、ハズ)ってことのインパクトたるや!!すごく楽しかった。まあ、ヘタレなので、あまり近過ぎるとどこを見ていいのか分からなくなるし、手を伸ばしてハイタッチしてもらうような積極性も持ち合わせてないんですけど……

・恥ずかしい歌詞には慣れてきた。慣れてきちゃった。

・中詰でせり上がってきた真彩希帆が「はあーい!」って叫んだ瞬間に私のテンションもマックス。

・真彩希帆も望海風斗も歌声が気持ちいい人なので、歌ってくれるだけでわりと満足。中詰せり上がりの歌とか、日記の場面の「天の海に輝く星に憧れて」の「てんの」の箇所とか狂おしいほど好き(望海の「海」は天海祐希の「海」なんだろうか)。あと、ロケットの銀橋デュエットとか、デュエットダンスの歌も好き。ていうか、大体全場面好き。

・野口幸作の選曲センスは全力で支持する。「曲がちょっとなあ」って思う場面が一つもなかった。

・スーツで踊る彩風咲奈がヒョイって、無造作に(でも高々と)足を上げるのが地味にツボ。あの、いかにも「踊れる人!」って感じが好き(ホントに踊れるかどうかは、この際問題じゃない)。

・彩風咲奈って珍しくパステルカラーが似合う男役なんだよなあ、って思うパレード。あの水色の衣装、結構難しい衣装のような気がするのに、めちゃくちゃ似合ってて嬉しい。人畜無害な顔して悪徳の限りを尽くすような役が一回見たいなあ。やってくれないかなあ。

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あとは、千秋楽中継で見納め、の予定。なんだかんだで、4回見れて良かった!

 

宙組東京国際フォーラム公演「WEST SIDE STORY」

夏まで待ち切れなかったのと、梅芸版は配役変わるよなあ、ってことで一念発起して見てきた。花組ポーに予算振り分けなくてもよくなったというのが多少影響してるかも(ポーに狂ってたらこんな余裕はなかったです)。あと、雪組をもう一回(生で)見たかったのも理由といえば理由。ま、東京って案外近いですし……

そういうわけで、わりとノリと勢いだけで行ったので、面白くなかったら(合わなかったら)どうしよう……って一抹の不安がなくもなかったんだけど、結果的にはすごく良かった!行って良かった!!

長いナンバーの繰り返しみたいな構成アンド単純なセットアンド舞台転換という冗長といえなくもない演出なので、序盤はわりと引き気味で見てたんだけど(※)、ダンスパーティーくらいからのめり込んでて、最後は自分でも引くほど泣いてしまった。ヤバかった(※ 喧嘩の場面がややソフト化されてる(?)せいでスピード感に欠けることもあって、序盤は特に、いかにも古いミュージカルだなあ、って印象)。

よくよく考えなくても、こういう「誰かがはっきりと悪いわけではない(この結末を望んでいた人は誰もいない)、にも関わらず、悲劇的な結末に至る話」っていうのにめちゃくちゃ涙腺弱いんですよね。トニーがマリアの死を報された直後から泣きっ放しで、最終的に泣き疲れてしんどかった。フィナーレでもまだ立ち直れなかったくらい。Wで予定組まなくて助かった(ていうか、午後に雪組入れてショー見てテンション上げて帰れる工程組んだ過去の私超有能だわ)。

てことで、諸々適当な感想を箇条書きで。

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・恋に浮かれまくる真風涼帆(違う、トニー)可愛い過ぎるだろ!だけでわりと一幕の感想を言い切った感がなくもない。ドクの店に駆け込んできた時の「聞いて、ドク!」のウキウキっぷりといったら(声が可愛い)。もう少し上、二十代初め〜半ばくらいの年齢設定かと思ってたら、普通に十代の青年で、まさに青春真っ盛りの物語で、真風涼帆は違和感なく若かった(意外とこの人、若ぶれるんだよなあ)。ただまあ、桜木みなとと同世代かというと、桜木みなとがさらに若いだけにちょっと違和感がなくもないんだけど(それは仕方ないですね分かります)。

・全員スニーカーでなおかつ結構激しいダンスが多いので、身長補正ゼロなのかな。さすがの真風涼帆は補正ゼロでも全然小さくなくて、一際映える。かっこよかった。身長は正義。

・真風涼帆って金髪にシャツにデニム、の無造作な服装がめちゃくちゃ似合うんですよね。海外の若手俳優って言われたら信じる勢い。まあ、白シャツの下にババシャツ(しかもグレー)みたいなのを着てガッツリはだけるセンスはどうかな……?と思わなくはないんですけど(←白シャツデニムでデュエットダンス踊る場面/ぶっちゃけダサい)(とはいえ、悪いのは演出家か衣装担当であって、真風涼帆は何も悪くない)。

・予想(期待)通り、和希そらのアニータがめちゃくちゃいい女だった。「この女が選ぶ男はさぞかしいい男だろうな」って自然と思わせるような、粋でかっこいい、イイ女。もちろん美人でナイスバディでセックスアピールもあるんだけど、彼女の一番の魅力は顔とか身体以外のところにあって、ベルナルドもちゃんとそれが分かってる感じ。アニータを選んだ(アニータに選ばれた)ってだけで、ベルナルドの男ぶりがストップ高ですよ(元々かっこいいのに!大変!!)

・アニータのどこが男前って、二幕のトニーとマリアの初夜(!)の翌日に踏み込んだ場面。あの状況でマリアを責めないのは格好良過ぎでしょ……(アニータがこの作品で一番男気ある人物なのでは……?)。あと、チノを探すトニーの前にマリアが現れた時、彼女がすでにアニータの嘘を知ってるように見えるんですよね。アニータは嘘をついたけど(でもってあの嘘をつく気持ちは死ぬほど理解できちゃうんだけど)、帰ってからすぐにマリアに打ち明けたんだと思うと、より一層泣けて仕方がなかった(嘘をつくことになった原因の出来事(※)については絶対言わなかったと思うのでなおさら)。(※ すごくソフトに演出されてたせいで見る人によって解釈が分かれそうだけど、個人的には「ドクは間に合わなかった」と思ってます)

・マリアはわりと記号的なヒロインで、星風まどかはその記号的なところを完璧にこなしてるなあ、ていうのが第一印象。とはいえ、悲劇の連鎖の最初の一押しって、マリアじゃない? 決闘やめろなんて言わなきゃ良かったのに……(ストレス発散のためにやらしときゃいいのよ男ってバカね、っていうアニータがどこまでも正しい)ってあたり、結構難しい役のような気がしなくもない。最後の場面がすごく良かった。「触らないで!」に泣けた。しかし、「チノには何も感じないもの!」とか、マリアって結構辛辣なんだよなあ。

・真風涼帆と星風まどかの並びってどうなの?(犯罪じゃない?)とかって思ってたら、悪くなかった。真風涼帆が若く作ってるのもあって、ちゃんとお似合い! 可愛い二人。意外とロミジュリの方がハマったんじゃないの、って思った。

・男役は黒塗りすると戦闘力が三割増、っていう持論のせいか、終始ジェッツよりシャークスの方が強そうに見えて困った(但しこの力関係はトニーの加入でひっくり返る)。ジェッツに武闘派があんまりいない(ように見える)からかなあ。風馬翔はどちらかというと「気の優しい力持ち」感がある人だし。瑠風輝もキレたらヤバイ系には見えないし。星吹彩翔も明らかに武闘派じゃないし。あれ?宙組って意外と荒んでる系とか強面がいない……?

・そんな中、桜木みなとはわりとキレたらヤバイ系ができる人(私見)なので、リフという役はぴったりだった。若く見えるけど、でも実際若い役だし。周りも若いから似合ってる。ただこういう衣装だと身長補正できないのがツラいなあ、とは多少思った。大きさって絶対じゃないけど、手っ取り早く強く見せたいときには正義なんですよね……でも、それでもちゃんと、真風トニー/芹香ベルナルドと対等に見えたから良かった。

・あと、ベルナルドの男ぶりを上げるのがアニータなら、桜木リフの男ぶりを上げるのは綾瀬あきな!これまた、勝ち気でキュートで一歩も退かないイイ女。ダンスパーティーの水玉ドレスが素敵。アニータ率いる「アメリカ」みたいなナンバーが、ジェッツガールズにも欲しかったなあ。ちょっとでいいから。

・二幕の序盤、ベルナルドとリフの死を受け止め切れていない(妙に軽々しい)ジェッツがすごく座りが悪く思えたんだけど、意外とリアルなのかなあ、という気もする(そういう意味では、チノはジェッツの構成員たちよりも大人だった、のかな/なんとなく納得感はある)。

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・組長は喋ると人が良さそうな地がちょっと覗いちゃうあたり、クズ警官役としてはどうだろう……? 梅芸版は叶うなら、凛城きらあたりで見てみたいかも。

・フェンス越えがかっこよかった。ちょっとやってみたくなりますね(できるとは言ってない)。トニーは普通に登って越えるので、トニーさんはできないのかしらん?、とかって思ってたら、帰りはちゃんとやってた。行きもやればいいのに。

・オープニングでジェッツのメンバーがリンチに合う場面の、チアみたいなリフト(っていうのかな)。あれがめちゃくちゃかっこよかった。待ち上げられたトニーとマリアが倒れ込む(のを周りが受け止める)ところも良かった。

・ジェッツの「俺たちがぐれたのは半分くらいは社会のせい」みたいなナンバー(!)で、ソーシャルワーカーになりきってスカーフ被ってた男役の名前が知りたい。ちょっと凛城きらみたいに見えたけど、凛城きらは不滅に出てたから違う。誰!?

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そんなこんなでとてもよかった。夏はチケット頑張って通いたいなあ(でも朝夏まなとマイ・フェア・レディと被るんだよなあ)。

 

雪組ドラマシティ公演「ドン・ジュアン」/CS

ざっくり言うと、「愛というものを理解できなかった男が、愛を知ってしまった故に死ぬしかなかった話」……なのかなあ。面白かったし、いい作品だったんだけど、誰かドン・ジュアンに死ぬ以外の方法を教えてやってくれよ……って思っちゃったら、妙にやるせなかった。

確かにドン・ジュアンは他人の心を慮るということを知らない人で、自分の欲望に正直で、そのために周囲を傷つけることを厭わない最低の人間なんだけど、でもそれを心底悪いことだと理解してやっているわけではなくて、「悪いことだとは真に理解できなかった」人じゃないですか。やってることは控えめにいっても非道なんだけど、彼にはそれが「悪」であるということが分からなかった。「周囲の人間にどうして憎まれるのか/彼らが傷つくのか」が理解できなかった。少なくとも最初の内は。「愛」を知らない(理解できない)ことは別に彼の罪ではないし、(ドン・ジュアン自身の視点だと)悪いことなんてそんなにしてないのでは……?って思っちゃったんですよね。

もちろん、「こういうことするとどうも、周囲は嫌がるな(ひいては自分も憎まれて損だな)」って気付いてもうちょっと上手く(小器用に)立ち回る生き方もあったと思うんだけど(でも幸か不幸か、ドン・ジュアンはそういう人間じゃなかった、んですよね。彼には、憎まれても憎み返す強さがあって、憎まれないように周囲に迎合しようって保身を考えるような弱さがなかった。良くも悪くも、「”愛”なんて知ったことか」と言い捨てる激しさがあった)。

自分には理解できない評価軸(この場合「愛」)でもって自分に最低評価を押し付けてくる環境で生きるのなんて辛いばかりで、歪むに決まってるじゃないですか。それがドン・ジュアンの落ち度だとは思えないし、誰もが崇めるもの(=愛)を理解することができず(そしてそのことを「最低」だと評されたら)、じゃあその「愛なるもの」を徹底的に貶めてやろう、と思うのは(よほどの聖人でもなければ)当然の心理のような気がするんですよね。理解できない(だから得られるはずもない)のに、「愛がなければ人生に意味はない」って言われちゃったら、全身全霊で憎むしかない。「愛を理解できない」(そう生まれついた)ことが全ての元凶で最大の不幸なんだけど、ドン・ジュアン自身が同情されることを全く望んでいないので、どうしようもなく切なかった。

そういうわけで、わりと最初から最後までドン・ジュアンに肩入れして見ていたせいで、盛大に視点が歪んでるような気がします。

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残りの感想は以下、箇条書きにて。

・曲がどれも素敵でよかった。ちょっと歌い過ぎてるのと一曲が長いのとで間延びするところもなくはないんだけど、望海風斗が歌っている部分に関して間延び感を全く感じなかったので、歌に力があるのってホント武器だなあ、と。ちょっと贔屓目入ってる可能性は否定できないんですけど(ちょっとだけ!)。

・結構好きってデムーラン夫人で思ったところだったので、ヒロインが彩みちるで嬉しかった。マリアはまさにドン・ジュアンにとってのファム・ファタールそのもの。運命の恋の相手であり、破滅をもたらす女性であり、呪いであり、呪いからの解放でもある。きれいで、凛々しくて、真っ直ぐに育ったような、清潔な魅力のある人なので、ドン・ジュアンが愛を知る相手にぴったりだった。あと、可憐に見えて一瞬で彫像を破壊する豪腕の持ち主(わあ!ギャップ萌え!!(違う))。

・永久輝せあが輝くような美青年で、なおかつ超自然に無自覚に無神経(だけどちゃんとかっこいい)。そこらへんの演技が妙に上手くてびびった。「結婚したら彫刻なんて仕事は当然辞めてくれるね?」のくだりだけで、(ドン・ジュアンと違って一応貞操観念も常識もありそうな)マリアがあっさり恋に落ちた/衝動に身を任せたことが納得できた。だって、「それだけ愛されてるってことじゃない!」「幸せなことよ!」とか何とか言われている時のマリアって、明らかに「外堀を埋められてること」に絶望感じてるじゃないですか。無事に結婚してたとしても、マリアが幸せになる未来がさっぱり見えなかった。

・有沙瞳のエルヴィラがめちゃくちゃ怖かった。なんでまたドン・ジュアンはこんなあからさまに面倒そうな女に手を出したのか……(保身なんてものを一切考えない男だからですね分かります)(ホントに己の欲望に正直だな)。こっちの想像以上の速度でガンガン闇落ちしていくので(そして色々上手いので)、可哀相と思うよりもひたすら怖かった。

・彩風咲奈のドン・カルロは、善人ゆえに絶対にドン・ジュアンを理解できない人なので、まあ、なんというか「いい人の役」そのもので、彩風咲奈に興味がない人だと印象薄いだけで終わっちゃうような気がしなくはないんだけど、彩風咲奈が大好きな私としてはとにかく楽しかった。絶望的なまでに、ドン・ジュアンを理解していない(できない)っていうのが何をしててもビンビンに伝わってきて、それが面白くて堪らなかった。いやあ、不幸な友人関係だなあ(というか、友人でさえない、というべきか)。あと、良くも悪くも平凡な善人なんだけど、ドン・ジュアンとエルヴィラに惹かれている(見捨てられない)あたり、一皮剥いたら色々ヤバイ闇抱えてそうで気になった(邪推です)。

・あと騎士団長の亡霊が印象的かつめちゃくちゃかっこよかったんだけど、ちょっと解釈に迷ったところでもあって、「ドン・ジュアンの良心(の発露)」っていうのが素直な受け取り方なのかなあと思いつつ、個人的には、「ドン・ジュアンが自らに与えた(愛を求めるための)免罪符」と解釈したい。つまり、「愛を知らなくても、自分は別に不幸ではない」というのがドン・ジュアンの矜持で、だから彼は自分の存在意義に賭けて「不幸だと思われる」ことが我慢ならないし、「自分に愛など必要ない(愛なんて下らない)」って自分を縛って絶対に自分から愛を求めようとはしてこなかったんだけど、本人も意識していないところで周囲が有難がる「愛なるもの」への興味はあって、それを求める(得る)ための自分への言い訳(赦し)が騎士団長の亡霊であり、騎士団長の呪いなんじゃないかなあ、と。まあ、それで本当に、「愛」を得て(知って)しまったあたりがドン・ジュアンの引きの強さというか悲劇というか……なんですけど。

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・美穂圭子と舞咲りんがガンガン歌ってくれて、めちゃくちゃ気持ちが良かった。戦闘モード入ったこの二人を侍らして全然押し負けてない望海風斗はすごいと思う。

・あと、美女といえば、アンダルシアの美女。肉を極限まで削ぎ落としたようなお腹が、細いのに全く貧相ではなくて、牝豹!って感じの野性味に溢れてて、最高に格好よかった。いいものを見た。鍛え上げられた身体を見るのって純粋に楽しいので、下品にならない(痛々しくない)程度にこういう衣装がもっと見たい。

・衣装がどれも素敵で良かった。宝塚なのにほとんど着替えてないという珍しい公演(のような気がする)。

・オープニングの薔薇のインパクトが凄かった。あれは生で見たかったなあ。ていうか、なんでこの公演を見に行かなかったんだ私は…って盛大に後悔した。

 

 

宙組ドラマシティ公演「不滅の棘」

春野寿美礼がむちゃくちゃ歌ってた演目を愛月ひかるで再演とか大丈夫なの…!?とかって見に行ったら、これが全然初演とは雰囲気の違う仕上がりで、すごく面白かった。初演は(春野寿美礼の他人に一切興味なさそうな持ち味もあって)突き放したような冷たさみたいなのが全編に溢れてて、とにかくフリーダもクリスティーナも気の毒で仕方がなかった(Wヒロインというよりもヒロイン不在に見えた)んだけど、愛月エロールは比較的いい人で、全体的に優しい印象。雰囲気が全然違う。原作を知らないので、これはこれでいいな、と思った。愛月エロールはまだ人外になりきれていないので、まだ残っている「人の部分」みたいなところで永遠の生に耐え切れないのがすごく納得できる。

そういうわけで諸々適当に感想。

・ひたすらに春野寿美礼が歌ってた印象だったけど、意外とそこまででもなかった。結構歌ってるんだけど、愛月ひかるオンステージ!ってほどではない。あと、歌があんまりな人だと思ってたんだけど、そうでもなかった。普通に上手い。

・意外と澄輝さやとの弁護士助手がいい役だぞ…?あれ…?ってなったあたりで自分の記憶を疑い始めた。もっとハンスの方が印象強い記憶だったので意外。ちゃんと二番手役だった。記憶が間違ってるのか、初演からちょっと変わったのか、単に私がアル中彩吹真央にテンション上げてただけか。あるいは澄輝さやとを好きなだけか。

・フリーダが最初からちゃんとヒロイン!エロールに「情」があるように見えるので、ふづき美世に感じた勘違い女感がなくてすごく良かった。遥羽ららフリーダがとにかく可愛くて、見るからに若い女の子!って感じだからかなあ(キャンキャンしてても鬱陶しさみたいなものがない)(過去フリーダのふづき美世はすごく美しかったんですけど、あの人笑うと微妙な人なので、若い女の子の役が似合わないんですよね)。その分、クリスティーナが割を喰った印象はあって、初演から随分印象変わって見えた。少なくとも初演は、クリスティーナがヒロインに見える瞬間があったと思うんだけど、今回はそうでもない感じ。

・封筒を暖炉に叩き込んだフリーダに「よくやった」って言うエロールがめちゃくちゃ優しくて良かった。こういう優しい人に永遠の生命なんてものを与えて歪めてしまった父親はホントに罪深いことをしましたよね……

・白い衣装に白いセット。たまに色付きの小道具が入るとすごく印象的。エロールのショーシーンで幕が降りたらボックス席(を模した筒状のセット)が出てくる演出がよかったなあ。足を組んで微動だにしない澄輝さやとがギョッとするほど美しい。で、セットの内側が臙脂色なのがインパクトあって素敵。

・いつの間にか黄色い椅子に座ってたエロールさんに死ぬほどビビった。全然気づいてなかった。

・スター誕生で卵から出てくるの何なのギャグなの(大好きです)。

・コーラスガールの衣装がすごく可愛くて、彼女たちがどことなくエロールのことを理解してる感があってよかった。なんだかんだいいつつ、エロールさん意外とそれなりに楽しくやってきた…?的に。タチアナとハンスの修羅場を見ている時の顔がびっくりするくらい冷淡な辺りとか。

・さすが木村信司。衣装がどれも素敵。特にフリーダの衣装が好き。

・ タチアナがめちゃくちゃ美しくて上手くて、え、誰なの?って思ったら純矢ちとせだった。一幕の時点では気付いてなくて、二幕でなんで気付かなかったんだ私!ってなった(多分めちゃくちゃ若く見えたせい)。

・最後普通に泣いた。あの演出、ポーの一族でもやれば良かったのに……(大劇場だと映えないのかなあ)

 

花組大劇場公演「ポーの一族」

一応原作買って予習はしたものの、はいからさんよりも先に読んだので色々忘れてて、あんまり予習の効果はなかったような……。でもそれくらいでちょうどよかったのでは?、という気もしなくはない。過激な原作ファンが激怒したと聞いても、狂喜したと聞いても納得できそうな出来。通うとなると財布のダメージが半端なさそうだったので、一回見てそれなりに満足できる作品でほっとした。駄作ではないんだけど、傑作では全然ない……かなあ。でも、明日海りおのビジュアルだけで傑作やで!っていう過激派がいても驚かない(ただ個人的な好みだけでいうと、エドガーは装飾過多過ぎた)。

そういうわけでまったり箇条書き感想。

・制作発表会で「ポーの一族〜♪」って歌ってるのを聞いて、いくらなんでもその歌詞はダサいだろ……って脱力したんだけど、案外舞台で聞くと悪くなかった。お、始まるぞ!ってワクワク感を煽ってくれるオープニング(なお、その後に待ち受けるのは怒涛の説明場面の模様)。

・一幕がとにかく超説明モードで、しかもその出来があんまりよくなくて辛かった。登場から30秒くらいで退場(!)したユーシスの扱いとか色々言いたいことが山ほどある……ていうか、ちょっと説明台詞多すぎじゃないですかね……。特急ダイジェストも上手くやってくれたら好きなんだけど、今回の一幕は全部言葉で説明しちゃうのかぁ……って残念感が先行した。狂言回しの現代人たちが完全に説明役に回っちゃってるのが勿体なかったような気がする(日記なり本なりを朗読する体にするとか、もう少し雰囲気が欲しかった)。

エドガーがメリーベルを失ってアランを得るまでの話っていう主筋を変えられないなら、普通にアランとエドガーの出会いから始めて、回想でエドガーの半生を描いた方が収まりが良かったような。で、エドガーとアランの関係性ももうちょっと書き込んで欲しい。「どうして僕を選んだんだ……!」みたいなアランの台詞があるんだけど、え、君たちいつの間にそんな深い仲(違う)に!?って我に返りかけた。柚香光も明日海りおもすごくよかったので、単純に脚本の問題として。

・あと些細な点なんだけどめちゃくちゃ気になったのが、ギムナジウムとかパブリックスクールの生徒たちがスコッティ村の子どもたちと変わらないくらい庶民的なあたり(品がない、というと言葉がキツ過ぎるんだけど)。原作もそうだっけ?ああいう学校って監督生とかがいて、バチバチに規則に縛られてて、表向きはお行儀がよいものなのでは(そしてイジメはめちゃくちゃ陰湿(!)なのでは)……ノリがアメリカンで現代的過ぎて困惑した。受けるイメージよりも舞台上の設定年齢が低いせいかなあ、って気はする。

エドガーダンサーズで笑いそうになったんだけど、私は悪くないと思う。衣装合わせてくるのホントギャグだから概念的な役の衣装にして欲しかった……

・老ハンナの死に方がすごくよかった(ちゃんと、服を残して塵になる)。ただ制約があるのか、他のバンパネラたちは同じ演出で死ねなくて、リフトされてはけたりせり下がったりするんだけど、老ハンナはちゃんと服を残していったのに他の人は丸ごと消えるの!?って微妙に分かり難くて残念。老ハンナの死に方が完璧だっただけに色々惜しい。せめてメリーベルは同じ演出でやって欲しかったなあ(多分、何かしらの物理的設備的な制約があって無理なんだろうけど)。

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・明日海りおのエドガーは完璧ハマり役。そして意外なことに、柚香光のアランもハマってて素敵だった。この二人の関係に焦点が当たってる場面はどこも好き。小劇場公演でやった方が、意外と良かったんじゃないかなあ。ショーアップすればするほど、「ポーの一族」ぽさみたいなのが薄れちゃう気がする(でも大劇場公演ってある程度ショーアップしてくれないと舞台が埋まらないんですよね……)

・最後二人が幸せそうに見えなくもないので、後味が悪くないのも良かった。ギムナジウムの場面に蛇足感がなくもないんだけど、あった方が明るく終われる気がする。

・シーラ仙名彩世が美しくて、でもってこの人声が可愛いので、意外とメリーベルいけたのでは…?ってちょっと思った。仙名彩世がメリーベルなら、もうちょい踏み込んでエドガーメリーベルアランの物語にできたような気がするんですよね。もちろん華優希のメリーベルも可愛くてよかったんだけど。

・鳳月杏が悪い色男丸出しで、あれ?クリフォード先生って表向きはもうちょい誠実そうな(なおかつちょっと芋臭さのある)人じゃなかった……?ってなった。「粋なキスを知らなくて…」とか言ってるけど、とても田舎のプレイボーイには見えない怖い。 なので、ジェイン桜咲彩花が気の毒でとても良かった。好き。あと、原作でどうだったか分からないんだけど、男爵一家バンパネラって気付いたクリフォードが「ジェイン!」ってスッ飛んでいくとこに、女遊びはするけどなんだかんだ言ってジェインのことが好き、感を感じて結構ホッとする。この作品、性格的にマトモな人があまりいないから……ね……

・水美舞斗がすごく美しくて、二幕で長々歌う説明ソングが盛大にアレ(!)。結構歌える人だと思ってたので、不意をつかれておおう…ってなった。でも超美形だからセーフ。

・ホテルの支配人がいい声。多分和海しょう。多分。

・アラン母が花野じゅりあなのがすごく良かった。落ち着いた美貌と、溢れ出る「女として現役」感。好きだわ。

・フィナーレの男役群舞が死ぬほどオラオラしてて、すごく楽しかった。ポーの一族ぽさはあんまりないけど、ああいうの大好き。あと、デュエットダンスの衣装が素敵。

・貸切だったから、拍手が薄くてそこはちょっと残念。

・そういえばパンフレットが物凄く凝ってた。日本物ではないのに、謎のこだわり(?)で右開き/縦書き。綴じ込みピンナップ付。小池修一郎の挨拶が気合入ってて、念願叶ったんだなあ、と(萩尾望都の許可が三十年出なかったのではなくて、エドガー役者とポーの一族が出来る時代を待ってた、みたいなニュアンスだったけど)。あと、萩尾望都のコメントが意外と文章書き慣れている人のそれで、面白かった。

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そういうわけで、なんだかんだ文句はいいつつ楽しかった。チケットが確保できたら二回目行こうかな(無理だろうな……)って感じです!

 

2017年のタカラヅカ費用まとめ

2016年10月からわりと本気の家計簿をつけ始めた結果、2017年のタカラヅカ費用が1円単位まで明らかになったわけですが、これが結構面白い(そしてちょっと恐ろしい)ので、ここにもメモとして残しておきます。体感だけでいうと、ここ五年くらいで一番宝塚にお金を使った一年でした。

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宝塚に関する出費の合計:420,961円

遠征以外の交通費を含んでいないので、それを入れると45万くらいは使った計算。まあ、趣味に使う金額としてはけして少なくないですけど、常識外れなほど多いわけでもないかなあ、と。宝塚という趣味は、あまりかたちで残らないから楽でいいなと思いました(マンガとか小説に似たような額を突っ込んでたときは、部屋に書籍タワーが乱立して(処分が)大変だったしストレスでしょうがなかった)。

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チケット関係:264,410円

28回(内、中継3回)見て、この金額。「基本的にSS席ですのホホホ」みたいなバブリーファンというわけではなくて……非合法な手段(!)でチケット確保することが多々あったからです……(ごにょごにょ)。来年以降はもうちょいチケット取りの段階から気合入れると思うので、同じくらいの回数見ても費用は下がるんじゃないかなあ、と。来年はトップの退団もなさそうだし!!

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スカイステージ:37,452円

単純に、3,121円×12ヶ月分(スカステのためだけにスカパー加入してる民)。

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グッズ関係:100,959円

え、グッズに10万も使ってたの!?、って我に返ったんですが、半分以上は朝夏まなと関連のDVDです(「Special DVD BOX」「TOPHAT」「Amotion」「翼ある人びと」「神々の土地/クラシカルビジュー」「A☆LIVE」)。あとは、雑誌の類とか舞台写真(とそれを整理するアルバム用品)とか、音楽配信とか。来年は多少減る……いや、減らないかな……まだDSとかラストデイとかスカステ集とかあるから……(買うのか)(買うよ)。

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遠征関係:18,140円

東京往復一回分(行きは飛行機/帰りは新幹線)。新幹線が台風で四時間くらい遅延したので特急料金が払い戻しされて、結果的に結構安く上がった模様。有楽町駅のみどりの窓口で新幹線のチケットを買ってると、前の人も横の人も関西までのチケットを買ってたので、「お仲間かな?」って思いました。

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来年は30万円くらいの予算でまったりやります。多分。

 

2017年のタカラヅカまとめ

月組大劇場公演「グランドホテル」「カルーセル輪舞曲」/0回

今年の、「見に行かなかった私はホント頭おかしかった」賞大劇場部門受賞作品。満場一致。ちなみにnot大劇場部門受賞作品は宙組「Amotion」です(ホント頭おかしかったですね!)。BD借りて見たんだけど、自分でも買おうかなあ、って悩み中。

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宙組大劇場公演「王妃の館」「VIVA!FESTA!」/1回 ◇2/11

仕事とチケット手配でしくじって、泣く泣く立ち見で一回だけ見たんだけど、芝居・ショーともにいい作品で、立ち見(しかも二列目)でも全然辛くなかったことに救われた。田淵大輔ってもしかして結構期待していい演出家なのでは……?

すごく無遠慮に真風ルイの過去を詮索する朝夏右京の振る舞いに笑いながら、「でもちょっとどうなのそれは」って思い始めたあたりでちゃんとルイが怒るので(そして朝夏右京が猛烈に凹むので)、ちゃんと考えてある作品だな(デリカシーのある脚本だな)、と。まあ、クレヨンの扱いとかオールドミスのくだりなんかはすごく前時代的ではあったんだけど。でもこのくらい前時代的にやった方が、それこそ「ギャグ」になるのでいいのかも。個人的には、「今時これは古過ぎでは」って笑えたので。

実咲凜音はこういう、一人で空回っているような役が似合うし、その奮闘している姿を愛おしいと思わせる人なので、すごくハマリ役でした(作中で彼女をシャカリキツアーガイドって評してたのは、朝夏右京だっけ?)(適切な表現過ぎる)。ただまあ、ダブルブッキングツアーを目論むほど悪い人にも、(それがバレないと思うほど)楽観的な人にも見えないのは確かなんだけど。

朝夏まなとの台詞回しが個人的にすごいツボで、「己の才能が怖い」とか「イケる」とかでドッカンドッカン笑いを取ってて、いやあ、芝居うまいなあ、と思った。なんか分かり易い、派手さのある「上手さ」では全然ないんだけど、さりげなく上品に上手い。好きなので贔屓目入ってるかも。

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星組大劇場公演「THE SCARLET PIMPERNEL」/1回 ◇3/31

安蘭パーシーが「癖のある切れ者」で、霧矢パーシーが「真面目で不器用」だとしたら、紅パーシーは「おちゃらけているけれど人情家」。これまでのパーシーの中で一番、相手に寄り添おうとする(=相手の苦しみを我がもののように感じる)パーシーで、そのせいで貴族の「格」みたいなものがちょっと欠けてしまったきらいはあるんだけど、これはこれで私は結構好きです。紅パーシーは見た目に貴族感があるから、どっちにしろ庶民には見えないしね(顔芸激しいからオペラで見ると、「貴族とは……?」ってなるけど(!))。歴代パーシーに比べると歌は格段に落ちるので、そこはちょっと辛かった(まあ、相手が悪過ぎる)。

礼真琴のショーヴランはとにかく、「礼真琴ならこのくらい当然できる(してくれる)はず」という勝手な期待を裏切らない出来で、それだけに想像通りといえなくもないのが損なところだよなあ、なんて思いもしながら見てたんだけど、「栄光の日々」の後、「騙されていた」ことに気づいたショーヴランが急に冷やかになったあたりで、グッと礼真琴のショーヴランらしさ、みたいなのが出てきて、私の勝手な予想なんぞはそこで現実に完全敗北した。めちゃくちゃ良かった。いつか礼真琴のパーシーが見てみたいなあ(持ち味的にトート・ファントムよりはパーシーだと勝手に思ってる)。

あとは、ロベスピエールがちゃんと「スターの役」になってた。七海ひろきは色々うまい人ではないんだけど、舞台の上だと妙に目を引くし、ロベスピエールの歌の曲調もあってか、「お、かっこいいぞ」→「歌もいいぞ」→「ロベスピエールいいぞ!」って感じですごくよかった。

初演は私の宝塚初見(かつ、私をタカラヅカファンにした記念すべき公演)なんだけど、立樹&涼コンビの役を、壱城あずさと天寿光希がやってるというところに色々と感慨深いものを感じた。思えば2008年も随分遠くなりましたねえ(と、一端のタカラヅカファンぶってみる)。

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雪組大劇場公演「幕末太陽傅」「Dramatic "S"!」/0回

友の会で全滅し、小柳奈穂子だしサヨナラだし一度くらいは見なきゃ……ってチケット算段しようとしている内に、いつの間にか公演が終わってた(!)。

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花組大劇場公演「邪馬台国の風」「sante!!」/2回 ◇6/3・24

「sante!!」は個人的に2017年のNo.1ショー。芝居は久々のアレ。

いやでも、ここで久々の、っていえるのが結構嬉しかったりする。「邪馬台国」の前の超ド級って「NOBUNAGA」まで遡れるのでは?(「桜花に舞え」とか「ケイレブ・ハント」もややアレではあったけれど、全然超ド級ではなかったような記憶)。まあ、私的五大発狂芝居(「アンドレ編」「ソルフェリーノ」「愛のプレリュード」「仮面の男」「誰がため」)には全然及ばないんだけど。及ぶ必要もないんだけど。及ばないで欲しいんだけど。

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月組大劇場公演「All for One」/2回 ◇7/23・8/3

オリジナル脚本の小池修一郎にいいイメージが全くなかったんだけど、予想に反してとても面白かった。ちょっと小柳奈穂子がやりそうな感じ(でも小柳奈穂子なら一幕でまとめてショーが付くような気もする)。「宝塚を一度くらい見てみたい」って感じの人を連行するのにちょうどいい演目だったので、しまった、誰か連れて行けばよかった!!ってすごく後悔した。

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宙組大劇場/東京宝塚劇場公演「神々の土地」「クラシカルビジュー」/10回+中継2回
◇8/19・25・9/2・3・9・16・18・24W・(25)・10/22・(11/19)

朝夏まなとの退団+傑作+個人的ツボ、のあわせ技で頭おかしいくらい通った。東京にも行った。この時の私は明らかに狂ってた(でもまあ、幸せだったような気がしなくもない)。上田先生には一度、ガチガチのハッピーエンドを書いてみて欲しいな(でもどこかで「宝塚には演出家がいっぱいいるから、こういう作風(どちらかというと悲劇寄り?)を売りにする演出家がいてもいいと思ってる」みたいなコメントを見た気がするので、期待薄なのかも)(というか、そういうのはショーでするのかしら)(月組ショーもディストピア感あるけど……)。










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星組大劇場公演「ベルリン、わが愛」「Bouquet de TAKARAZUKA」/2回 ◇9/30W

ナチスドイツをお手軽悪役に使う薄っぺらさと、その薄っぺらさで人種差別をマジマジと取り上げちゃうバランス感覚の悪さ(人によってはこれ、致命的なのでは)を除けば、そこまで致命的に脚本が破綻している訳でもなく、原田諒ということを考慮すれば十分大勝利といっていい出来。ただ芝居は一回しか見ていないので、全体的に評価甘め(二回目見てたら粗が目に付いて盛大に酷評してたかも)。あとは、ショーのスペインの場面がすごく良かった。

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花組ドラマシティ公演「はいからさんが通る」/2回 ◇10/8・14

完璧なビジュアル+超特急ダイジェストだけどそこそこ無難な脚本+キャッチーな曲+魅力的なキャラクタ=完・全・勝・利・!! まあ、もうちょい少尉視点にリライトしても良かったんじゃ……?と思わなくもない。

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花組赤坂ACTシアター公演「ハンナのお花屋さん」/1回 ◇10/22

こういう社会派気取った作品が好きじゃないのでどうも評価できない。「ハイスペックだけどヘタレ系美男子」っていう明日海りおのキャラクタは新機軸で良かった(もうちょっと早い段階でそのキャラクタを前面に押し出してもよかったような気はする)。邪馬台国でも似たようなこと思ったんだけど、もうピヨピヨしてた芹香斗亜はどこにもいないんだな、ってアベルで実感した。ちょっと寂しい。

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雪組大劇場公演「ひかりふる路」「SUPER VOYAGER!」/3回 ◇11/25・12/2・10

ロベスピエールでお披露目ってどうなの……?(あんまりよく知らないけど、革命後の権力闘争で(政敵を処刑しまくった挙句)失脚して処刑された人でしょ……?)みたいな前知識で見に行ったら、激しい光を発しながら落ちていく望海風斗がめちゃくちゃ魅力的だったので、「さすが生田大和&ワイルドホーン!!やってくれると信じてたで…!!」って快哉を叫んだ。まあ、脚本的にはちょこちょこ穴があるような気がするんだけど、曲がいいのと望海風斗の歌に力があってオールセーフ。あと彩風ダントンがかっこいい。超かっこいい。 いい男になった。


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月組バウホール公演「Arkadia」/1回 ◇12/2

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梅田芸術劇場公演「タカラヅカスペシャル」/中継1回

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11公演/25回+中継3回(花5回/月3回/雪3回/星3回/宙13回/他1回)

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2016年にも増してまったり進行で終わるのかと思われた2017年。

「神々の土地」という超ド級の爆弾が投げ込まれたことによってシャカリキファンモードのスイッチがON!ガンガン増える手持ちチケット!ガンガン跳ね上がるカードの請求額!!……いやあ、正直、めちゃくちゃ楽しかった(!)。

2018年はのんびりまったりの通常運行に戻る予定。でも来年は来年で年明けから、花組ポーの一族」/月組上田久美子ショー/宙組天は赤い河のほとり」と、ツボにはまったらヤバげな演目が目白押しなのでどうなることやら。

 

梅田芸術劇場公演「タカラヅカスペシャル2017」/中継

とりあえず、宙組コーナーで朝夏まなとの退団を実感してしんみりしつつも、終始ゆるーい雰囲気にニヤニヤできて楽しかった。でも終わって「ああ、楽しかった!」って思った瞬間、ほとんどの内容を忘れてしまった感があるので、一応覚えている(ような気がするけど大分怪しい)ところを中心に、以下箇条書きでテキトーな感想(適当なので何も信用してはいけない)。

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・真風涼帆のトップには何の心配もしてなかったんですが、想像通り立派なトップでした。でも、トップが四人並ぶと「デカイな……」ってめっちゃ思った。いつも朝夏まなとと並んでたし、周り固めるのが宙組だし、で全然意識してなかった。芹香斗亜も宙組の中にいると意外と小さくて(というか大きくなくて)びっくりした(宙組って怖いな…)。

・トップ四人のトークが面子から予想される通りのゆるゆる具合で、思う存分ニヤニヤした。真風涼帆は多分仕切れる人だと思うけど下級生だしお披露目もまだだしで控えめだし、珠城りょうは「いじられ役」に徹するのが己の指名と思ってるところがあるし、望海風斗は「仕切りなさい」って言われたら頑張って仕切る人だと思うんだけど今回は新米トップだからそういうのは免除だし、って思ってる節があって、明日海りおは仕切ろうとしてるのかしてないのか、超ゆるゆるマイペース。で、それがすごく面白かった。あれだけで元は取ったと思える幸せな人間なので非常に満足。紅ゆずるが入るとまた大分空気が変わると思うし、それはそれで楽しみ。

トークの個人的ツボとしては、望海風斗→真風涼帆の「まきゃぜ」呼び(噛んだのかそれとも普段からそう呼んでるのか/超気になる)とか。肩幅ネタでいじられた珠城りょうが真風涼帆に視線を送って、「いや、見ないで私を巻き込まないで」って言われるところとか。明日海りおが「明日(の観客巻き込みコーナー)はあやちゃんだよね!がんばって!!」って口走って、「……今日の16時公演ですからね?」「明日は公演ないですからね!?」って突っ込まれるところ(「明日って文字が見えた気がするんだけどなあ、おかしいなぁ」って言い訳してさらに、「明日海の明日では?」って突っ込まれるオチ)とか。めちゃくちゃ楽しかった!

・明日海りおにショースターの印象が全くなくて、トップ就任当初のショーがやや弱いっていう印象を今の今まで引きずってたんだけど、一幕のどっかでバン!って出てきて歌う姿を見て、いつの間にか貫禄ついてる……!!、ってびっくりした。タカラヅカスペシャルってまあ、基本的に舞台に出てきて歌うだけっていう、一番スター性が試されるノー演出じゃないですか。にも関わらず「スター来た!!」って思ったんですよね。本質的にはショースターの人ではないと思うんだけど、全く不足のない存在感だった。ていうか明日海りおがいつの間にかトップとしても十分ベテランなことにびっくりですよ……。

轟悠は元々声が好きな人じゃないのであれなんだけど、今回は喉が不調だったりしたのかな。びっくりするくらい声が出てなくて、聞いててちょっと辛かった(しかも結構曲数あったので余計に)。

・コンビシャッフルは真風涼帆&愛希れいかの組み合わせが意外と似合ってて、ほほう、って思った。体格的なところが大きいかな。真風涼帆ってあんまり相手を選ばないですよね。逆に、相手を選ぶのが明日海りおだなあ、と。明日海りおって誰と組んでも、「なんか画風(絵柄)が違う……(から合わない(※))」って思うので不思議な人だと思います。好きです(※ 合わないけど、致命的に合わないレベルではなくて、「なんか違和感を覚える程度に」合わないくらいの印象。誰と組んでもわりとそう。羽桜しずくが一番その違和感が薄かったような気がする)

・あの可愛い花組の娘役は誰だ!?、って思ったら、桜咲彩花だった。相変わらず可愛い。

・「マトカ~♪」って歌う彩風咲奈を見て、これが巷の噂のマトカ……!、って思った。マトカが何なのかはイマイチよく分かってません。

宙組は代替わりしたばかりで歌う歌に微妙に苦労した印象あり。「土よ」でデュエットするとは思わなかったので意表をつかれた(でも好きな歌なので嬉しかった。あれ、ドラマチックでいい曲ですよね)。あと、「A motion」の歌を愛月ひかるが歌ってくれて嬉しかった。まあ、しんみりはしたけども(しんみり)。

・「夢をつくってみませんか♪」っていう曲(多分「夢人」)が好きなので、望海風斗が歌ってくれたことに大興奮した。ちょっと歌謡曲ぽさがありつつもドラマチックで、すごく好きなんですよね。好きな割に元ネタが何なのかを知らないんですけど(凰稀かなめが宝塚の名曲CDか何かで歌ってるのを聞いて好きになったの)。凰稀かなめが歌ったのもあのやわらかい声に合っててよかったんだけど、望海風斗で聞けたのもすごく嬉しかった。

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そういうわけで、2017年の宝塚は無事タカラヅカスペシャルで〆。幸せな一年でした。