タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

花組大劇場公演「ME AND MYGIRL」A/Bパターン

(5/7 11時公演)2階3列下手側:Aパターン
(6/4 11時公演)2階10列上手側:Bパターン

花組梅芸版を死ぬほど(といっても四回くらい?)見たので、あんまりノリ気じゃないまま、「一回くらいは見ておくかー」くらいの勢いで行ったら、何故かめちゃくちゃツボにはまって、二回目(Bパターン)のチケットを確保してニコニコで帰宅することになった。なお、二回目で無事明日海りおに本格的に落ちて(あれえ?)、13000円のDVD-Boxを衝動買いした模様。こういう時に、13000円を惜しまないくらいの金銭的余裕は欲しいと思って常々生きているので、それはいいんだけど、前触れなく明日海りおに落ちた自分にびっくりした。いや、前々から美貌の人だとは思ってたけど。思ってたんだけど。

てことで、安定のミーマイ。
明日海りおは貴族的な持ち味(しかも完全な”陽”の人ではない)なので、ビルはどうだろうと思っていたんだけれど、それが逆に「隠し切れない血筋の良さ」感に寄与していて、非常に良かった。色々下ネタを飛ばしても、総じて下品になり過ぎない。あと、舞台年齢が若いのがいい。ビルって青年になりかかった少年の役だもんね。
完全に”陽”じゃないあたり、私が明日海りおに一方的に見出して勝手に愛しているヤンデレ風味(!)がちょいちょい顔を出していて、とても良かった。サリーが姿を隠して以降の病みっぷりが容易に想像できる感じ。納得感がある。

花乃まりあは明日海りおとは反対に、どっちかというと高貴な役が似合わないタイプなので、サリーは全く問題なく。歌声がまろやかという人でもないので、私がいつも思う、「サリー歌ったら令嬢やん!」問題も発生せず。頭の回る下町娘で、(今までは結構育ちの割にのんびりしたところのあるビルを引っ張ってきたのに)ビルはあっという間に立派な紳士になっちゃって、最早自分の傍にいるにはふさわしくなくて、それが分かるだけに(分かる賢さがあるだけに)色々苦しくなってくる、というのがよく分かるサリー。好き。

でもって、そんなサリーの考えをビルは分かってる(だってビルものんびりだけど結構頭回るからね)し、だから彼女を愛している。一幕の終わり、「彼女は僕のガールフレンドの、サリー・スミスです」の台詞に、今回めちゃくちゃぐっと来た。いやあ……ビルってかっこいい役だったんだなあ。

てことで、ビル&サリーに関しては今回全肯定。ぶっちゃけ、私的ベストキャストかも(霧矢ビル・羽桜サリーも好きだけど、こっちは映像でしか見ていないので、ちょっと分が悪い)。

キャスト的には、Aパターンの方が好み。ジェラルド&ジャッキーがね、とにかく良かった。

ミーマイで一番難しい役って、ジェラルドじゃないですか。特に、そこそこ学年の上がった男役にとっては。前回の愛音羽麗は、あの学年なのに普通にジェラルドやってたけど、でもあの人結構特殊なタイプだしね(愛音羽麗って多分、ジェラルドもジャッキーもジョン卿も、多分ビルもサリーも普通にできたと思う。同時期に。怖い)。

水美舞斗はまだ若くて、なおかつ持ち味的に「育ちのよい、ちょっと気弱なボンボン」がはまる。当然、ジェラルドもはまってる。そして柚香ジャッキーがこれまた、押し出しの良い、完璧なブロンド美女!私の好きな、「高慢で美しい年上の従姉と、押しの弱い(従姉に強く出られない)従弟」風のジャッキージェラルドで、もうホント好き。

芹香斗亜のジェラルドはそこらへん、「ジェラルドって難しいよね」感溢れてて、あーもう若さだけでジェラルドを演れるほどこの人も若くはない(幼くはない、っていってもいい)んだなあというのが、逆に嬉しい。あとね、ジョン卿がよかった!マリア叔母様も若いので、全然違和感なく、チャーミングなおじさま。しかも髭が似合う。

明日海りおがねえ、「あなたは別ですよ、ジョニー」って頬にキスする場面あるじゃないですか。あそこヤバイ。ホントヤバイ。すっごいニヤニヤして、どうしようもなかった。

マリア叔母様はA/Bで芝居が全く違って、桜咲彩花マリアは「しっかりものの末っ子」、仙名彩世マリアは「愛された末っ子」風。どちらかというと、オーソドックスなマリア叔母様なのは、Aパターンかな。Bパターンのこういう、ちょっとおっとり型(いかにも育ちのいい貴族婦人)なマリア叔母様は、初めて見た気がするけど、これはこれで悪くない。マリア叔母様って、敵役というわけではないもんね。

あとは……ミーマイ見る度に言ってる気がするけれど、お屋敷の厨房の場面がホント好き。曲もセットも衣装も照明も。ギャグだけ……ギャグだけ刷新してもらえませんかねえ……(どてカボチャだけでいいから……)。ていうか、そろそろ言葉遊びのところは全面的に改訂してもいいんじゃない?

ヘザーセットとビルの関係が毎回ぐっと来る。最後にね、ビルが「チャーリー」って呼ぶんだけど、ああ、ビルはランベスに帰る気でいるけど、もう立派に世継ぎになってるんだなあ、って一番あそこで思う。ホント好き。