タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

2016年のタカラヅカまとめ

宙組大劇場公演「Shakespeare~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~」「HOT EYES!!」/2回

脚本は破綻していないし、舞台転換はスムーズだし、ちゃんとミュージカルしてるし、登場人物が魅力的だし、衣装もいい。もしかして生田大和ってめちゃくちゃ有能なのでは……!って歓喜した作品。

朝夏まなとは思春期真っ盛りな青年の役を演っても「若ぶってる感」が皆無な辺り、持ち味が若いと思った。「くそくらえだ!」が可愛い。あと歌が上手かった(朝夏まなとって結構上手いよね……?)(音痴だから、イマイチ自分の耳が信用できない)(声がいいとすぐに騙される)。

沙央くらまのリチャードがすごくいい役で、真風涼帆はこっちの方がよかったのでは、って初見はちょっと思ったんだけど、ジョージはジョージで髭がかっこいいし、衣装もいいし、とにかく全編から脚本家の「作家とパトロン」萌えパッション電波をビンビン受信した(多分勘違い)ので、最終的に全肯定した(生田大和って有能な上に、ちゃんと(ちゃんと!?)コンビ萌えしている空気を感じるので、余計に印象いいところがあるかも)(「この人でこういう役(場面)が見たいの!」っていう熱意が脚本にあってくれた方が嬉しいという話)。

ショーは……「伶美うららを朝夏&真風で取り合うショーでよくある場面ねハイハイ」とかって見てたら、まさかの「朝夏まなとが真風涼帆をたらし込む場面」だったので二度見した、という記憶しか残ってない(しかもたらし込んだらすぐに興味を失う辺りが最高にワルイ男だった)。芝居は真風×朝夏だったけど、ショーは震えるほどに朝夏×真風。個人的には後者を推します(!)(でも前者は前者で新鮮味があって好き)(要するに朝夏&真風コンビが好き)。

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雪組大劇場公演「るろうに剣心」/1回

長編要約するときの小池先生にはまったく期待しないことにしているので、わりと「やっぱりな」って平常心で帰ってきた。銀英伝の時は期待してたので、「駄作一歩手前やんけ!」って発狂してたけど。今回は結構冷静。斉藤吉正か小柳奈穂子のがよかったんじゃない?とは未だに思ってる。むちゃくちゃかっこいい彩風斉藤に「悪・即・斬~♪」ってギャグのような歌で銀橋渡らせた恨みはしばらく忘れない(キャラ違いも甚だしい!!)。あと、望海風斗の役はちょっと酷すぎないですかねえ(悪役が全ての粗と帳尻を引き受けるのが宝塚とはいえ……)

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星組大劇場公演「こうもり…こうもり博士の愉快な復讐劇…」「THE ENTERTAINER!」/1回

記念すべき初・立ち見(多分)。「こうもり」は他愛もないコメディなんだけど、谷正純作品でこれなら、五体投地して感謝を捧げなきゃいけないレベルだと思う。結構面白かった。これで、男役礼真琴を初めて舞台で認識したような気がする(「ロスト・グローリー」の時はまだ分かってなかったし、「ナポレオン」も「黒豹」も見てないし、「ガイズ&ドールズ」は女役だったので)。

ショーが良かった。個人的に、2016年のNo.1ショー。

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花組大劇場公演「ME AND MY GIRL」/2回

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月組大劇場公演「NOBUNAGA<信長>」「Forever LOVE!」/1回

大野拓史は好きなんだけど、これは正直駄作では……。

織田信長の魅力が一切描かれてないので(そしてみんながあっさり裏切るので)、主人公の行く末に全く興味が持てないし、愛希れいかの扱いがびっくりするくらい薄いし、くの一ごっこしてるの何なのギャグなの(しかも一度も有能なとこ見せてないから、「お嬢様のごっご遊び感」が拭い切れない)(これが嫁って、信長無能説まである)。

全員裏切るシーンで感じる、「お館様、慕われてねえな」(一人くらい残れよ)感のどうしようもなさ。最後の最後まで、実は全員裏切ってない(裏切った振りをしろという命を受けている)と思って見てた(残念、全員全力で裏切ってるんだよなあ)(うーんこの信長に感じる無能感いかんでしょ)。裏切るのはいいけど、第三者に唆されて裏切るのはかっこ悪いことこの上ないと思うんですけど。

あと、「あの二人ならどちらが天下を取ってもうまくやるだろう」とか言ってるけど、あの二人どっちも次のトップじゃないからね。逆にしょっぱいんだよこの野郎!そうだよ、私は凪七瑠海にトップになって欲しかったよ!!でもまあ、珠城りょうはぐんぐん成長してる感ある。あと何作かあれば立派な二番手として、もう少し万全の体制で引継ぎできたと思う。やっぱり立場は人を作るんだろうし、珠城りょうはちゃんと抜擢に答えられる人なんだから、もう少し楽な体制でトップにして欲しかったなあ。責任ばっかり重くて、大変そうなんだもん。

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宙組大劇場公演「エリザベート」/1回

全然チケットが取れなかった上に、唯一取ってもらったチケットの日(お盆ど真ん中)に試運転が被るという人生最大レベルの不運が発生して、一回しか見れなかったのを未だに後悔している。見る前は、「今の宙組で「エリザベート」?イマイチ、役者的にも体制的にもハマらないのでは?」とかって思ってたのに、見たらびっくりするくらい良かった。マイベストエリザベートは2005年月組版で、それはやっぱり思い入れとかもあって今更変わらないんだけど、次点にガッツリ食い込んできた。トートに愛が溢れているという意味でいえば、方向性がちょっと似てるような気もする。

朝夏まなとのトートには、妙な熱さというかパッションがあって、「死は逃げ場ではない!」になんか納得感があった。あと、「連れて行って黄泉の世界へ♪」ってエリザベートがデレた瞬間に、「え、マジで?」って驚いてるみたいに見えるのが可愛い(わりと終始デレてる閣下だった)。また、実咲凜音が強いんだけどちょっと「キリキリ張り詰めている学級委員長タイプ」な感があって、二人の並びが結構お似合い。真風フランツは歌さえ大丈夫なら完璧に決まってるし、実際完璧だった。「嵐も怖くない」はちょっと不安定だったけど、それ以降は完璧。男前で優しげな皇帝陛下。「エリザベート」ってやっぱり面白い演目なので、「えぇぇ…またぁ?」って思わない程度に節度を保った間隔で再演して欲しい。

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星組大劇場公演「桜花に舞え」「ロマンス!!」/1回

サムライ・ザ・ファイナル!なのは、ラストサムライだと色々差し障りがあるからなの?っていう謎の初見感想。全編鹿児島弁(?)でセリフがちょいちょい聞き取れないし、理解するのに神経を使うのでちょっと疲れた。北翔&妃海カップルよりも、会津のお姫様&家臣コンビ(綺咲&礼?)の方が印象的だったのが、脚本的にアレな感じ。あと捨て置かれる奥さん……ここに妃海風を配役してはダメだったのか……。

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雪組大劇場公演「私立探偵ケイレブ・ハント」「Greatest HITS!」/1回

いかにもな正塚芝居。コメントし辛い。そこそこ無難な脚本とキャッチーな音楽さえあれば、演る人の魅力で何とかカバーできるのが宝塚だと思う(だからせめて無難な脚本を!)んだけど、正塚脚本だと癖のある台詞回しに縛られてなのか、そういう演技指導なのか、脚本以外の魅力があんまり出てこないような気がする(でもって今回、その脚本に大して魅力があるわけではない、ので……)。

まあ、日本物が多かった雪組で普通のスーツ芝居が見られたのは嬉しかったんだけど。

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月組バウホール公演「FALSTAFF」/1回

花陽みらの最後なんだから見なきゃですわよ……って、覚悟を決めて谷正純作品に臨んだら、普通に面白かったので、喜ぶより先にうろたえた。でもって、若手ばっかり出ている(多分)割に、皆上手くてびっくりした。特に、マーキューシオ!(蓮つかさの名前をこの作品で覚えた)(顔はまだちょっと怪しい)。星条海斗って隔絶感のある(いい意味でも悪い意味でもなんか周囲に全然埋没しない)人なので、”フォルスタッフ”という役はピッタリだった。あとジュリエットが可愛い。憧花ゆりのはさすがの貫禄。そして宇月颯がめちゃくちゃ男前。

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花組大劇場公演「雪華抄」「金色の砂漠」/2回

妙にアルスラーン戦記を連想した。多分舞台設定と、タルハーミネという名前と、「夫を殺した男の妻になった王妃」という設定のせい(「アルスラーン戦記」はちょっと宝塚で見たいけど、主役が少年だから多分無理ですね……)。

絶対に幸せになれない(愛する女に自分という存在を認めさせたいギィと、奴隷を愛する自分を認められないタルハーミネは、どう足掻いても平和な終着点を共有できない)ことが最初からビンビン伝わってくる芝居で、ただひたすら燃え上がり崩壊しながら破滅に向かう二人を眺め続ける100分が何だか楽しかったし面白かった。王女と奴隷という立場で出会ったからこそ恋に落ち、同時に王女と奴隷の身分である限り(身分違いとかそういう外的要因ではなく、本人たちの心情の問題として)絶対に結ばれない。ギィとタルハーミネはそういう風に見えた。あと何回か見れたら、もうちょっと見方が変わったかも?と思うので多少悔いが残る。

最後のシーンが開幕に繋がるのがすごく好き。あと、「あなたは死ぬべきだった」(多分合ってる)ってギィが母に詰め寄るところ。「いつもあなたはそうして震えている」(大体合ってる)という台詞。最後、砂漠で二人倒れる場面。ギィとタルハーミネに見えるフィナーレのデュエットダンス。踏み台にする演出はちょっと引いたけど、常識担当柚香光(光り輝くほど美しい)が「正直引くわー」ってフォローしてくれるからセーフ(上田久美子ってそういう抑制効いてるから信頼してる)。

そういえば、柚香光がフィナーレで銀橋から落ちるのを見たのは確かこの公演……だった気がする。銀橋から落ちる人を初めて見た。

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10公演/13回

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わりと低速まったりモードで終わった2016年。基本的に友の会か公式でしかチケットを確保しない(ぴあのプレリザーブとかカード会社貸切をちゃんとチェックしない)人間からすると、チケットが取り辛くて参った。とりあえず一回見て、が100周年以降全然通用しない。「金色の砂漠」と「Shakespeare」はあと何回か見たかったなあ(あと「エリザベート」もルドルフコンプリートしたかった)。