タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

花組赤坂ACTシアター公演「ハンナのお花屋さん」

宙組と一緒に見てこようと決めてチケットは確保したものの、スカステでCMとか制作発表の様子なんかを見る度に「もしかして駄作なのでは」「一番嫌いな「社会に物申したい」みたいな作品なのでは」って危機感ゲージがガンガン上がってどうしようかと思ってたんだけど、まあ、とりあえず駄作ではなかった…かな。

でも好きか嫌いかでいうとあんまり好きじゃないというか、上っ面だけで社会派気取る作品が個人的に地雷なので、色々引っ掛かって素直に楽しめなかった(※)。あと主役二人に「物語」がないので(どちらかというと両親が「物語」の主役なので)、消化不良な感が否めないってのもある。まあ、結構色んなところで泣いたし、見て良かったとは思うんだけど(でも二回目見たいかと言われると見たくない)。

(※ 架空の国を舞台にして、「そういう設定」でやったらダメだったのか?、って心底謎。舞台がロンドンである必要ってある? デンマーク貴族である必要ないよね? ユーゴスラビア紛争持ち出して、薄っぺらく「職場に民族問題を持ち込まないで欲しいわ!」みたいな語り方するくらいなら、全部架空設定でよかったのでは?/この一連のくだりがあまりにも薄っぺらくて耐え切れなかった。そりゃ、セルビア人を雇ってるところにクロアチア人を新しく雇うなら、雇い主はそれ相応の配慮と根回ししなきゃダメでしょ。昨日までの隣人同士が殺し合った内戦で、しかもまだ全然「歴史」になってない最近の話じゃないのあれ。「セルビア人のコック」を悪者にして解決するような問題じゃないし、そういう認識の仕方しちゃダメでしょ。フェアトレードとかは意識高いな、って笑うだけで済むけど、こっちは全然笑えないし引く。何もかも脚本のせいで、演ってる人は何も悪くない/フェアトレードの本来の精神とかではなく、舞台での取り上げられ方が意識高い系ギャグに片足突っ込んでるってだけの話。念のため)

以上文句終わり!

とりあえず、明日海クリスが設定盛り過ぎなくらい盛ってあるのに(デンマーク貴族の血を引くオックスフォード首席の花屋って!)、「そりゃ振られるわな/恋人と長続きしないの分かるわ」ってキャラクタ造形で良かった。「高学歴で高収入!しかもイケメン!なのに何で、振られちゃうんですかねえ〜」とか言ってるけど、君たち絶対分かってるよね察してるよね、感が面白かった(そりゃ一時間置きにメール送られたら…ね…)。宝塚の男役じゃなきゃできないし、やっちゃダメな類の典型的な役ですね!(十歳以上離れた女の子に延々ネットストーキング(違う)する三十四歳の男って、普通に引くでしょ……)。あとメインカップルの年齢設定的に明日海りおが演ってるから許されるんであって、これが真風涼帆だったら絶対「ロリコン!」って誹りを免れなかった気がする。

仙名彩世は普通に若い女の子役やって似合うのが意外だった。可愛いし、幸薄いのがハマってる(いいことなのかどうかは謎)。瀬戸かずやはよくある「いい友人」の役をちゃんと美味しく演じてる印象。デパートの社長が良かった(羽立光来であってるかな?)

あとは、芹香斗亜演じる父アベルのシーンがどれも良くて、むちゃくちゃ泣いた。ハンナさんも誰か分らないけどキレイ(でも歌は微妙?)。まあ、ソフィアさんに酷すぎなのでは…って思わなくもないんだけど。アベルとハンナの話を掘り下げて主役に据えた方が良かったんじゃないかなあ。社交界デビューのところとか、ちょっとミュージカルしてて歌がかっこよくて好みだった。

ブログとかSNSを多用する演出は、結局台詞で説明するための言い訳にしかなってなかったので、あんまり評価できない。植田先生ってホント、電話が好きだなって思った(わりとどの作品でも電話が鳴ってるイメージだけど、今回の鳴り方は凄い。いつもの三倍くらい鳴ってる)。

フィナーレの衣装はあれでいいんだろうか……なんか微妙に「かっこいい!」って言いづらいんだけど。単体で見てもちょっとアレな上に、娘役と男役の取り合わせ的にも合ってない気がするんだけど……