タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

「カンパニー」(伊吹有喜・新潮社)/読書めも

次回月組公演の原作本。原作ってだけで買うにはちょっと高いので躊躇ってたんだけど、「伊吹有喜は結構いいから警戒せずに買うといいよ!」って教えてもらって買ったらたしかに普通に面白かった。ざっくりした感触的には、初期の荻原浩とか山本幸久みたいな印象。軽めの文体と作風で、良くも悪くも漫画的で読み易い(ただ、奥さん周りだけ妙にリアルで陰鬱で鬱々としていたのでギョッとした/「私たちいい友人になれると思うの」のくだりの薄気味悪さなんか、作中でそこだけ浮いてる気がする/ここで、作者は女の人かな?ってちょっと思った)。

原作の主人公は「奥さんに離婚を突きつけられたばかりの中年男性」なんだけど、それは設定上そうなだけで、読んでいて加齢臭が漂ってくるようなリアルさは一切ない(そこがよくも悪くも漫画的)ので、「奥さんを病気で亡くした青年」に改変されても違和感はない(でも、「総務畑一筋」「地味だけど事務屋としては有能」っていう設定にときめいたので、そこらへんが改変に伴って消えるとちょっと寂しい、かな)(リストラ候補筆頭、あたりの設定も宝塚版では消えるのかも)。珠城りょうは宝塚の男役としては珍しく「普通のサラリーマンが似合う人」なので、青柳は絶対ハマると思う。わりと受動的というか、振り回される役なので余計に。高野(美弥るりか)との掛け合いが楽しみ。あとサラリーマンものの見所って絶対「上着を脱いでシャツの袖を捲り上げて、ネクタイを胸ポケットにIN(で力仕事)」なので(そうか?)、そういう場面を無理矢理にでも入れて頂きたい…!是非…!!(ほら、防虫剤入れるところとかで……)

でもって美弥るりかの高野!これも多分ハマり役。あの人、「女関係が派手、という噂とは裏腹にちょっと潔癖症の気がある/憂愁の貴公子/衰え始める年齢に差し掛かったバレエダンサー」とか絶対似合うじゃないですか(美弥るりかって踊れる人なんだろうか、ってことだけちょっと謎だけど/ダンサーのイメージないんだよなあ)。あと、珠城りょうと美弥るりかって明らかに「作画が違う(※)」ので、「地味で堅実なサラリーマン」と「派手で美貌のバレエダンサー」のズレた異業種感にちょうどはまる気がする(※ 美弥るりかは劇画の影響受けてた時代の少女漫画/珠城りょうは劇画のニュアンスがほとんど抜けた今時の青年漫画、みたいなイメージ/星組出身者って大体劇画風の作画だと思ってる/芹香斗亜は例外)。

那由多に暁千星以外の配役が考えられないので、「あれ、じゃあ、月城かなとの役がないぞ(蒼太ってキャラじゃないし、そもそも男役の大きい役が青柳・高野・那由多くらいしかない気が……)」って読みながら悩んでいたら、「女役があるのでは」っていう電波を受信した。つまり、月城かなと→瀬川由衣。美弥高野の相手役としては体格的に無理があるような気がしなくもないんだけど、まあ、バレーボールをガチでやってた人だしちょっとくらい大きくてもへーきへーき。キャラ的にも地味で陰気な役似合うと思うし(褒めてる)。まあ、沙良でも案外面白いのでは?とも思うんだけど、月城かなとに踊れるイメージが一切ないので……(実際のところ、踊れる人なんですかね…?)(そもそも上から順に役振っていったら、那由多→月城かなと/蒼太→暁千星なんだけど)。

原作の比重的には、「青柳≒高野>瀬川>美波>沙良=那由多>蒼太>山田」みたいな印象なので、沙良役が気になる。硬質な美女(でも雰囲気は派手だし、威厳もある)で、正統派バレエっぽく踊れる人って誰がいるんだろうか。娘役に疎いのでさっぱり分からない。体制的には海乃美月か早乙女わかばなのかな、とは思うんだけど(この二人だと、ビジュアル的には海乃美月のイメージかなあ/でもあの人、良くも悪くも地味だしどことなく真面目そうなんだよなあ)。

あとは、山田重役を宇月颯で見たい(そしてキレッキレに踊って欲しい)(できれば髭で)。「今夜はベリーダンスで一稼ぎ」な乃亜は憧花ゆりので見たい(個人的にあの人が好きなだけ)(むしろ憧花ゆりのは瑞穂先生では、という気がしなくもない)(瑞穂先生はできれば五峰亜季で見たいんだけど、最近全然見てないので体調が心配/私が見逃してるだけならいいんだけど)。

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そういうわけで、普通にやったら(一時間半に納めるのにちょっと神経使いそうではあるけど)絶対面白くなると思うので、本筋には関係ないところ(スポンサーとかカネコネとかアジア人差別とか社内政治関係の諸々)で石田昌也が暴走しないことだけを願ってます(あの人センスないのにやたらと社会風刺的なことやりたがるから/下品なところよりも何よりもそこが一番好きじゃない)。めちゃくちゃ楽しみだけど同時に凄く不安!!