タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

2017年のタカラヅカまとめ

月組大劇場公演「グランドホテル」「カルーセル輪舞曲」/0回

今年の、「見に行かなかった私はホント頭おかしかった」賞大劇場部門受賞作品。満場一致。ちなみにnot大劇場部門受賞作品は宙組「Amotion」です(ホント頭おかしかったですね!)。BD借りて見たんだけど、自分でも買おうかなあ、って悩み中。

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宙組大劇場公演「王妃の館」「VIVA!FESTA!」/1回 ◇2/11

仕事とチケット手配でしくじって、泣く泣く立ち見で一回だけ見たんだけど、芝居・ショーともにいい作品で、立ち見(しかも二列目)でも全然辛くなかったことに救われた。田淵大輔ってもしかして結構期待していい演出家なのでは……?

すごく無遠慮に真風ルイの過去を詮索する朝夏右京の振る舞いに笑いながら、「でもちょっとどうなのそれは」って思い始めたあたりでちゃんとルイが怒るので(そして朝夏右京が猛烈に凹むので)、ちゃんと考えてある作品だな(デリカシーのある脚本だな)、と。まあ、クレヨンの扱いとかオールドミスのくだりなんかはすごく前時代的ではあったんだけど。でもこのくらい前時代的にやった方が、それこそ「ギャグ」になるのでいいのかも。個人的には、「今時これは古過ぎでは」って笑えたので。

実咲凜音はこういう、一人で空回っているような役が似合うし、その奮闘している姿を愛おしいと思わせる人なので、すごくハマリ役でした(作中で彼女をシャカリキツアーガイドって評してたのは、朝夏右京だっけ?)(適切な表現過ぎる)。ただまあ、ダブルブッキングツアーを目論むほど悪い人にも、(それがバレないと思うほど)楽観的な人にも見えないのは確かなんだけど。

朝夏まなとの台詞回しが個人的にすごいツボで、「己の才能が怖い」とか「イケる」とかでドッカンドッカン笑いを取ってて、いやあ、芝居うまいなあ、と思った。なんか分かり易い、派手さのある「上手さ」では全然ないんだけど、さりげなく上品に上手い。好きなので贔屓目入ってるかも。

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星組大劇場公演「THE SCARLET PIMPERNEL」/1回 ◇3/31

安蘭パーシーが「癖のある切れ者」で、霧矢パーシーが「真面目で不器用」だとしたら、紅パーシーは「おちゃらけているけれど人情家」。これまでのパーシーの中で一番、相手に寄り添おうとする(=相手の苦しみを我がもののように感じる)パーシーで、そのせいで貴族の「格」みたいなものがちょっと欠けてしまったきらいはあるんだけど、これはこれで私は結構好きです。紅パーシーは見た目に貴族感があるから、どっちにしろ庶民には見えないしね(顔芸激しいからオペラで見ると、「貴族とは……?」ってなるけど(!))。歴代パーシーに比べると歌は格段に落ちるので、そこはちょっと辛かった(まあ、相手が悪過ぎる)。

礼真琴のショーヴランはとにかく、「礼真琴ならこのくらい当然できる(してくれる)はず」という勝手な期待を裏切らない出来で、それだけに想像通りといえなくもないのが損なところだよなあ、なんて思いもしながら見てたんだけど、「栄光の日々」の後、「騙されていた」ことに気づいたショーヴランが急に冷やかになったあたりで、グッと礼真琴のショーヴランらしさ、みたいなのが出てきて、私の勝手な予想なんぞはそこで現実に完全敗北した。めちゃくちゃ良かった。いつか礼真琴のパーシーが見てみたいなあ(持ち味的にトート・ファントムよりはパーシーだと勝手に思ってる)。

あとは、ロベスピエールがちゃんと「スターの役」になってた。七海ひろきは色々うまい人ではないんだけど、舞台の上だと妙に目を引くし、ロベスピエールの歌の曲調もあってか、「お、かっこいいぞ」→「歌もいいぞ」→「ロベスピエールいいぞ!」って感じですごくよかった。

初演は私の宝塚初見(かつ、私をタカラヅカファンにした記念すべき公演)なんだけど、立樹&涼コンビの役を、壱城あずさと天寿光希がやってるというところに色々と感慨深いものを感じた。思えば2008年も随分遠くなりましたねえ(と、一端のタカラヅカファンぶってみる)。

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雪組大劇場公演「幕末太陽傅」「Dramatic "S"!」/0回

友の会で全滅し、小柳奈穂子だしサヨナラだし一度くらいは見なきゃ……ってチケット算段しようとしている内に、いつの間にか公演が終わってた(!)。

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花組大劇場公演「邪馬台国の風」「sante!!」/2回 ◇6/3・24

「sante!!」は個人的に2017年のNo.1ショー。芝居は久々のアレ。

いやでも、ここで久々の、っていえるのが結構嬉しかったりする。「邪馬台国」の前の超ド級って「NOBUNAGA」まで遡れるのでは?(「桜花に舞え」とか「ケイレブ・ハント」もややアレではあったけれど、全然超ド級ではなかったような記憶)。まあ、私的五大発狂芝居(「アンドレ編」「ソルフェリーノ」「愛のプレリュード」「仮面の男」「誰がため」)には全然及ばないんだけど。及ぶ必要もないんだけど。及ばないで欲しいんだけど。

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月組大劇場公演「All for One」/2回 ◇7/23・8/3

オリジナル脚本の小池修一郎にいいイメージが全くなかったんだけど、予想に反してとても面白かった。ちょっと小柳奈穂子がやりそうな感じ(でも小柳奈穂子なら一幕でまとめてショーが付くような気もする)。「宝塚を一度くらい見てみたい」って感じの人を連行するのにちょうどいい演目だったので、しまった、誰か連れて行けばよかった!!ってすごく後悔した。

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宙組大劇場/東京宝塚劇場公演「神々の土地」「クラシカルビジュー」/10回+中継2回
◇8/19・25・9/2・3・9・16・18・24W・(25)・10/22・(11/19)

朝夏まなとの退団+傑作+個人的ツボ、のあわせ技で頭おかしいくらい通った。東京にも行った。この時の私は明らかに狂ってた(でもまあ、幸せだったような気がしなくもない)。上田先生には一度、ガチガチのハッピーエンドを書いてみて欲しいな(でもどこかで「宝塚には演出家がいっぱいいるから、こういう作風(どちらかというと悲劇寄り?)を売りにする演出家がいてもいいと思ってる」みたいなコメントを見た気がするので、期待薄なのかも)(というか、そういうのはショーでするのかしら)(月組ショーもディストピア感あるけど……)。










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星組大劇場公演「ベルリン、わが愛」「Bouquet de TAKARAZUKA」/2回 ◇9/30W

ナチスドイツをお手軽悪役に使う薄っぺらさと、その薄っぺらさで人種差別をマジマジと取り上げちゃうバランス感覚の悪さ(人によってはこれ、致命的なのでは)を除けば、そこまで致命的に脚本が破綻している訳でもなく、原田諒ということを考慮すれば十分大勝利といっていい出来。ただ芝居は一回しか見ていないので、全体的に評価甘め(二回目見てたら粗が目に付いて盛大に酷評してたかも)。あとは、ショーのスペインの場面がすごく良かった。

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花組ドラマシティ公演「はいからさんが通る」/2回 ◇10/8・14

完璧なビジュアル+超特急ダイジェストだけどそこそこ無難な脚本+キャッチーな曲+魅力的なキャラクタ=完・全・勝・利・!! まあ、もうちょい少尉視点にリライトしても良かったんじゃ……?と思わなくもない。

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花組赤坂ACTシアター公演「ハンナのお花屋さん」/1回 ◇10/22

こういう社会派気取った作品が好きじゃないのでどうも評価できない。「ハイスペックだけどヘタレ系美男子」っていう明日海りおのキャラクタは新機軸で良かった(もうちょっと早い段階でそのキャラクタを前面に押し出してもよかったような気はする)。邪馬台国でも似たようなこと思ったんだけど、もうピヨピヨしてた芹香斗亜はどこにもいないんだな、ってアベルで実感した。ちょっと寂しい。

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雪組大劇場公演「ひかりふる路」「SUPER VOYAGER!」/3回 ◇11/25・12/2・10

ロベスピエールでお披露目ってどうなの……?(あんまりよく知らないけど、革命後の権力闘争で(政敵を処刑しまくった挙句)失脚して処刑された人でしょ……?)みたいな前知識で見に行ったら、激しい光を発しながら落ちていく望海風斗がめちゃくちゃ魅力的だったので、「さすが生田大和&ワイルドホーン!!やってくれると信じてたで…!!」って快哉を叫んだ。まあ、脚本的にはちょこちょこ穴があるような気がするんだけど、曲がいいのと望海風斗の歌に力があってオールセーフ。あと彩風ダントンがかっこいい。超かっこいい。 いい男になった。


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月組バウホール公演「Arkadia」/1回 ◇12/2

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梅田芸術劇場公演「タカラヅカスペシャル」/中継1回

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11公演/25回+中継3回(花5回/月3回/雪3回/星3回/宙13回/他1回)

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2016年にも増してまったり進行で終わるのかと思われた2017年。

「神々の土地」という超ド級の爆弾が投げ込まれたことによってシャカリキファンモードのスイッチがON!ガンガン増える手持ちチケット!ガンガン跳ね上がるカードの請求額!!……いやあ、正直、めちゃくちゃ楽しかった(!)。

2018年はのんびりまったりの通常運行に戻る予定。でも来年は来年で年明けから、花組ポーの一族」/月組上田久美子ショー/宙組天は赤い河のほとり」と、ツボにはまったらヤバげな演目が目白押しなのでどうなることやら。