タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

宙組東京国際フォーラム公演「WEST SIDE STORY」

夏まで待ち切れなかったのと、梅芸版は配役変わるよなあ、ってことで一念発起して見てきた。花組ポーに予算振り分けなくてもよくなったというのが多少影響してるかも(ポーに狂ってたらこんな余裕はなかったです)。あと、雪組をもう一回(生で)見たかったのも理由といえば理由。ま、東京って案外近いですし……

そういうわけで、わりとノリと勢いだけで行ったので、面白くなかったら(合わなかったら)どうしよう……って一抹の不安がなくもなかったんだけど、結果的にはすごく良かった!行って良かった!!

長いナンバーの繰り返しみたいな構成アンド単純なセットアンド舞台転換という冗長といえなくもない演出なので、序盤はわりと引き気味で見てたんだけど(※)、ダンスパーティーくらいからのめり込んでて、最後は自分でも引くほど泣いてしまった。ヤバかった(※ 喧嘩の場面がややソフト化されてる(?)せいでスピード感に欠けることもあって、序盤は特に、いかにも古いミュージカルだなあ、って印象)。

よくよく考えなくても、こういう「誰かがはっきりと悪いわけではない(この結末を望んでいた人は誰もいない)、にも関わらず、悲劇的な結末に至る話」っていうのにめちゃくちゃ涙腺弱いんですよね。トニーがマリアの死を報された直後から泣きっ放しで、最終的に泣き疲れてしんどかった。フィナーレでもまだ立ち直れなかったくらい。Wで予定組まなくて助かった(ていうか、午後に雪組入れてショー見てテンション上げて帰れる工程組んだ過去の私超有能だわ)。

てことで、諸々適当な感想を箇条書きで。

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・恋に浮かれまくる真風涼帆(違う、トニー)可愛い過ぎるだろ!だけでわりと一幕の感想を言い切った感がなくもない。ドクの店に駆け込んできた時の「聞いて、ドク!」のウキウキっぷりといったら(声が可愛い)。もう少し上、二十代初め〜半ばくらいの年齢設定かと思ってたら、普通に十代の青年で、まさに青春真っ盛りの物語で、真風涼帆は違和感なく若かった(意外とこの人、若ぶれるんだよなあ)。ただまあ、桜木みなとと同世代かというと、桜木みなとがさらに若いだけにちょっと違和感がなくもないんだけど(それは仕方ないですね分かります)。

・全員スニーカーでなおかつ結構激しいダンスが多いので、身長補正ゼロなのかな。さすがの真風涼帆は補正ゼロでも全然小さくなくて、一際映える。かっこよかった。身長は正義。

・真風涼帆って金髪にシャツにデニム、の無造作な服装がめちゃくちゃ似合うんですよね。海外の若手俳優って言われたら信じる勢い。まあ、白シャツの下にババシャツ(しかもグレー)みたいなのを着てガッツリはだけるセンスはどうかな……?と思わなくはないんですけど(←白シャツデニムでデュエットダンス踊る場面/ぶっちゃけダサい)(とはいえ、悪いのは演出家か衣装担当であって、真風涼帆は何も悪くない)。

・予想(期待)通り、和希そらのアニータがめちゃくちゃいい女だった。「この女が選ぶ男はさぞかしいい男だろうな」って自然と思わせるような、粋でかっこいい、イイ女。もちろん美人でナイスバディでセックスアピールもあるんだけど、彼女の一番の魅力は顔とか身体以外のところにあって、ベルナルドもちゃんとそれが分かってる感じ。アニータを選んだ(アニータに選ばれた)ってだけで、ベルナルドの男ぶりがストップ高ですよ(元々かっこいいのに!大変!!)

・アニータのどこが男前って、二幕のトニーとマリアの初夜(!)の翌日に踏み込んだ場面。あの状況でマリアを責めないのは格好良過ぎでしょ……(アニータがこの作品で一番男気ある人物なのでは……?)。あと、チノを探すトニーの前にマリアが現れた時、彼女がすでにアニータの嘘を知ってるように見えるんですよね。アニータは嘘をついたけど(でもってあの嘘をつく気持ちは死ぬほど理解できちゃうんだけど)、帰ってからすぐにマリアに打ち明けたんだと思うと、より一層泣けて仕方がなかった(嘘をつくことになった原因の出来事(※)については絶対言わなかったと思うのでなおさら)。(※ すごくソフトに演出されてたせいで見る人によって解釈が分かれそうだけど、個人的には「ドクは間に合わなかった」と思ってます)

・マリアはわりと記号的なヒロインで、星風まどかはその記号的なところを完璧にこなしてるなあ、ていうのが第一印象。とはいえ、悲劇の連鎖の最初の一押しって、マリアじゃない? 決闘やめろなんて言わなきゃ良かったのに……(ストレス発散のためにやらしときゃいいのよ男ってバカね、っていうアニータがどこまでも正しい)ってあたり、結構難しい役のような気がしなくもない。最後の場面がすごく良かった。「触らないで!」に泣けた。しかし、「チノには何も感じないもの!」とか、マリアって結構辛辣なんだよなあ。

・真風涼帆と星風まどかの並びってどうなの?(犯罪じゃない?)とかって思ってたら、悪くなかった。真風涼帆が若く作ってるのもあって、ちゃんとお似合い! 可愛い二人。意外とロミジュリの方がハマったんじゃないの、って思った。

・男役は黒塗りすると戦闘力が三割増、っていう持論のせいか、終始ジェッツよりシャークスの方が強そうに見えて困った(但しこの力関係はトニーの加入でひっくり返る)。ジェッツに武闘派があんまりいない(ように見える)からかなあ。風馬翔はどちらかというと「気の優しい力持ち」感がある人だし。瑠風輝もキレたらヤバイ系には見えないし。星吹彩翔も明らかに武闘派じゃないし。あれ?宙組って意外と荒んでる系とか強面がいない……?

・そんな中、桜木みなとはわりとキレたらヤバイ系ができる人(私見)なので、リフという役はぴったりだった。若く見えるけど、でも実際若い役だし。周りも若いから似合ってる。ただこういう衣装だと身長補正できないのがツラいなあ、とは多少思った。大きさって絶対じゃないけど、手っ取り早く強く見せたいときには正義なんですよね……でも、それでもちゃんと、真風トニー/芹香ベルナルドと対等に見えたから良かった。

・あと、ベルナルドの男ぶりを上げるのがアニータなら、桜木リフの男ぶりを上げるのは綾瀬あきな!これまた、勝ち気でキュートで一歩も退かないイイ女。ダンスパーティーの水玉ドレスが素敵。アニータ率いる「アメリカ」みたいなナンバーが、ジェッツガールズにも欲しかったなあ。ちょっとでいいから。

・二幕の序盤、ベルナルドとリフの死を受け止め切れていない(妙に軽々しい)ジェッツがすごく座りが悪く思えたんだけど、意外とリアルなのかなあ、という気もする(そういう意味では、チノはジェッツの構成員たちよりも大人だった、のかな/なんとなく納得感はある)。

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・組長は喋ると人が良さそうな地がちょっと覗いちゃうあたり、クズ警官役としてはどうだろう……? 梅芸版は叶うなら、凛城きらあたりで見てみたいかも。

・フェンス越えがかっこよかった。ちょっとやってみたくなりますね(できるとは言ってない)。トニーは普通に登って越えるので、トニーさんはできないのかしらん?、とかって思ってたら、帰りはちゃんとやってた。行きもやればいいのに。

・オープニングでジェッツのメンバーがリンチに合う場面の、チアみたいなリフト(っていうのかな)。あれがめちゃくちゃかっこよかった。待ち上げられたトニーとマリアが倒れ込む(のを周りが受け止める)ところも良かった。

・ジェッツの「俺たちがぐれたのは半分くらいは社会のせい」みたいなナンバー(!)で、ソーシャルワーカーになりきってスカーフ被ってた男役の名前が知りたい。ちょっと凛城きらみたいに見えたけど、凛城きらは不滅に出てたから違う。誰!?

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そんなこんなでとてもよかった。夏はチケット頑張って通いたいなあ(でも朝夏まなとマイ・フェア・レディと被るんだよなあ)。