タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

月組大劇場公演「カンパニー」「BADDY 悪党は月からやってくる」/2・3回目


カンパニーが二回目ですでにめちゃくちゃ辛くて、ホント、私石田昌也好きじゃないなあ……って実感した。ただこれ、幕間の客席の雰囲気(※)とか漏れ聞こえてくる感想聞く限りでは、評判悪くないんですよね。むしろ、結構いい。「面白かった」「泣いた」っていう声を結構聞くし、まあ、そういう感想も全く理解できないわけでもない(石田昌也としては、確かに悪くない方だと思う)。ただまあ、私は石田昌也が好きじゃないので、ピンポイントに差し込まれるデリカシーのない場面と台詞(やり取り)のセンスのなさ(と陳腐さ)が勝って、二回目でもう限界でした。ちょこちょこ発狂しそうだったし、三回見たら発狂してクソミソに言ってたと思う。

(※ アレなレベルの駄作だったときの幕間の客席の雰囲気って相当ヤバイじゃないですか。「え……何なのこれは…私たち一体何を見せられたの」みたいな、理解できない(したくない)観客の戸惑いが充満してる感じで。訓練されたヅカファンばかりならギリギリ笑いに変換されたりするんだけど、「わあい、タカラヅカはじめて」みたいな無邪気なお客さんばかりだと居た堪れなくて、「ホントごめん毎回こうなワケじゃないから(懲りずにまた来てお願い)」ってこっちが謝りたくなる……んですよね。少なくとも今回は全然そんなことなかったのでよかった/だから、原作付けた意味はあったんだと思う。田淵大輔だったら、普通に良作になったのでは……と思わなくもないけど。そして、それならもっとバッディに通えたのに、って思うけど)

そういうわけで、午前公演の芝居をスルーしてショーだけ見たのは我ながら英断でした!

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・バッディは傑作(断言)。

・海産物(違う、ブルーラグーン)の場面で、食い逃げして銀橋に出てきて以降の全場面・展開がめちゃくちゃ好き。特に、「今日は食い逃げ/昨日は駐車違反/スケールが小さすぎやしませんか♪」って歌うスイートハートと、そこに「今帰ったぞ~」って折り詰め下げて帰ってくるへべれけバッディと、「なぜ俺を追いかけない!?逮捕しない!?」ってショックを受けるバッディと、「悪いことがしたい/いい人でいたい」って歌と白黒の衣装とフォーメーションがハイパーかっこいい中詰めと、「私は今怒ってる!/生きてる!!」っていうグッディの感情の爆発にグッと来るラインダンスと、白く光る階段とのコントラストがかっこいい男役ダンスと、ドラマティックなデュエットダンス!(ほとんど全部だなこれ)

・「やりたいことをやる」のがバッディの信条だったはずなのに、「グッディの目を引くために(追い掛けて欲しいという理由で)」惑星予算を盗み出すと決めた(=いつの間にか目的と手段が入れ替わってしまった)時点ですでにまあ、バッディの大敗北なんですよね(でもそこにグッディへの愛を感じる)。上田久美子って、愛の伝え方がストレートじゃないのにはっきりと熱があって、そこが素敵だと個人的には思います。

・惑星予算を強奪して、空に去っていくバッディたちの映像が、宝塚の映像使いとしては珍しく効果的で、スイートハートの投げキスがめちゃくちゃ色っぽくて良かった。あと、足ブラブラしてるポッキーが可愛い(←女装していることに二回目にして気付いた)。月城かなとは超美人なのに、ポッキー巡査の女装が普通にポンコツですごく好き。

・バッディガールズが全編色っぽくてかっこよくてよかった。周りに侍る女のかっこよさってのは、侍らしている男の魅力にストレートに作用するので、バッディガールズがかっこよければかっこいいほど、バッディのイイ男度が上がる。完璧な仕事だった。あと衣装がどれも素敵。赤いレオタードで大階段に仁王立ちしているところとか、最高にイイ女。

・あとは……宇月颯と早乙女わかば恋愛模様がすごく良かった。悪い宇月颯が大好物(グランドホテルとか大好き)なので、ずーっとニヨニヨしながら見てた。なんかちょっと、「若頭とお嬢様」感あって、悪くて大人な宇月颯が自制している(風に見える)あたりがすごく好きです。最後、ハンカチを投げ捨てるところとか、「意識して悪い顔してる」みたいに見えるんですよね。突き放すのが愛なんだわっていう。あと最後にデュエットダンス風に二人で踊るのが好き。めちゃくちゃ良かったし、ほろりとした。

・輝月ゆうまの宇宙人が、ずーっと指をワキワキしているのに三回目にして気付いて、面白かった。終始、ワキワキ星人。めっちゃ宇宙人感出てる。

・バードたちが監視用ロボットにしか思えなくて、そこに一番ディストピアSF風味感じたんだけど、実際どうなんだろう。「森から出てきたばかりなの」って台詞が、「製造された(稼動し始めた)ばかりなの」って意味にしか聞こえなかったんですよね。あと、「タイヘン!タイヘン!」っていう無機質なセリフ回しが最初はちょっぴり怖かったのもある(慣れてくると結構可愛い)。

・で、グッディもそういう意味では怪しいし、全員そうでも面白いな(※)って思って、以下の妄想に繋がります。

(※)つまり、登場人物総AI(ロボット)説。「私は今怒ってる/生きている」って躍動するラインダンスは、治安維持目的のために作られて(今までその役割に何の疑問も持っていなかった)AIであるところのグッディが真の意味で「自我」を獲得した瞬間で、ピースフルプラネットのおままごと感っていうのは、主人を失ったAI(ロボット)たちが「平和を享受する」というおままごとに興じている故であり、なぜピースフルプラネットの君主が「女王」かというと、AIを統制する(していた)のがマザーコンピュータだったから……みたいな、そういう話。百年も二百年も生きられるのは彼らがヒトじゃないからだし、全大陸を緑化しても花で埋め尽くしても問題ないのも全部、「生きているヒトがすでにいない」からなんです。彼らは人類の社会を模しているだけだから、あれだけ未来だというのに古臭い紙幣が現役だったりする(=人類社会には「お金」が必要である、というだけで存在している)。多分、高度に自動化された戦争の行き着く果てに人類は滅び、地球のありとあらゆる生き物は死に絶え、残ったAIたちは一度滅びた地球に仮初の楽園を築き上げた(その過程で意に沿わない存在は月に放逐された)……みたいな壮大な背景があるんだと思う(全部妄想です)。

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なんだかんだ三回見ても見足りなかったので、バッディ目当てでライブビューイング行こうかなあ(でもカンパニーがなあ)って悩んでます。自分で思ってた以上に石田昌也アレルギーだったことを自覚したのでどうしようかと。