タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

宙組大劇場公演「天は赤い河のほとり」「シトラスの風」/2回目


宝塚って基本的に新作主義だから、始まるまで面白いか面白くないか分からないんだけど、始まる頃には土日のチケットは大体完売しちゃうから、一回見て面白かったら買い足すって方針じゃ(面白いからもっと見たい!ってなった時に)全然見れないんだよね。だから、演目と演出家でヤマ張ってある程度バクチ打つ必要が出てくるんだけどさあ……っていう、ヅカファンでもなければどうでもいい類の四方山話を話の流れで会社の後輩にしたら、「で、今回の公演はその賭けに勝ったんですか?」って聞かれたので、「負けた……」って答えました。ツライ。

ただまあ、意外と二回目が辛くなかったというか、「絶対発狂するなコレ」って覚悟して臨んだ割に、「駄作だけどまあ、発狂するほどじゃないな」って感じで平穏に見れたので、ちょっとビックリした。あと、今回は<宝塚初めて/四十年ぶりくらいに見る>っていう初心者二人を引率したんだけど、それなりに楽しんでもらえたみたいでホッとした。まあ、「黒い人がいつの間に味方になったのか分からなかった」「どのタイミングで反乱軍だったはずのカイルが(地位を回復して)正規軍と合流したのかが謎」っていう最もな指摘は受けたけど(こういう矛盾を宝塚で見る度に、脚本家は分かってて見ない振りしてるのか、本当に気付いてないのか、どっちなんだろ……って思うんだけど、実際どうなんだろう(前者ならまだ救われる気がしなくもない……))。

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そういうわけで、細々箇条書き。褒めてません(!)

・意外と辛くなかったんだけど、ポジティブな感想が全然浮かばないあたり、まあ、アレな感じ(お察しください)。

・とりあえず、戦争の場面は、太王四神記みたいに人海戦術(&マスゲーム的な振り付け)で、もっと派手にやって欲しかったなあ。なんか、小競り合いにしか見えなくて、全然「国と国の戦い」っていうスケールの大きさがない(しょぼい)。でもって、銀橋でカイルとラムセスが謎の取っ組み合い始めるので、さらにその印象が増す。原作のあれは、長年の積み重ねがあった上での、地位も身分も、鉄というアドバンテージも抜きにした、文字通り身一つ(!)での、「男と男の勝負」でちゃんと見所(=必然性のある場面)なんだけど、舞台版はカイルとラムセスの絡みも関係性もないので、「この二人は(自分の職務も放り出して)一体何をやってるんだか……(呆)」としか思えなくてですねえ(→あと、「お前の命令なら兵は動くだろう」っていう原作では胸熱だったユーリの見せ場も、そこにいたる部分が端折られているので、全然見せ場になってないんですよね。残念ですね……)。

・宝塚なんだからまずカイルがかっこよくなければ!(ラムセスもかっこよくなければ!)っていうのは(実際この二人がかっこよく演出されているかは別にして)分かるんだけど、そもそも論として、ユーリがかっこよくなければ(ユーリが評価に値する人物でなければ)この二人もかっこよく見えないので、やっぱり序盤にユーリの見せ場が必要だと思うんですよね(現状、鉄ゲットイベントが全然カイルの見せ場として全く効果的じゃないので、じゃあ原作通りユーリの見せ場でいいじゃん、ていうのが本音)。まあ、尺が足りない原因は風呂敷の広げ過ぎなので、芹香斗亜をラムセスに配役してしまった時点で負け戦なのが辛いところなんですけど。

・普通に、カイルとユーリの出会い→ティトの死→ズワとの戦いと鉄剣ゲット→黒太子との戦い→連れ去られる→捕虜の待遇向上エピソード(に、流行り病エピソードを足す)→再会(ここで二人は想いを確認し合う/でもまだ、ユーリは「日本に帰る」が第一目標/カイルも「日本に帰してやらねば」って思ってる)→諸々→カイルの危機を知らされたユーリは、帰還のラストチャンスを捨てて、カイルを選ぶ――っていうまとめ方じゃダメだったんですかね……(ナキアに勝利せずに終わるのが座り悪くてダメっていうなら、どこかで「エジプトと内通している証拠」をゲットして、失脚を示唆して終わる…とかでいいじゃん……)

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シトラスの風は相変わらず良かった。

・バッディでも思ったけど、ライトの点いた大階段に男役が並ぶとそれだけでおお!ってなる。ただ白衣装だと明るくなった後が映えなくてそれは残念。

・ショーが意外と初心者二人に不評だったので、初めての人を誘うなら一本物の方がいいのかなあ、と思った。わりと、「初心者には二本立て!」みたいなことが言われ勝ちだけども、ショーが面白くなってくるのって、タカラヅカのお約束が分かってきて(≒ショーの楽しみ方が分かってきて)、それなりにスターの顔と名前が一致してから(※)、のような気がしなくもないんですよね(※ じゃないと、「知らない人が」「知らない歌を歌ってる」になりがち、というか……)。

・そういう意味では、ショーに筋立てがある月組の方がよかったかもしれない。