タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

花組ドラマシティ公演「蘭陵王」

「騎w馬w戦w」「光wるwヌwンwチャwクwww」みたいな感想が流れてくるのを眺めてたら、見とくべきなのでは?見なきゃ後悔するのでは?(だって私木村信司好きじゃん?)って気持ちがフツフツと湧いてきたので、衝動的にチケット取って見てきた。結果、見といて良かった。私の好きな木村信司だった。嬉しい。「オグリ!」が好きな人は見た方がいいと思う(多分)。

木村信司は結構主張の激しい作品を作る人なので、そこが鼻について嫌いだという人はいると思うけど、個人的には石田昌也よりも断然抑制が効いてるからアリだな、って思った(あと、ちゃんと作品の中に落とし込まれている気がする。まあ時々主張が先行するけど)。

まあ、ちょこちょこ失笑ポイント(※)があって腹筋を試してくるあたりは、よくも悪くも木村信司なんですけどね……(私的三大失笑ポイントは、「騎馬戦(の演出)」「蘭陵王コール」「光るヌンチャク」です。「騎馬戦」は文字通り騎馬戦スタイルだった方がマシだったと思うし、「光るヌンチャク」は見ようによってはかっこよかったけど、蘭陵王コールはどうだろうね……客席もコールしたら楽しかったかもね……)

てことで、走り書き感想。

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・端的にいうと、性的にもそれ以外の部分でも搾取され続けてきた、そういう生き方(生かされ方)しか知らない子どもが、「搾取されている」という事実に気付いて、拒絶する(拒絶してもいい)という発想に至るまでの話なのかな。「何もかも捨てて逃げろ」っていう歌が印象的。あと、ガチの同性愛描写(というか、それが完全に弱みに付け込んだ小児性愛描写であること)に、最初ちょっとギョッとした。キレイ目に描かれてはいるものの、どうしても陰惨な匂いが隠し切れていない。話のテーマ的に、彼らにも「愛」はあった、っていう話ではあるんだけど(それが全然救いになってないのがテーマ通りでもあり、救われないところでもあり)。

・高緯とか逍遥君の視点では明確に愛があるんだけど、蘭陵王にはその「愛」がずっと理解できていなかったというか、彼にとっては「愛(を言い訳にして自分に向けられる欲望)」が、「暴力」でしかなかったあたりが、切なくて仕方がなかった(全然同じ次元に立って話ができてないのに、誰もそのことに気付いていないのが不幸すぎる)。高緯のあの振る舞いは、そりゃ、拒否できない立場の蘭陵王からすると、紛れもなく「暴力」でしかないよなあ、と。切ない。

・高緯はまあ、いうなれば、性質の悪いツンデレヒロインそのもの(※)。残念だけど、「ツンデレは暴力」なんだよね……(※しかもヤンデレ(逍遥君)がセットでついてくるのでさらに性質が悪い)。

・「人の嫌がることはしない」って最後に乱暴にまとめられるんだけど、むしろ「愛があれば何をしてもいいわけではない」とか「愛は時に暴力である」の方が近いのでは、って思った。実際のところ、蘭陵王は「嫌がって」なかったじゃないですか。彼は、自分に向けられる欲望(彼らが「愛」と称する何か)を、「嫌がっていいこと」だとも、「嫌がるべきこと」だとも認識してなかった(できなかった≒その発想がなかった)(そこが個人的には一番切なかったし、最後「やめた」って蘭陵王が言った瞬間、「それでいいんだよ!!」って、めちゃくちゃ嬉しくなった)。

・逍遥君が毒を呷るくだりで女言葉になるのはちょっと余計だったと思う(男を好きな男が全員オネエなわけじゃないじゃん……?)。あと、高緯は女なのに男に生まれてしまった人で、女として逍遥君が好きだった(精神的にはゲイではない)と思うんだけど、逍遥君は男として、男である高緯が好きであるように見えたので、いやあ~不幸な関係だわあ~ってなった。逍遥君がヤンデレ感満載に花毟ってる場面大好き。

・京三沙の語りがすごく良かった。さすが専科、という語り口。小説でいうところの、「地の文」だな、と思ってたので、最後一捻りしてあるのも嬉しかったし、ちゃんと語りが練り込まれてリズムのいい文章なのも良かった。この辺り、やっぱり木村信司とは相性いいんだと思う。

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・逍遥君の帆純まひろがめちゃくちゃ美形。最初見たとき、水美舞斗かと思って二度見した(いるわけがない)。

・宝塚の男役って大体オネエの役が死ぬほどうまいけど、瀬戸かずやも例に漏れずうまい(キャラクタがはっきりしているから演りやすいのかな)。あと、声をいつもよりも作ってないせいか、瀬戸かずや比で歌がうまかった気がする。最後の歌は泣けた。でも、「好きだったのよ!」っていう叫びの辺り、最後まで分かり合えない感満載で残酷。

・花野じゅりあが「じゅりあ様」って平伏したくなるくらいに美女。大好き。あの美貌がなければ、騎馬戦の場面で精神の安定を失ってた気がする。あと、異常に苛烈な実況中継(!)がすごく良かった。贅沢な使い方だなあ。中華美人やらせたら、右に出る人いないと思う。

・凪七瑠海はぽやぽや可憐な少年(十代前半)をやっても全く違和感がないのが凄かった。ビジュアル的にも、声でも、歌でも、完璧に美少年。無理無理しさも若ぶってる感もゼロ。とにかく、可憐で、ひたすらにいたいけ。少年ルドルフやれる(確信)。メイクはもうちょい、女役に寄せてもよかったんじゃないかなあ。イオカステ(オイディプス王)の時、死ぬほど年齢不詳で、神秘的で、謎めいた美女だったから、個人的にはあのメイクで見たかった。

・ヒロインが良かった(誰か分からずに見てた)。ちょっと地味だけど、洛妃という役にはその地味さが似合ってる。でもって歌もお芝居も上手い。クライマックスで「生きろ」「何もかも捨てて逃げろ」って歌うところで、グッと来た。泣けた。いいなあ、音くり寿(調べた)。素顔見る限り、化粧が上手くなればもっと綺麗になりそうな人なので楽しみ。

・「愛していますお慕いしています」の歌も良かった。生田大和の迸る中二感もキライじゃないけど、木村信司の平易な言葉遣いも好きだなあ。今回は、言うほど連呼しないので木村信司感はわりと薄めな気もする(そうか?)