タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

雪組大劇場公演「ひかりふる路」「SUPER VOYAGER」/3回目

そういうわけでチケットを無理矢理捻り出して3回目見てきた。初めての上手側なので色々新鮮。大体いつもそう思うけど、二階席から見る方が好きだなあ(前は前なりに、近いってことに興奮するんだけど)

・三回目にして暗黒面に落ちた望海ロベスピエールに哀れさみたいなものを感じてドキッとした。特に至高の存在の祭典の場面。痛々しいんだけど、でも、やっぱり魅力的。望海風斗の声ってパキッとしていて聞き易くて好きだなあ。あと歌に力があるので、「ロベスピエールの語る理想は毒だ」って評されるのがすごくよく分かる。

・ルイ十六世の衣装にもなかったので、斜め線は別にギロチンで死ぬ人限定モチーフってわけじゃなかった模様(単純に革命家には全員ついてるのかも/デムーラン夫人の紺ドレスじゃない方の衣装にはついてたし)。

・ついに処刑台の階段を数えることに成功した。(数え間違ってなければ)十二段だった。十三段じゃなかった。

・やっぱりダントンとロベスピエールの楽しい晩餐の場面が大好き。っていうか、「ジョルジュを呼びましょう」→ジャコバンクラブ→晩餐→処刑までの流れが狂おしいほど好きです。

・ダントンが処刑の場面で「先に行ってるぜ」って言うのがホントに最高ですよね。「次はお前の番だ」とかじゃないのがいいんですよ。ここのダントンにロベスピエールに対する恨みつらみみたいなのが全然ないのがすごくいい。ロベスピエールを止めることが(救うことが)できなかった…っていう悔い(※)はあっても、ロベスピエールに対する恨みも憎しみもない(でもって、デムーランもそんなダントンを理解して処刑台で静かに彼を迎える)。(※ そして、救えなかったことを悔いてはいるんだけど、自分の行動はひとつも後悔してなくて、やりきったぜって堂々としてるのがかっこいい)

・デムーラン夫人の彩みちるがかっこいい!好き!!(けど、ショーだとイマイチ見つけられなくて残念……)

・女革命家たちの場面が相変わらずかっこよかった。舞咲りんいいなあ。

・エレオノールは完璧報われない片思いキャラでちょっとかわいそう。「あなたが振り向いてくれるまで私は耐え忍びます」みたいなところが若干怖い。

サンジュストがイマイチ映えないのって、キャラ的にロベスピエールと被ってるからじゃ…?って今回初めて思った。本質的に真面目で、真面目だからこそ思い込んで突き進むと怖い、みたいな。

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・ショーは、朝美絢と望海風斗の逃避行(未遂)の場面と、めちゃくちゃかっこいい娘役のスパニッシュの場面と、スーツで踊る彩風咲奈センターのところと、アンダルシアが大好き!

・そういえば今回ショーの衣装がどれもよかった。望海風斗って身長ないのに意外とロングコートが似合う。沙央くらま(美女モード)のドレスも良かったなあ(あとここの歌がすごくよかった)。

 

雪組大劇場公演「ひかりふる路」「SUPER VOYAGER」/2回目

二回見ても全然満足できなかったので、三回目のチケットを探し回ってます。まあ、どこにもないんだけど。平日ならどこからか湧いて出てくるんじゃないかしら……?(でも宙組公演中にあれだけ奔放に有給取ったのに? タカラヅカスペシャル中継のために休むつもりなのに? ポーも休まなきゃ見れないよ!?)って、微妙に煩悶中。

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・開幕前に、「あの(幕の)斜めの線は「ひかりふる路」を表しているのかなあ」って言ってる人がいて、「残念それはギロチンモチーフ(多分)」って心の中でこたえたんだけど、「ひかりふる路=ギロチン無双ロード(!)」って解釈すると、色々怖いなって思った(そりゃ確かに、「ひかり(=ギロチン)」は死ぬほど「ふる(=落ちる)」んですけどね(意外と面白い解釈かもしれない))。

・あと、この印象的な斜め線モチーフがタレーラン(とか将軍たち)の衣装には使われてないように見えるので、最終的に処刑死する人だけこのモチーフの衣装なのかしらん、とかってちょっと思った……んだけど、(処刑された)マダム彩凪翔の衣装にも使われてないように見えるので考え過ぎかも(デムーラン夫人のドレスにもなかったような気がするし)。

・「どういう話なんだろう」って身構えてた前回と違って、今回は楽しみ方が分かっているので、最初から最後までとにかく楽しかった。望海ロベスピエールの何がいいって、誰の目にも明らかな「破滅」に突き進む姿が激しい光を発しているところと、ちょっとギョッとするくらいその光に力があるところなんですよね。真面目な人なのに意外と堕ちて行く(破滅に突き進む)姿に「哀れさ」「痛々しさ」みたいなものがないので、すごく魅力的だし見ていて辛くない(というか、「痛々しさ」はあるんだけど、「見ていられないような痛さ」ではない、というか)。感情が爆発するところ(「恐怖なき徳は無力である!!」)に変なカタルシスと爽快感があって、ワクワクしながら見ちゃった(※)。

(※ どちらかというと、開幕早々のサンジュストの演説(「戦場ならば敵は打ち倒すのみ。我らの敵に「裁判/法律」は不要である」(大意)のところ)の方が恐怖政治とカルト感が溢れててゾッとするし、そういう風に演出されているような気もする。ルイ十六世の処刑の場面にロベスピエールが立ち会わないのってイメージ的な配慮なのでは……?/とか思ったけど、「君のあの演説は素晴らしかった」みたいな台詞があるから、単純にロベスピエールさんをせり上がりで登場させたかっただけなのかしら……/弁護士があの演説を肯定しちゃいかんでしょ……って思うのは現代人の感覚なんですかね(正直開幕だけでいうとジロンド派に肩入れしちゃうゾ))

ロベスピエールが暗黒面に落ちてからが勝負!みたいな脚本なので、そこに至るまでが退屈になってしまうとアレなんだけど、曲に力があるのとマリーアンヌの存在がそこを埋めてくれるので、やっぱり最初から最後まで楽しかった。二回目でも「マリーさんデレるの早すぎでは?」とは思うものの、家族を失った悲しみをとりあえずロベスピエールにぶつけているだけ(=明確な憎しみがあるわけではないし、復讐対象でもない)って背景を呑み込んで見ると、そこまで違和感はない。でも、マリーアンヌってやっぱり難しい役だと思う。

・彩風ダントンが相変わらずかっこよかった。役もかっこいいし、彩風咲奈もかっこいい。「ジョルジュを呼びましょう」から説得空しく処刑までの流れがホント、文句のつけようがないくらいに完璧。あと「ジョルジュを」って言い出すのがデムーラン夫人なのもいいよね。声が凛としていて、すごくかっこいいの(彩みちるの名前をやっと覚えました/弥彦してた人ってのは分かる)。沙央デムーランはちょっと「ヘタレ」な役どころ(で、奥さんが凛々しい)なんだけど、そのデムーランが処刑台で静かにダントンを迎えるところが、泰然としていて、運命を受け入れてなお前を向いていて、めちゃくちゃかっこよくて好き。

雪組って全体的に歌のレベル高いのかなあ。メインメンバーに歌が明らかにアレな人(ハードルは相当低い)が少ないような印象。一部の難しそうな歌(を議員たちがソロで歌い継ぐところ)が苦しく聞こえた以外は、ロベスピエールの下宿先の娘さん(エレオノール)くらいしか、アレ?ってならなかったんですよね(エレオノールさんは可愛いのでちょっとくらいアレ?ってなってもセーフ)。

・「普通に出会って/結婚して/子供ができて/家族になる/そういう未来があっただろうか……?」「いやそんな未来はなかった/そうであれば私たちは出会うこともなかった」(大意)っていう最後のやり取りで盛大に泣いた。個人的にはここで一番、涙腺が刺激されます(ダントンの処刑は見せ場なので泣くというよりむしろ滾る)。

・前回に引き続き、階段の段数を数えようとして挫折した(やっぱり十三段なのかなって気になってる)。

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・前方席だったせいか、周囲のポンポン所有率に困惑する幕間(!)。

・二階席じゃなかったので、二階席の客席降りが見れなくてちょっぴり残念(二階席にどこかの高校の貸切が入っていたので、客席降りの時に盛り上がる声がかすかに聞こえて面白かった)。二階席の客席降りってびっくりしますよね。初めて見たときはめちゃくちゃ驚いたし興奮した(でも当時(百周年前)の二階席は土日でも空席が多かったので、胸も痛かった)。

・歌詞は二回目でも全然慣れなくて相変わらず恥ずかしい。ショーの歌詞(というか、役ではなくジェンヌそのものとして歌ってるシチュエーション)での、一人称「オレ」ってちょっと恥ずかしいじゃないですか(ガチファンだとそうでもないのかなあ)。ストーリー性がある場面なら別に何とも思わないんだけど。

・あと、若手のジャニーズみたいな場面の映像使いに背中のムズムズが止まらなかった。踊ってる男役はめちゃくちゃかっこいいのに、最後に文字出るあたりとか最高にダサくない……? 演出家的にはあれがミソなの……?

・でもそれ以外は大体全部好き(雑な結論)。

・アンダルシアに憧れて~♪がすごくいい曲なので、望海風斗でもっと聞きたかった。「誰か彼女に伝えてくれよ♪」のところのドラマチックさがとにかく完璧。いい歌だなあ。

・あとその一つ前の場面、ここの彩風咲奈がめちゃくちゃかっこいいんだけど、同じくらい周りの娘役がかっこよくてワクワクする。こういう、黒と赤のフラメンコみたいな衣装で、髪に赤い花を飾って扇を持って踊るのっていいですよね!すごくいい!! 歌もかっこいいし、娘役がオラオラしてるのがホント好き。もっとやって欲しい(※)(でもって、そんなにかっこいい娘役を周囲にはべらせて(はべってない…か…?)踊るっていうのが彩風咲奈の男前度を上限まで上げてる/娘役が寄り添ってくれるのも好きだけど、凛々しく並び立っているのはもっと好きです)。

(※ アパショナードの娘役群舞(階段降りてくるところ)とかね/あれは城咲あいのかっこよさに心底痺れた/あの瞬間、月組の三番手張ってたといっても過言じゃない)。

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そういうわけで、三回目のチケットを探す旅に出ます。年明け東京までWSS見に行くついでに、雪組も見てこようかなあ(どっちもチケット確保が死ぬほど大変そうだけど……)。

 

月組バウホール公演「Arkadia」

初めての演出家なので、期待できる人だといいなあとか思いながら見てきたんだけど、イマイチ判断に困った。複雑な筋立ての話ではないので「明らかな破綻」はないんだけど、心情的なところがきちんと書けてるかっていうと「?」だし、「魅力的なキャラクタ」がいないので、下級生が全然分からない人間からすると、わりと退屈。暁千星のダンスだけで保ってるようなところがある。キャラクタ立てが弱いのって宝塚の演出家としては致命的じゃないですか。「誰か分からないけどあの役の人が良かった!」が今回全然なかったのです(※)。バウでそれって結構珍しい(※というか、どちらかというと好感を抱けない登場人物ばかりでちょっとアレな感じだった。フェリとかフェリとかデジレとか。なのに後半それで謎の友情ドラマ始めるから余計引っ掛かる)。あと、台詞回しに正塚晴彦臭があるので、あの独特の言い回しが苦手な私はちょっと辛かった(やたらと「〜よ!」って言うの、関東の人だと違和感ないんですかね…?)。

 しかしまあ、暁千星はかっこいいし、ダンス踊ってるところにのびのびした解放感あってすごく良かった。二十歳くらいの役なので若いのも違和感がないし、それが可愛いしかっこいい。変にハードな役柄で大人ぶるよりこのくらい若い役の方が、色々積んだ経験で出る余裕、みたいなのがどこか翳りを帯びて大人びた風になってていいなあ。あと、右頬に結構大きい傷跡があったんだけど、あれ、話に全く絡まなかったし、色もつけてなかったから舞台メイクじゃないのかな。それが妙に魅力的だった。

 ダリアはスター!って感じで押し出される役なので、難しい役だなあ、っていう印象。どうしても「スター格」的なものが足りないように見えちゃう。可愛いし、下手では全然ないんだけど。フォルスタッフのジュリエットなのかな? あの時はめちゃくちゃ可憐なジュリエットに見えたので、こういうはすっぱな役が似合わないのかもしれない。

脚本的に言うと、もっと完全に年上に振り切った役(全盛期を過ぎたかつてのショースターとか)にした方が面白かったのでは、とか思ったり(個人的に、大人の女性と少年を残した青年のラブロマンスを見たいという欲望を抱え続けてるので……)

フェリが二番手役なんだけど、イマイチいいキャラクタとは言い難くて損な気がする。役者ではなく脚本の問題 として。いきなり歌い出したあたりで、「なんで急に歌い出したのこの人、二番手アピール!?」って思わせるあたり、色々失敗してる……(ダリアを挟んだ三角関係にすらなってないので)

あとは……

・探偵役が下級生の割にうまい(でもまあ、この役もイマイチ意味のない役でもったいないんですけど……)。一応語り手なんだけど、なんで語り手というポジションをおいたのかが最後まで見ても理解できなかった(ミネットは後に……みたいなオチがあるかと思ったらないしね)。 

・白雪さち花はさすがにうまいし、ジャン=ポールの光月るうが超いい声。

・ドミニクの青いワンピースが可愛かった。あと、使えないオーナーにイライラしてるのがよく分かるあたりの演技好き。

・演出家的には「これがやりたいの!」っていう熱意がどこにあるのかが分からなかったのが一番残念。

雪組大劇場公演「ひかりふる路」「SUPER VOYAGER」/1回目

※注/世界史やってないのであの辺りの歴史背景全然よく分かってません!予習しない派なので大して調べてもいません!!「ロベスピエールってことは…処刑エンド?」くらいの知識で見てます(やったね予想大当たりだよ(!))

ファーストネームで呼び合われたら誰が誰だか分かんねーな…って開幕五秒(嘘)で悟ったくらい訳分かんなかったんだけど、脚本家はあんまり悪くない…かな……多分、フランス革命に関する宝塚ファンの知識に多大に期待してる気がする(そして私はその期待を盛大に裏切ってる)(しゃーない)。でもまあそれでも大筋のストーリーは把握できるので大丈夫。

序盤はどういう話になるのかが掴めなくてちょっと入り込めなかったんだけど、「あ、望海風斗(違う、ロベスピエール)が闇落ちする話ね」って分かったら俄然面白くなった。サンジュストという救済措置はあるとはいえ、ここまでガチで主人公が粛清繰り返すと思ってなかったので、ちょっと意表を突かれた。でも望海風斗だと持ち味(※)のせいか、極悪人感がそれほどないので抵抗なく見れる(※ わりと痛々しいくらいに生真面目感がある人だから。あと、歌に力があるというのも大分寄与してるような印象/ミュージカルにおける「弁舌が立つ=歌が上手い」の法則の力って絶大じゃないですか)。

彩風咲奈のダントンがとにかく終始かっこよくて美味しかった。ギョッとするくらい色男だし、飄々とした男前。「口説くのはいい女に対する礼儀だぜ」とか言いそう(邪推です)。でも愛妻家ってあたりがベタなんだけど、すごくいい。彩風咲奈って舞台化粧にちょっとむくれた少年感があると思うんだけど、それが今回、少年の無鉄砲さが残る男、になってて良かった。説得の場面で望海風斗と相対して、全然押し負けてないことに感動さえ覚えた。いやあ、立派に二番手してる!

真彩希帆は多分、個人認識して見るのは初めてかな。とにかく歌が上手いし、演技も悪くないし、可愛いし、老けて見えない人で良かった。ただ、マリーアンヌという役は意外と難しいのかしら、っていう印象。結構早い段階でナイフチラつかせなくなるので、マリーさんデレるの早すぎでは…?とか思ったんだけど、最後の場面では「今でもあなたを恨んでる」みたいなこと言うんですよね……何か見落としたのかもしれない。あと、折角歌が上手いのに、キャッチーなナンバーに恵まれてないのが勿体ない。盛大に歌い上げて欲しかった。

朝美絢は相変わらず美しい。でも意外とこういう病んでる系が得意!って持ち味の人ではないのかな。めちゃくちゃ病的なロベスピエール信者の割に、ヤバさよりは健気さの方が前面に出てる感あり(まあ、その健気さってヤバさと紙一重のような気もするけど)。

夏美ようは台詞声が篭ってるので、こういう役(状況説明役を兼ねてる)だと他の人で見たかった。組内にできる人が絶対いると思う。

あとは、女たちの場面が結構印象的。わりと全編「情けない男たちと性根の据わった女たち」感があるんだけど、一番あそこでそれが出てる。情けなく逃げようとする男の中で毅然と立つ彩凪翔(美人モード)とか、微笑みさえ浮かべてダントンを迎える、沙央くらまの妻(役名も中の人も分からないのが惜しい)とか(あの場面は沙央くらまも彩風咲奈もかっこよかったけど)。

ジャコバン派ジロンド派カラーギャング(というかロミジュリ)みたいに色分けてくれたら分かり易くて個人的には嬉しかったかなあ。皆似たような衣装なので、下級生どころか中堅どころも顔が怪しい人間にとっては、個人認識が盛大に怪しかった……辛子色の服を着たイケメンは永久輝せあでいいんですかね……?

大階段を処刑台に見立ててそこを上っていく望海風斗で幕なのでは、って予想してたんだけど、ちょっと外れた。シェイクスピアほど盆回ったり派手な演出はなかったのはちょっと残念。でも処刑(というかギロチン)の見せ方はよかった。そういえば、最初にルイ十六世が上っていった階段を最後ロベスピエールが同じように上っていって終わる、んですね。いいですね。

ショーの感想は以下、箇条書きに。

・歌詞がこっ恥ずかしい。あと映像の使い方(というかセンス)もちょっとこっ恥ずかしい。 

・サヨナラに比べてお披露目ではそれほど内輪ネタを繰り出すイメージがなかったので、随所で押し出される「望海風斗お披露目!」感にニヤニヤした(そもそも、トップの名前を織り込んだショーって、所謂お約束的に言うと退団作品を連想するじゃないですか)

・朝美絢がハイパー美女モードの場面が好き。まあ、宝塚のお約束的によくある「女(たまに男)を取り合っての刃傷沙汰」の場面なんだけど。逃げようとした二人に帽子を渡してくれるあたりの小芝居がきっちりしてて、グッと来た。あと沙央くらまがめちゃくちゃ美女。好き。

・彩風咲奈って踊れる人なのね!って嬉しい驚き。あと、サンバ衣装の場面でちゃんと「二番手用」みたいな色違いの衣装を着せてもらってるのがちょっと嬉しい。

・野口幸作って藤井大介に勝るとも劣らないくらい男役の女装が好きなのでは…ていう疑惑を抱いた。サンバの場面でダルマ衣装着てたのが永久輝せあってことでいいんですかね……?

 

宙組東京宝塚劇場公演「神々の土地」「クラシカルビジュー」/中継

宝塚千秋楽中継のカメラワークがあまりにも良かったのと、あれがほぼ初めての中継だったということで、これくらいが普通なのかな?とか思ってたんだけど、とんでもない勘違いだった。東京千秋楽中継のカメラワークはびっくりするくらい色々怪しかった。「ここでなんでそこなの!?」「ちょっと振ったら二人とも入るのにどうして入れないの!?」「え、入れないだけならまだしもそれで慌ただしく切り替えるの!?」「何なのその謎のバストアップは…」「今カメラの切替ミスりましたよね!?」のオンパレード。あれだ、観劇五回目くらいの細かいとこ確認するためにオペラ覗きまわる私の視界だこれ(!)。全然オペラ定まってないし、大事なところちょいちょい見落とすし、たまにオペラ落とすアレ。

まあ、最後の公演を見せてもらえるだけで満足なので、今回に関しては全然私自身としてはいいんだけど(宝塚千秋楽のカメラワークだったら…とは何度も思ったけど)、「退団のイベント」ではなく、宝塚の舞台のライブビューイング、として売り物にするなら、最低限の中継のレベルは必要なのでは…?ってちょっと思った。最近のライブビューイング推しって、「生はハードル高いけど中継なら」みたいな人を狙ってるんだろうし……(違うのかな)。

ちょこちょこ思ったことだけ箇条書きで。

・ドミトリーがすごく若くなってるので、宝塚での最初の方と比べると結構別人感があった(※)。お互い愛し合ってるし、そのことを分かってもいるけど、(自分もイリナも)愛ゆえにすべてを投げ捨てることができない、という事実にどこか苛立ちを覚えてるように見える。年齢の分だけ、イリナの方が覚悟の完了が早かったのかなあ、っていう印象。

(※ 宝塚のドミトリーはラスプーチンにドン引きしてるんだなって感じたんだけど、千秋楽のドミトリーはむしろ嫌悪感が強く出てた気がする。あと、アレクサンドラに向ける眼差しが明らかに好きじゃない/気に入らない人に向けるソレ→だから、ラスプーチン暗殺に対しても積極的に見える)

・「あなたが結婚する前の名前を一度呼んでみたかった」の後にハハって自嘲するのがすごく新鮮で、「あれ、この二人ってもしかしてプラトニックなまま終わったのかしら」って初めて思った(これまでは過激な「最後に結ばれたに決まってるだろ」論者でした)。面白い。

・ 謎カメラがちょいちょいジナイーダさんの顔を抜くので、「この人ホント性質悪いな」ってあらためて思った。「欲望に正直になりなさいよ」って迫りつつも、ドミトリーとイリナがどう対応するかっていうのを冷徹に観察してる風なのが最高に怖い。ジナイーダ的には、「愛し合ってるけど愛だけに生きられないドミトリーとイリナ」が至高なの…?(なんだかんだ二人が結ばれてドミトリーが幸せならそれでいいよ……って言いそうなユスポフくんとは対照的ですね…)

 ・最後の銀橋の歌になんかグッと来た。あそこは一瞬、ドミトリーじゃなくて朝夏まなととして見てしまうようなところがあった。退団なんだなあ、って。まだあんまり実感があるわけではないんだけど。

・サヨナラショーはやっぱり面白かった。しんみり……できない(!)。いいサヨナラショーだなあ、ってあらためて思った。翼ある人びとのデュエダン→メランコリックジゴロ→王妃の館、の流れが狂おしいほど好き。

・カーテンコールは三回目くらいからぐだぐだで、朝夏まなとがいつもの調子でパカって口を開けて笑う姿が見れて嬉しかった。あと、「今まで支えてくれてありがとう」って言われて言葉に詰まって「そんなことないですぅ…私の方が…まぁさまぁ」ってなってる真風涼帆がこれ以上ないくらいゆりかちゃんで胸が熱くなった。

・そういうわけでいい千秋楽でした。カメラワークに不満は言いつつ、ライブビューイングしてくれることには感謝しかないです。

 

「カンパニー」(伊吹有喜・新潮社)/読書めも

次回月組公演の原作本。原作ってだけで買うにはちょっと高いので躊躇ってたんだけど、「伊吹有喜は結構いいから警戒せずに買うといいよ!」って教えてもらって買ったらたしかに普通に面白かった。ざっくりした感触的には、初期の荻原浩とか山本幸久みたいな印象。軽めの文体と作風で、良くも悪くも漫画的で読み易い(ただ、奥さん周りだけ妙にリアルで陰鬱で鬱々としていたのでギョッとした/「私たちいい友人になれると思うの」のくだりの薄気味悪さなんか、作中でそこだけ浮いてる気がする/ここで、作者は女の人かな?ってちょっと思った)。

原作の主人公は「奥さんに離婚を突きつけられたばかりの中年男性」なんだけど、それは設定上そうなだけで、読んでいて加齢臭が漂ってくるようなリアルさは一切ない(そこがよくも悪くも漫画的)ので、「奥さんを病気で亡くした青年」に改変されても違和感はない(でも、「総務畑一筋」「地味だけど事務屋としては有能」っていう設定にときめいたので、そこらへんが改変に伴って消えるとちょっと寂しい、かな)(リストラ候補筆頭、あたりの設定も宝塚版では消えるのかも)。珠城りょうは宝塚の男役としては珍しく「普通のサラリーマンが似合う人」なので、青柳は絶対ハマると思う。わりと受動的というか、振り回される役なので余計に。高野(美弥るりか)との掛け合いが楽しみ。あとサラリーマンものの見所って絶対「上着を脱いでシャツの袖を捲り上げて、ネクタイを胸ポケットにIN(で力仕事)」なので(そうか?)、そういう場面を無理矢理にでも入れて頂きたい…!是非…!!(ほら、防虫剤入れるところとかで……)

でもって美弥るりかの高野!これも多分ハマり役。あの人、「女関係が派手、という噂とは裏腹にちょっと潔癖症の気がある/憂愁の貴公子/衰え始める年齢に差し掛かったバレエダンサー」とか絶対似合うじゃないですか(美弥るりかって踊れる人なんだろうか、ってことだけちょっと謎だけど/ダンサーのイメージないんだよなあ)。あと、珠城りょうと美弥るりかって明らかに「作画が違う(※)」ので、「地味で堅実なサラリーマン」と「派手で美貌のバレエダンサー」のズレた異業種感にちょうどはまる気がする(※ 美弥るりかは劇画の影響受けてた時代の少女漫画/珠城りょうは劇画のニュアンスがほとんど抜けた今時の青年漫画、みたいなイメージ/星組出身者って大体劇画風の作画だと思ってる/芹香斗亜は例外)。

那由多に暁千星以外の配役が考えられないので、「あれ、じゃあ、月城かなとの役がないぞ(蒼太ってキャラじゃないし、そもそも男役の大きい役が青柳・高野・那由多くらいしかない気が……)」って読みながら悩んでいたら、「女役があるのでは」っていう電波を受信した。つまり、月城かなと→瀬川由衣。美弥高野の相手役としては体格的に無理があるような気がしなくもないんだけど、まあ、バレーボールをガチでやってた人だしちょっとくらい大きくてもへーきへーき。キャラ的にも地味で陰気な役似合うと思うし(褒めてる)。まあ、沙良でも案外面白いのでは?とも思うんだけど、月城かなとに踊れるイメージが一切ないので……(実際のところ、踊れる人なんですかね…?)(そもそも上から順に役振っていったら、那由多→月城かなと/蒼太→暁千星なんだけど)。

原作の比重的には、「青柳≒高野>瀬川>美波>沙良=那由多>蒼太>山田」みたいな印象なので、沙良役が気になる。硬質な美女(でも雰囲気は派手だし、威厳もある)で、正統派バレエっぽく踊れる人って誰がいるんだろうか。娘役に疎いのでさっぱり分からない。体制的には海乃美月か早乙女わかばなのかな、とは思うんだけど(この二人だと、ビジュアル的には海乃美月のイメージかなあ/でもあの人、良くも悪くも地味だしどことなく真面目そうなんだよなあ)。

あとは、山田重役を宇月颯で見たい(そしてキレッキレに踊って欲しい)(できれば髭で)。「今夜はベリーダンスで一稼ぎ」な乃亜は憧花ゆりので見たい(個人的にあの人が好きなだけ)(むしろ憧花ゆりのは瑞穂先生では、という気がしなくもない)(瑞穂先生はできれば五峰亜季で見たいんだけど、最近全然見てないので体調が心配/私が見逃してるだけならいいんだけど)。

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そういうわけで、普通にやったら(一時間半に納めるのにちょっと神経使いそうではあるけど)絶対面白くなると思うので、本筋には関係ないところ(スポンサーとかカネコネとかアジア人差別とか社内政治関係の諸々)で石田昌也が暴走しないことだけを願ってます(あの人センスないのにやたらと社会風刺的なことやりたがるから/下品なところよりも何よりもそこが一番好きじゃない)。めちゃくちゃ楽しみだけど同時に凄く不安!!

 

ラインナップ発表とか柚香光ブリドリとか宙組エリザナウオンとか/CSめも

星組ラインナップ発表/「ANOTHER WORLD」「Killer Rouge」

原田諒→谷正純って並びは、(いくら「ベルリン」が原田諒比でマシだったとはいえ)ちょっとどうなの……って一瞬思ったんだけど、よくよく解説読んだら落語モノだったのでほっとした。コメディの時の谷先生は(多分)大丈夫だし、落語ネタの時はもっと大丈夫。良かった。わりと楽しみ。できればガチガチの和物化粧じゃなくて、和風ビジュアル系で見たいなあ。あと、礼真琴が盛大に歌い上げるキャッチーなミュージカルナンバーが欲しい。歌詞は多少トンチキでもいいから、とにかく曲調がかっこいいやつ!

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雪組ラインナップ発表/「凱旋門」「Gato Bonito!!」

柴田作品が軒並み合わない人間なので、「凱旋門」も合わない気がしてイマイチテンションが上がらない(でも「黒い瞳」と「アルジェの男」は好き)。轟悠の声がちょっと苦手なのも懸念材料といえば懸念材料(「ロストグローリー」は楽しく見れたから、生だとそうでもないのかなあ)。しかし、轟悠の大劇場主演ってまだやるのか……(しかもそういう体制考慮して作った作品(※)じゃなくてガチのトップ主演作再演で……)っていうのが正直な感想。しばらくなかったから完全に油断してた。(※ 「ロストグローリー」とか「暁のローマ」なんかは主演格を二つ用意しよう、っていう意図が見える脚本だと思うんだけど、通常のトップ体制下で作られた作品ってまあ大体そんなことないじゃないですか。で、そういう作品で全役スライドされちゃうと役不足感半端なくない? 役足りなくない?、ってひたすらに不安でしかない。「凱旋門」ってちゃんと二番手以下も美味しい作品なんですかね……)

あと、望海風斗に猫ってイメージがなかったので、ショーは解説読みながら「???」ってなった(どっちかっていうと犬では)。

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すみれの国の華麗なる食卓

まとめて再放送されてたので録画してちまちま見た。めちゃくちゃぬるい番組だった(褒めてる)。

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Brilliant Dreams#119 柚香光<Personal>

柚香光ってあの蠱惑的な美貌と佇まいについ騙されそうになるけど、中身はどっちかというと小学生男子☆な人なのか……ってことにようやく気付いた。竹光にテンション上がってブンブン振り回している姿が、麗しいのに完璧に「男子(ていうか男児)」だった。面白いなあ。だから、案外「裏のない役」が似合う(「裏のない役」を演ってる時に「絶対この人何か企んでる/腹にイチモツ抱えてる」って思わせない)のかも。

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NOW ON STAGE 宙組エリザベート

もはや朝夏まなとなら何でも可愛い状態になっているのでアレなんだけど、トークがいい感じにゆるゆるで面白かった。「エリザベートそっちのけで踊り出す閣下」「最後のダンスは俺のものしか言ってない」、確かに。あと、愛月ルキーニのアドリブのくだりが面白かった(「「ファラオ!」って(客席の超上級生を)呼び捨てにしたから、「お、あくまでルキーニで行くんだな。いいぞ」って思ったのに、「お写真撮らせて頂いてもよろしいですか……?」って言っちゃうんだもん!」(大意)ってバカ受けしてる二人(朝夏・真風)がとにかく可愛かった)。

愛月ひかるって、スカステとかで見掛ける度に毎回、「分かり難いファッションセンス(婉曲表現)の人だな……」って首を傾げてた…んだけど、今回はルキーニコスプレなので普通にかっこよかった(愛月ひかるの名誉のために付け加えると、半分くらいは私が流行のファッションを理解してないせいだと思う…多分)。

 

月組大劇場公演「グランドホテル」「カルーセル輪舞曲」/BD

開始3分で、「なんでこれ見に行かなかったかなあ」ってめっちゃ後悔した。まあ、忙しかったからなんだけど、お正月公演だったんだからそこでチケット抑えとけば見れたのに……。結構古い作品なので海外ミュージカルと聞いてもそんなに惹かれなかったんだけど、普通にいい作品で、何より好みだった……凹んだ。

そして、珠城りょうがとにかくかっこよかった。いやあ、かっこいい!、って思ったことはあってもときめいたことがない人だったのでちょっとびっくりした。こういう、いい人とは一概に言えない/むしろ結構ダメな人の役だと、珠城りょうの善人オーラと真面目っぽさがいいカウンターになって、すごくハマってる。意外。ジゴロとかさせちゃいけないタイプだと思ってたんだけど、勘違いだった。タイを結ぶところの端正な魅力といったら……!(案外、真風涼帆と同じ文脈でわるーい役の方がハマるタイプなのかな)

でもって、宇月颯の運転手がまたよかった。いかにもワル!って感じで、「バラして売り捌くために神様がおつくりになったようなネックレス」のくだりの台詞回しがツボ。二人の掛け合いの場面がどれも良かった。男爵みたいな男が心底嫌いなんだろうけど、「生まれながらの貧乏人は絶対こういう男にはなれない/こういう生き方はできない」って思ってるとこもあるんだろうなあって思った(それ故に嫌いだしバカにしてるし見下してるんだけど、一目おいてないこともない、みたいな)。

あと、愛希れいかと珠城りょうが宝塚には珍しい年齢設定で嬉しかった(まあ、海外ミュージカルだからだろうけど)。こういうの、大和悠河&陽月華でも見たかったなあ。「29歳と29ヶ月」「39歳と39ヶ月」のくだりが大好き。最後、回転ドアですれ違う演出も好き。ああいう、舞台の上にいる人は失ったことに気付いてない/だけど観客は知っている、っていう場面に弱いのでめちゃくちゃ泣けた。

愛希れいかって若い女の子演っても違和感ないし、花の盛りはとっくに過ぎたような女性でもハマってて、なおかつちゃんと「盛りを過ぎた美しさ」があって、何もかも完璧だった。「あなたの人生は、あなたの顔に現れてる」って最高の口説き文句では。

オットーとフラムシェンが可愛くて、「金の切れ目が縁の切れ目」って予言されてるけど、わりと幸せにオットーは死んだと思いたい。オットーって結構有能そうだし、フラムシェンもわりと堅実なタイプ(でもって彼女はそういう自分にあの一件で気付いてしまった)と思うので、案外うまくやったのでは……? 

あとは……愛希れいかの付き人! 愛希れいかを愛してる女性ってことでいいんだよね……? 隠し切れない体格の良さと難易度の高い髪型のせいで、いささかならぬオカマ感が出てて、そのせいで理解が妨げられたような気がしなくもない……(でも、暁千星はホントに上手くなったなあ、と思ったのも事実)。凪七瑠海(イスカリオテモード)とかでちょっと見たかったなあ。それか普通に娘役(そうするには、男役の役が少なすぎるんだろうけど)。

ショーも良かった。 稲葉太地作品だとカルネヴァーレの次に好きかも。

宙組東京宝塚劇場公演「神々の土地」「クラシカルビジュー」/10回目

宝塚との一番違いはイリナ。明るくなってるというか、若くなっているというか、とにかくちょっとだけ口調が強くなってるような気がする(※)。ドミトリーの「バカなことをした」とかフェリックスの「おはよう、お二人さん」とか、宝塚の公演中に変わった台詞回しは基本的に変化後のまま。特別大きい演出の違いはなし……かな?(あんまり自分の記憶が信用できない)。ドミトリーが最後にイリナに会いに来る場面で、入ってきた扉がすぐに閉まらない(というかその場面が終わるまで開いたままで光が差し込んでいる)のは、宝塚とは違うような気がしなくもない。

(※ そのせいもあってか、最初のイリナとフェリックスの銀橋の会話がこれまで史上最高に刺々しかった。「ドミトリーに手を出しやがったら承知しないわよ」感をバリバリ感じた(邪推です)。この二人、見る度に印象が違うので、「フェリックスは果たしてイリナのことをどう思ってるのか問題」に答えが出そうにない)

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「ドミトリーが生きているなら、彼女に会わせてやりたかった/だから、自分のコレクションを投げ打ってでもイリナを助けようとした(けど、ダメだった)」っていうくだりで、「フェリックスってやっぱりドミトリーが最優先の人なんだな」って妙に実感した。

単に、イリナは「助かることなんて少しも望んでない(むしろロシアとともに死にたい)人」なので、それを理解した上でイリナを助けようとするフェリックスに、「ドミトリーのために、彼女には生きていてもらわなきゃ困る!イリナの気持ちなんか知ったことか!!」的な身勝手さを感じたっていうだけなんだけど(もちろん「イリナを死なせたくない」、っていう単純かつ明快な理由もちょっとくらいはあるとは思う。でもそう思ってるってことをフェリックス本人は認めたくないだろうし、絶対に認めないと思う)。

で、「ドミトリーのためならイリナの信念は無視できるのか(フェリックスのドミトリー愛重過ぎでは)」ってことがすごく面白かった(フェリックスが自分を助けるために奮闘していることをイリナが知ってたら、「私はそんなことを望んでないわ」って淡々と窘めつつ、最後には「バカね」って笑ったと思うんですよね(「ホント、恋する男ってバカね」っていう文脈で))

イリナは、「最後までロマノフであること/ロシアに殉じること」を心から望んでいる人で、ドミトリーはそれを理解しているからこそ、イリナに亡命を勧めることも、「生きていて欲しい」と口にすることもなかった(あるいはできなかった)んだけど、そこで(ちゃんと空気は読めるのに、その空気を無視して)、「でも君はイリナに死んで欲しくないだろう? 生きていてくれたら嬉しいんだろう!?」って言い放てる(しかも行動にも出てしまえる)のが、良くも悪くもフェリックスの強さだよなあ、と。

真風涼帆のフェリックスって作中ですごくスノッブに(あるいは露悪的に)振舞ってることもあって、全然「由緒正しい貴族」に見えないんですよね。どっちかっていうと、金だけは唸るほどある(歴史と格はない)ような新興貴族に見えて仕方がない(まあ、それにしては品がありすぎるんだけど)。

ジナイーダがああいう人なので、フェリックスも最初は享楽的な印象を抱いたんだけど、むしろ徹底した現実主義者であり合理主義者なのかなって最終的には思った。多分このフェリックスには女装趣味はないし、ドラッグに溺れたりもしない。史実では亡命したアメリカで「起こす事業起こす事業全部失敗した」っていう素敵なエピソードがあるらしいけれど、真風フェリックスは普通に成功させるようにしか見えなかった。「彼のように有能な人間を」ってドミトリーが言うのは別に親友の贔屓目とかじゃなくて、客観的事実なのです(でもユスポフくんモードを見てると、そうでもないような気がしてくる不思議)。

「あなたが彼にこだわるのは何故!?」ってイリナに言われて、「分かってるでしょう?」みたいな顔をするのが最高にフェリックスだし、「ドミトリーの婿入りなんぞ僕は絶対に認めない……!」って吐き捨てるのが最高にユスポフくん。自分でも意味不明だけど、どっちも大好きです。あと、皇后とその子供たちが向ける絶対零度の視線を完全に黙殺して、何の痛痒も感じてない姿に毎回ゾクゾクする(フェリックスって自分が価値を認めてない相手には驚くほど冷淡な態度を取りますよね/それが素敵だなあと思っていつも見てる)。

真風涼帆ってヒドイ男を演っても、どことなく柔らかい持ち味が当たりを和らげるようなところがあるので、とことん人格的には壊れてる(だけど主役)みたいな役が一度見てみたいです(結果的に人格が破綻している役じゃなくて、脚本でちゃんと意図して壊れてるやつ)。

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「イリナがロシアとともに死ぬことをドミトリーは分かっている」だけど「そういうイリナだから好き、というわけではない」、という初見の解釈は最後まで変わらなかったんだけど、イリナの信念(頑なに皇族の義務を果たそうとする姿勢)についてはちょっと印象が変わった。完全にポジティブなものではなくて、どちらかというとイリナを縛る「呪縛」に近いのかも、と(でもそれをイリナは受け入れているので、完全にネガティブかというとそうでもないような気がする)。

イリナがずっとまとっている悲愴感とか、「あなたはロマノフの一員としてとても立派にやってるわ」っていうジナイーダの台詞の揶揄するようなニュアンスっていうのは、「誰よりもロマノフであろうとしている」イリナの姿の痛々しさゆえなんじゃないかなあってちょっと思った。イリナ本人はそれを苦にしていないので不幸という話ではないんだけど。

あと、ドミトリーがラスプーチンの暗殺に積極的になってるというか、「暗殺っていう手段を取った時点で敗北だわ」みたいな顔を見せなくなってる気がする。「君はその目で見ているじゃないか!」で、ギョッとするほど前向きな目をしていて、大分印象変わった(良かったねユスポフくん……)

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ショーは……キンキラキンの男役総踊りのところで朝夏まなとのバチコン☆ウインクもらって(気のせい)、それだけでもう満足モード。リフトはやらしい振りのままだったし、サファイアの場面はやっぱり真風涼帆が足上げる振りに変わってた。もうこれで確定なのかな? 最初は微妙とか思ったけど、10回見て飽きなかったのでクラシカルビジューはいいショーなんだと思う。東京まで来て良かった。

飛行機が無事(!)欠航になったので新幹線で帰ります……(なお、日付変更線との帰宅競争に完敗した模様)

花組赤坂ACTシアター公演「ハンナのお花屋さん」

宙組と一緒に見てこようと決めてチケットは確保したものの、スカステでCMとか制作発表の様子なんかを見る度に「もしかして駄作なのでは」「一番嫌いな「社会に物申したい」みたいな作品なのでは」って危機感ゲージがガンガン上がってどうしようかと思ってたんだけど、まあ、とりあえず駄作ではなかった…かな。

でも好きか嫌いかでいうとあんまり好きじゃないというか、上っ面だけで社会派気取る作品が個人的に地雷なので、色々引っ掛かって素直に楽しめなかった(※)。あと主役二人に「物語」がないので(どちらかというと両親が「物語」の主役なので)、消化不良な感が否めないってのもある。まあ、結構色んなところで泣いたし、見て良かったとは思うんだけど(でも二回目見たいかと言われると見たくない)。

(※ 架空の国を舞台にして、「そういう設定」でやったらダメだったのか?、って心底謎。舞台がロンドンである必要ってある? デンマーク貴族である必要ないよね? ユーゴスラビア紛争持ち出して、薄っぺらく「職場に民族問題を持ち込まないで欲しいわ!」みたいな語り方するくらいなら、全部架空設定でよかったのでは?/この一連のくだりがあまりにも薄っぺらくて耐え切れなかった。そりゃ、セルビア人を雇ってるところにクロアチア人を新しく雇うなら、雇い主はそれ相応の配慮と根回ししなきゃダメでしょ。昨日までの隣人同士が殺し合った内戦で、しかもまだ全然「歴史」になってない最近の話じゃないのあれ。「セルビア人のコック」を悪者にして解決するような問題じゃないし、そういう認識の仕方しちゃダメでしょ。フェアトレードとかは意識高いな、って笑うだけで済むけど、こっちは全然笑えないし引く。何もかも脚本のせいで、演ってる人は何も悪くない/フェアトレードの本来の精神とかではなく、舞台での取り上げられ方が意識高い系ギャグに片足突っ込んでるってだけの話。念のため)

以上文句終わり!

とりあえず、明日海クリスが設定盛り過ぎなくらい盛ってあるのに(デンマーク貴族の血を引くオックスフォード首席の花屋って!)、「そりゃ振られるわな/恋人と長続きしないの分かるわ」ってキャラクタ造形で良かった。「高学歴で高収入!しかもイケメン!なのに何で、振られちゃうんですかねえ〜」とか言ってるけど、君たち絶対分かってるよね察してるよね、感が面白かった(そりゃ一時間置きにメール送られたら…ね…)。宝塚の男役じゃなきゃできないし、やっちゃダメな類の典型的な役ですね!(十歳以上離れた女の子に延々ネットストーキング(違う)する三十四歳の男って、普通に引くでしょ……)。あとメインカップルの年齢設定的に明日海りおが演ってるから許されるんであって、これが真風涼帆だったら絶対「ロリコン!」って誹りを免れなかった気がする。

仙名彩世は普通に若い女の子役やって似合うのが意外だった。可愛いし、幸薄いのがハマってる(いいことなのかどうかは謎)。瀬戸かずやはよくある「いい友人」の役をちゃんと美味しく演じてる印象。デパートの社長が良かった(羽立光来であってるかな?)

あとは、芹香斗亜演じる父アベルのシーンがどれも良くて、むちゃくちゃ泣いた。ハンナさんも誰か分らないけどキレイ(でも歌は微妙?)。まあ、ソフィアさんに酷すぎなのでは…って思わなくもないんだけど。アベルとハンナの話を掘り下げて主役に据えた方が良かったんじゃないかなあ。社交界デビューのところとか、ちょっとミュージカルしてて歌がかっこよくて好みだった。

ブログとかSNSを多用する演出は、結局台詞で説明するための言い訳にしかなってなかったので、あんまり評価できない。植田先生ってホント、電話が好きだなって思った(わりとどの作品でも電話が鳴ってるイメージだけど、今回の鳴り方は凄い。いつもの三倍くらい鳴ってる)。

フィナーレの衣装はあれでいいんだろうか……なんか微妙に「かっこいい!」って言いづらいんだけど。単体で見てもちょっとアレな上に、娘役と男役の取り合わせ的にも合ってない気がするんだけど……