タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

宙組梅田芸術劇場公演「TOPHAT」/DVD

・面白い。テレビで見ても充分面白いんだけど、これは生で見た方が断然面白い作品だったのでは……!、って色々後悔した(何で無理やりにでもチケット取らなかったんだろうね当時の私は……)。

・まあ、出会い→誤解→騒動→大団円っていう他愛もない話(※)なので、ちょっと間延び感がなくはないし、役は少ないし、歌もちょっと分かり難いんだけど、とにかく最後は皆幸せ!なハッピーミュージカルで、ハッピーミュージカルが大好きな身としては楽しかった。いかにも外国映画風の台詞回しが地味にツボ(出会いの場面の「随分スリムなお相手ね?」(大意)とか)。タップダンス好きなので、色々評価甘いところはあるかも。

(※ 物語の構成でちょっと意外だったのは、誤解のタイミングが結構早かったこと。起承転結的に言うと、「出会い(起)→ほだされる(承)→誤解(転)→大団円(結)」だと思ってたら、どちらかというと「出会い(起)→誤解(転)→でもほだされる(承)→大団円(結)」だった)

朝夏まなとも実咲凜音もとにかく台詞声が聞き易いタイプで、芝居の巧拙っていうのはまあ、最低限のレベルさえクリアしてしまえば見る人間の好み(とあと、中の人に対するイメージの影響)の方が大きいのでは?と思うんだけど、個人的な好みだけで語るなら、二人とも芝居が上手いと思った。あと実咲凜音が絵に描いたようなブロンド美女を演ってて(特に序盤)、それが意外と似合ってるので面白い。

朝夏まなとはちゃらちゃらしたスター!が似合うし、常に「主人公感」がある人なので、完璧なハマリ役だった。「主人公」を演ってここまで魅力的なのって得難い才能だと思う。ホント、真ん中が似合うんですよ!!

・七海ひろきの美貌芸が封印されてて、「ホレスはまあ三枚目かもしれないけど、でも別に美貌は封印しなくてもいいのよ?」ってちょっと思った(見たかっただけ)。「君のマニキュアが嫌い、マスカラが嫌い」「あなたの寝起きが間抜けで嫌い」「それ以外はアイラブユー」の歌が最高によかったので、なんだかんだかっこいいし美味しい役だった。これまたいかにも外国人女優的な純矢ちとせとベストカップル。

・純矢ちとせはこういう役をやって似合わないわけがないですね(でも意外と享楽的な役よりは、ジェシカ・エドワーズ(銀英伝)とか、ゾフィ皇太后エリザベート)とかの方が魅力が出る気もする)。

・七海ひろきは滑舌がいいタイプではないと思うんだけど、声が好きなので全然オッケー。逆に愛月ひかるは声が悪い(というとアレだ)(つまり好みじゃない)んだよなあ、と痛感した。台詞が聞き取れないし、聞き取ろうとするとなんだか妙に疲れる。今回ずっとまくし立ててるキャラクタだったので、余計にそうだった。

・ホレスと被ってる感あるし、見た目だけでもキラキラ貴公子(デザイナーだし)に作ったらダメだったんだろうか?海外ミュージカルだからダメ??色黒+髭が似合ってない(のか二枚目に作ろうとしていないのか、は分からない)のがとにかく勿体なかった。

・チークトゥチークのデュエットダンス!リフトが完全に遠心力ついてる系(朝夏まなとは実咲凜音の体重ではなく、遠心力を支えている)(離すと多分飛んでいく)(つい、遠心力イコールmrω^2って言いたくなる)で、すごく好き。ある意味体重を感じさせないリフトというか、体重の代わりに遠心力をビンビンに感じるというか。でもあんまり「力技(=力任せ)」感はないので、見ていて楽しい。
・娘役も全員燕尾服着てタップダンスする場面いいね!(かっこいい!)

・「神々の土地」みたいな作り込まれたシリアス芝居だと、どうしても役名が先に立ってくるんだけど、こういうコメディだと逆に中の人が先に立つ感じがあって、どっちがいいとかではなく単純に面白いと思った。