タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

花組ドラマシティ公演「はいからさんが通る」/1回目

一応さわりだけでも原作読んでた方がいいかな?とか思ってKindleで無料だった一巻を試しに落としたら、そのまま続きが気になって結局全巻読んでしまったんだけど、昔の少女漫画ってテンポがいいというか展開が早いというか、たった七巻弱なのにめちゃくちゃ内容濃かった。で、これをどうやって二時間に収めるのかしらん、て思いながら見に行ったら、紅緒と少尉が想いを通じ合って(?)シベリア行くまで(一幕)は比較的丁寧に、そこから先の諸々(二幕)は思い切りよく駆け足!というかダッシュで!!みたいなまとめ方だった。「二幕の畳み方ちょっと雑では」とは思うんだけど、そんなにダレることもなく最後まで楽しく見たので印象は悪くない。一幕の終わり方がすごく好き。柚香光って倒れるのが妙にうまい(ダンスいい人だからかな)。

少尉が日本を離れるまではかなり丁寧なので、蘭丸・牛五郎・吉次さんあたりがなかなか美味しい役になってる反面、割を食ったのが編集長と鬼島軍曹かなあ。

特に編集長は恋に落ちるまでが盛大に端折られてるのと、結婚に至るまでがハイパーダッシュモードなので、「え、この人女嫌い→紅緒認める→好きになる→結婚を決意する」までの過程で色々すっ飛ばし過ぎじゃない?いつの間に!?感が半端ない(加えでそこが端折られてるせいで、身を引くところも若干苦しい)。あと鳳月杏は首が長い人じゃないので、ああいう鬱陶しいタイプの鬘が似合ってなくてちょっともったいなかった。

 基本的に宝塚見るのに予習は必要ない派なんだけど、今回は原作読んでた方が「え、一体何があってそうなるの!?」感を感じなくて済むかも。小柳奈穂子は相当頑張ってるけど、やっぱり何も知らずに見て100%理解して楽しめるかというと難しい気がする。

誤認逮捕のくだりはあんな無理矢理(かつ謎な)オチをつけるくらいならバッサリカットした方がよかったのでは?って思った(でも少尉の見せ場だから難しいのかな)。

しかし、柚香光の少尉がとにかく麗しくて!「はいからさんが通る」のタイトル通り、やっぱり紅緒の方が主役感のある作品なんだけど、柚香光の美しさが少尉主役を成り立たせてる感あり。二幕なんかほとんどかっこいいところない(※)のに、ちゃんとかっこいい!埋没してない!(※ これ、個人的には二幕でもうちょい少尉の苦悩とか、ラリサとの関係とかを書き込んで欲しかったなあ、というのが最大の残念ポイントかも)

お祖母様が美しくて、誰だろ?っと思って幕間でプログラム買って確認したら、芽吹幸奈だった。原作とはちょっと違うんだけど綺麗でいかにも公家のお姫様感があるお祖母様で素敵。あと如月が良かった。

主題歌がすごくポップというか、疾走感のあるメロディですごく好みだった。「はいからさんが、と・お・る!」っていうところが印象的。この曲で登場人物の顔見せを兼ねたオープニングダンスがあるんだけど、アニメのOP感あって、ワクワクさせられて、それだけで結構満足感ある。大好き。

ちょいちょい少尉が、え、そこで!?っていうタイミングで軍服に着替えるので、ちょっと笑った。いや、その軍服姿がとにかくかっこいいので不満ではないんだけど。

柚香光は歌が上手くない(というか端的にいうと下手)だと思ってたら、案外うまかった。紅緒のことを見る眼差しが甘ったるくて、終始ニヤニヤできるのでもうそれだけで少尉。

 

朝夏宙組でこんなものが見たかった妄想

退団を抜きにしても、朝夏マデレーネ(by桜木みなと)並に実現性は無視。↓に行くほど、ネタ元がマイナー(だと思う)。こういうことばっかり考えてるので仕事が全然捗らない。

------

スカーレットピンパーネル
朝夏パーシー/真風ショーヴラン/実咲マルグリット

単に朝夏まなとの「ひとかけらの勇気」(A motion)を聞いたら見たくなったというベタかつ安直な思いつき。でも絶対はまったと思う。超真っ白で輝くようなヒーロー感溢れるパーシー。長い手足を縮めてウキウキでグラパンやってる姿が目に浮かぶ。あと、「君ともあろうものが恋の前では……」っていう台詞の、「あれだけ奔放に浮名を流した遊び人が何言うてるんじゃ」感ヤバい。見たい。

------

ME AND MY GIRL
朝夏ビル/実咲サリー/真風ジョン卿/澄輝ジェラルド・桜木ジャッキー(役替り)

ジャッキー/ジェラルドは蒼羽&愛月コンビもちょっと考えたんだけど、「サイズ感ヤバいな」と思って自重しました。澄輝さやとの、品のいい(逆に言うとちょっと押し出しが足りない)持ち味は多分、ジェラルドに合うと思うし、その持ち味でジャッキーをどう演るのかが見てみたくもあるし、強引に迫ってもジャッキーが必要以上に品下がらないからいいんじゃないかって。あと、可能ならばマリア叔母様に伶美うららを配したい。歌的な意味で可能ならば……。

------

銀河英雄伝説 帝国編(再演じゃなくて、新脚本)
朝夏ラインハルト/真風キルヒアイス/伶美アンネローゼ

伶美うららこそ最高のアンネローゼ役者だったのでは」って今更このタイミングで閃いてしまったので、伶美アンネローゼありきで無理矢理配役した(!)。ラダメスを見る限り、朝夏まなとは金髪ロン毛のキラキラ美形を十分演れると思うし、真風さんはどれかっていうとヤン役者だと思うんだけど、ヤン演れるならキルヒアイスもできるはずだから(偏見)いけるんじゃないかって。あと全然関係ないけど、実咲凜音は絶対にフレデリカ。「銀河英雄伝説」ってうまくやれば、「ベルばら」並みに固いスピンオフ供給源になったんじゃないかしら、っていまだに惜しんでます。

------

ファイナルファンタジータクティクス
朝夏ラムザ/真風ディリータ/伶美オヴェリア/澄輝アグリアス/和希ムスタディオ

ラムザ…お前は何を手に入れた? 俺は…」って真風ディリータに言って欲しいのと、寂しげな目をした伶美オヴェリアに「…我ら罪深きイヴァリースの子らが神々の御力により救われんことを」って言って欲しい一心。あと、澄輝アグリアスに「今更疑うものか!私はお前を信じるッ!!」って言って欲しいだけ。絶対滾るに決まってる。

ざっくり言うと、最終的に王位は得たけど大切なものを失った「英雄王」ディリータと、名声も身分も何もかもを失ったけれど大切なものだけは守り抜いた「異端者」ラムザ、二人はかつて兄弟同然に育った親友で、っていう話。残念ながらラムザは重度のシスコンなので、正ヒロインは妹アルマだし、裏ヒロインは澄輝アグリアスです。多分、ディリータを主役にして脚本を書いた方がすっきりした悲劇(!)(※)になると思う(でも私は朝夏ラムザ×真風ディリータが見たい)(「他人のために戦うこと」を己の「正義」と定めた不器用で誠実で善意の塊のようなラムザを演る朝夏まなとが見たい)(あと単純に、金髪の後ろ髪を小さく括った朝夏まなとが見たいだけ)。

(※ 他者を利用して成り上がる野心を胸に秘めた男が、(利用するつもりでいたはずの)他者の思惑に翻弄され続ける哀れな王女にいつの間にか肩入れして、「お前の国を俺が作ってやる」って本心から誓うんだけど、今までの所業が酷過ぎて(あと、王女がこれまでの人生で裏切られ続けてきたせいで信じ切れなくて)、最後の最後に派手に破綻する――っていう最高の悲劇/詳しくはWikipediaFFTの登場人物:オヴェリア・アトカーシャの項)をご覧ください)

------

七回死んだ男(西澤保彦
朝夏久太郎/実咲友理/真風冨士高/愛月世史夫/伶美舞/星風ルナ/澄輝槌矢/一樹零治郎

精神年齢アラサーの高校生と有能女性秘書のラブストーリー、というのは真っ赤な嘘で、ざっくり言うと、稀に同じ一日を九回繰り返してしまうという特殊体質持ちの高校生(だから精神的にはアラサー)が、ループの中で祖父の死を食い止めようとトライアンドエラーを繰り返す話、かな。すごくよくできたミステリなので、知らない人にはぜひ読んで欲しい。ザ・キャリアウーマンを落とす高校一年生とか、朝夏まなとが演るくらいしないと説得力ないと思う。あ、着用を強要されるカラフルなちゃんちゃんこ+スウェットは宮廷服orドレスにチェンジで(胡留乃叔母様にヅカ好き設定があった気がするし多分セーフ)。真風の富士高兄さん(無口でムッツリで浮気性)は絶対ハマると確信してる。

 

宙組千秋楽映像とか王家ナウオンとか/CSめも

宙組大劇場千秋楽

入の朝夏まなとの白いスーツがめちゃくちゃかっこよくてどうしようかと思った。できればもうちょっと尺取ってパフォーマンス見たかったけどそれはDVD買えってことですね分かります(買おうかちょっと悩み中)。

公演ダイジェスト映像が死ぬほど細切れなんだけど、稽古場でも初日映像でも見せてくれなかった場面がいっぱい入ってて嬉しかった。一瞬の任官式を十回くらいリピートした。一瞬アップになる朝夏ドミトリーが信じられないくらい男前。

サヨナラショーのエジプトは領地を広げている、のところ、前楽は「わあ!唇が赤いラダメスって新鮮!」って思った記憶があるんだけど、千秋楽はちゃんとベージュっぽい色に塗り直してるような気がした(中継見てるときも思ったんだけど)(あんまり自分の記憶が信じられないので気のせいかも)。デュエットダンスから暗転→スタンが入ってて嬉しい。あそこの小芝居すごく好きです。「メランコリックジゴロ」も生で見たかったなあ。

−−−−−−

「王家に捧ぐ歌」NOW ON STAGE

こっちがギョッとするくらい、朝夏真風の二人が男役燕尾で一瞬絡む振付について「私たちで(なぜか)デュエットダンス!」って嬉々として語っていたので、「え、あれってそこまで過激(!)な振付でもなくない……?/あのくらいならわりとよくある感じじゃない?(え、そこまでテンション上げるの……?)」って思った。無性にシェイクスピアの(というかHOT EYESの)ナウオンが見たい。ジゴロの場面についてこの二人がどうコメントしてるのかが超気になる。

「王家に捧ぐ歌」というと、お披露目演目を知ったときの自分の反応(「え、真風アイーダはヤバ過ぎじゃないですか!?(見たいけど!!)」)がいつも思い出される。「普通に実咲アイーダでしょ」って笑われた(その発想はなかったな……)。

 

 

 

星組大劇場公演「ベルリン、わが愛」「Bouquet de TAKARAZUKA」/1・2回目

午前公演見に行くつもりだったのに、起きたら10時だった。起きたら誇張なしに10時だった(うわあ)。色々忙しくてしんどい一週間だったとはいえ、自分がバカ過ぎて泣けてくる(最低でも1時間半前には出ないと間に合わないので完全アウト)。もうショーだけ見よう、と開き直ってショーだけ見に行ったら折良く当日券が買えたので午後公演も見て帰ってきた。

ショーの序盤が個人的にテンション上がらない感じで(あと、まだ二日目のせいで拍手も薄くて)、ちょっと凹んでたんだけど、中盤以降派手な場面もあって、見終わってみれば結構好きなショーかもしれないと思った。スペインの場面がすごく好き(ただ、徹底したパリ推しの後に唐突に差し込まれたスペインだったので、最初ちょっと困惑した)(え、何、パリのネタ尽きちゃったの!?)(まだあるでしょ!)。

あと全体的に衣装に予算全額注ぎ込んじゃった?って邪推する感じに背景セットが適当だった気がする(特にスミレの場面)。でも衣装がどれも素敵。三色旗の場面のとか特に好きだなあ。

ここまで書いて、別にこれ、パリ推しショーじゃなくて、各場面花をモチーフにしてるのかってふと思った。スミレ→パリの場面(花出てきたっけ?)(花のパリってこと?)→薔薇……? そういえば、ショータイトル「Bouquet de TAKARAZUKA」だったですね。

星組の若手全然分かってねえな……って一番思ったのは、スペインの場面に入る前に銀橋渡る若手三人が瀬央ゆりあしか分からなかった辺り。紫藤りゅうとか?(分かってない)。ツライ。

てことで、午後公演(というか芝居の感想)。

原田諒脚本なので正直ちょっと覚悟決めて臨んだら、案外悪くなかった。まあ、盛大にとっ散らかってるんだけど、駄作ってほどでは全然ない。「ラストタイクーン」くらいの面白さはある。ただ、お手軽悪役にナチス・ドイツ使うのはやめて欲しいし、序盤レーニで笑わせてからあの展開は後味悪過ぎる(笑った観客にも罪悪感与える)からどうかと思うし、他にも色々言いたいことはあるけど!

天寿光希がめちゃくちゃかっこいいおじ様演ってて、この人もそういう役振られる学年かと思うと色々感慨深かった(組長と同年代ぽい役なのに全然違和感ないのスゴイ)。ハイパー男前で嬉しかった。あと壱城あずさ。腹にイチモツありそうな癖のある役させたら最強だよね。でもって凪七瑠海が損な役(いや、かっこいいんだけど、よくあるお手軽に使われる悪役ナチスってだけで……)をさすがの押し出しで演ってた。

意外と、前半美味しそうに見える礼真琴エーリヒが、最後まで見るとそうでもない印象。でも、紅ゆずるとワチャワチャ楽しく友達やってるとこが素敵だったので個人的には全然あり。

どっちかっていうと、前半のノリ(俺らで誰もが楽しめるトーキー映画を作るんだ!)で最後まで行ってくれた方が好きだった。 そのノリが30分くらいで終わったので、「あれ、じゃあこの話どうなるの?どう終わるの?」って若干困惑した。まあ、原田諒作品見てるとわりと毎回、「この話どう終わるんだろう」って時計見がちなので相性が悪いような気はしてる。ただ、今回どの場面も背景セットが美しかったことは認めざるを得ない。なんか悔しいけど。映写機のところの演出がすごく良かった。

あ、でも、「ただ幕に映写されるが映像を眺めるだけの時間」が多発するのは好きじゃない。私たち別に、映像(しかも最初の一回はジェンヌの映像でさえない)見に来たわげじゃないですし。

しかし、綺咲愛里ってスタイルいいし、声が綺麗だし、芝居はうまい(ような気がする)し、とにかくかわいいし!で、いい娘役だなあ、と思った。歌が若干アレなんだけど、他のところで全然おつりが来る感じ。紅ゆずると並んだときのスタイルパーフェクト感半端ない。

 紅ゆずるは滑舌がちょいちょいあやしい。偉い役のときの方が滑舌甘くなる癖出ないのかしらん、ってちょっと思った(パーシーとか、オーシャンズ11だとそんなに気にならなかったような記憶なので)。

宙組大劇場公演「神々の土地」「クラシカルビジュー」/中継

中継ってどこ見るか悩まなくていいのと、カメラワークで意外な効果が出たりするので案外面白かった。視点が自分とあんまり変わらないのでストレスがなかったというのもあるかも。

「ここ映してよう!」って思ったのは、ラスプーチン暗殺後の握手のとこだけかな。フェリックスと握手し掛けて止まるところが遠景だったので、そこだけすごく惜しかった。でも「君はもうその目で見ているじゃないか」で、ドミトリーの目に光が入ったところとか、映像ならではの効果でめちゃくちゃ面白い。ドミトリーとアレクサンドラの場面で、アップになったドミトリーの背後にラスプーチンがぼんやりと映り込んでいるとこの不気味さとかも。

あと映像だと、ユスポフくん、イリナのこと気に入らないのね(でも嫌い切れないのね)感がマシマシ。全体的に細かい芝居が追えるので、いろんなところで印象が増したりちょっとニュアンス変わったりで面白かった。ツィンカで、蒼羽ウラジミールがあんなに苦々しい顔してるのとか、劇場では見逃してた。

任官式の場面は映像で見てもめちゃくちゃかっこよかった。いやもう、「かっこいい」以外の言葉を失う感じ。ヤバイ。BD買おうかなあ。

映画館だとトイレがね……って思う幕間。

サファイアの場面、リフトは変更バージョンのまま。それ以外にも振付が変わってたような気がするんだけど、気のせいかもしれない(足上げる役が真風涼帆に変わってたような……?)

サヨナラショーがホントに楽しくて、ショーからのラダメスで緩んだ涙腺をよそになんか笑える。

ソーラン宙組がすごく好き。本公演で見たときはそんなにいい場面と思わなかったのに不思議。朝夏まなと→真風涼帆で歌い継ぐ(というか場面の芯を引き継ぐ)ことになんかグッとくる。

で、挨拶でめそめそして、カーテンコールで笑った。投げキスドアップで見れるだけで、中継組勝ち組じゃない……? てちょっと思ったんだけど、私も劇場でキャーキャー言いたかったからそんなことないな……。

 

 

 

宙組大劇場公演「神々の土地」「クラシカルビジュー」/8・9回目

午前/午後両方見たので感想まとめたら、めちゃくちゃ長くなった。

・前から気になってたんだけど、「わしら猟に使う弾もない」とか言われてるのに、バンバン無駄弾使うドミトリーくんってどうなの? 何かしらの演出意図があるのかもしれないけど、ドミトリーが無神経な人に見えるのは微妙なのでは。

・ツィンカ突撃の場面、ほとんどのジプシーを取り逃している辺りに(突撃側の)無能感が漂いまくるので、八割くらいはちゃんと殺して欲しい(ゾバールとマキシムだけぎりぎり助かるくらいに)(ちゃんと殺して欲しいっていうとアレだな)。

・任官式の幕は落ちるんじゃなくて、本来は上に上がるものだったらしい(自分の記憶力のダメさ加減に絶望した)。

・「平たく言えば、あなたのご両親への”中傷”だ」がいつも「批判」ではダメなの?って引っかかるんだけど、でもフェリックスってちょっとそういう露悪的な物言いを好みそうなキャラクタなので、「中傷」という言葉をあえて選びそうだと思ったりもする(で、ドミトリーはその度に「まーた、こいつは誤解を招くような振る舞いをわざわざやっとるな」って呆れたり残念がったり(たまに痛快に思ったり)してる気がする)(コンスタンチンは100%善人ベースではらはらしながらフェリックスを見てるんだけど、ドミトリーは面白がってるときもある、みたいな)。

・「正しき国を!」って盛大に歌ってるけど、フェリックスって基本的に「正義」とか「正しさ」といったものに価値を認めてなくて、それらの普遍性に疑いのない人間を鼻で笑うタイプの人じゃないですか。彼が戴く正義はあくまで、自分(と近い人々にとっての限定的な)「正義」でしかないし、そうであることをフェリックスははっきりと認識している。そしてその「正義」を押し通すことの是非、を一切考慮してないし、する気がない(というか、その「正義」が、他者にとっての「正義」ではない、ということを十分に理解した上で、「僕はこれを正しいと思っている/だから押し通す/何か問題が?」って迷いがない)(※)。

(※ 異論があるなら、「自分の正義」を持ち出して来い!(叩き潰してやる)っていうのがフェリックスの考え方の基本で、それはまあ傲慢な考えといえばそうなんだけど、だからこそ「自分たちの正義」を後生大事に抱えて、それが通じる狭い範囲に閉じ篭って出て来ようとしない(他者の「正義」を認識しようとしない/自分たち「だけ」が正しいと思っている)皇后とその一家が嫌いだし、価値を認められないんだと思う)

・そういうフェリックスとは対照的に、ドミトリーはそこまで自分の「正義」を絶対的なものとは考えてなくて(というか、ドミトリーは自分の「正義」と他者の「正義」を可能な限りすり合わせようとする人なので)、もっといい、お互いが妥協し納得して共有できる穏当な落としどころ(≒「正義」)があるはずだ、と思って足掻いている。フェリックスからすればそれは夢物語だし、そういうドミトリーを、「そこまでしてやる価値もない相手に/なぜこちらが(というか僕のドミトリーが)譲歩せねばならないのか」と苦々しく(歯痒く)見ているんだけど。

・で、他者の「正義」に対してどう対応するか、というところでは対照的なドミトリーとフェリックスも、「他者の「正義」を(尊重するかは別にして)認める」という点においては一致してて、だからこそ「自分の「正義」が全員に受け入れられる訳ではない/自分の「正義」を守りたいなら(やり方はどうあれ)戦わなければならない」って考えてるところがあるんだけど、その一番の相手たる皇后はその「「正義」を巡る戦い」をいつも「いじめられた」と常に被害者側で捉えることしかできなかった/相手にもまた「正義」があるということを認識しようとしなかった。だから戦いにもならなかったし、折り合う点を見つけられる筈もなかった(※)。

(※ かといって、アレクサンドラ皇后が悪なのかというと、そういう描かれ方はされてなくて。彼女は彼女なりに必死で、他者の「正義」を認められるほどの余裕なんて持ち合わせようがなかった、というのが観客には十分に示されるので、どちらかというと同情的になるくらいだと思うんですよね。あの立場に放り込まれて、彼女を頭から批判できるほど強い人間ってそうそういないと思う。普通に見ると、皇后かオリガに感情移入するんじゃないかなぁ)

・ドミトリーによって世界を広げたオリガが、母親のもの以外にも「正しいこと」はあるのだと知って、彼女なりの「正義」を得て(見出して)、だけどそれの上で母の「正義」に殉じる判断を下す、という流れにいつも泣ける。何も知らない籠の鳥のまま死ぬより残酷なようにも思うし、同時にそれが救いとも思える。

・ツインカでドミトリーがオリガに、「なぜ反論しない?(君は反論していいんだ)」って諭す場面、あの場面に「自分が正しいと思うなら、主張しなければいけない」っていうドミトリーの考え方が一番出てて(でもってその考え方を私は好ましいと思うので)、すごく好きです。あの時、例えオリガがどんなトンチキなことを言ったとしても、ドミトリーはちゃんとフォローする気だったと思うし、予想以上にしっかりとした反論が出てきたことに、フェリックスはオリガへの認識を改めている。

・フェリックスは皇帝一家のことを嫌ってるんだけど、ここでオリガを見直す柔軟性もきちんと持っていて、それは「(怪我をした)アレクセイを車で送ってくれたんです」と取り成されても、フェリックスに態度をあらためるでもない皇后との対比があるのかも(あの場面、フェリックスに対する皇后の物言いにムッとしたり、とっさに取り成そうとしたりするドミトリーの姿に、フェリックスへの友情を見て取って毎回ニヤニヤする)。

・「ただのアレクセイでも、君にはちゃんと値打ちがあるはずだ」っていう台詞好き。

・「君が必要なんだ」に対するドミトリーの返答「汚らわしい暗殺者が?」の「?」が初日から薄くて、聞きようによってはドミトリーがフェリックスを「汚らわしい暗殺者が!」って罵ったみたいに聞こえるので、もうちょい疑問感強くてもいいのに、って毎回思う。何か意図があるんだろうか。あと、「お前がそういう風に私に語りかけるのは、いつのこと以来だろう」っていうマリア皇太后の台詞はオリガに向けてのものだと思うんだけど、直前に言葉を発しているのがドミトリーなので(そしてそれに対する返答と取れなくもないので)、いつもちょっと混乱する。

・これだけ回数見てるのにラスプーチンという役が結局掴み切れなかったという悔いは残ってて、象徴とか概念的な存在に近い(それこそ「ロミオとジュリエット」における「愛」と「死」のような)役のように思うんだけど、でもそこまで単純化されていない感じもあって、わりと、頭の中でもやもやしたまま終わった感がある。オリガにとって、ラスプーチンってどういう存在だったんだろう? 舞踏会に現れたラスプーチンを見たとき、オリガは明確に怯えている(≒「神父様」の異常性に気づきつつある)ようにしか見えなかったんだけど、でもその後を見る限りそうではない感じもして、毎回分からなくなる。

・ツィンカの場面で椅子を直してまわるユスポフくん(可愛い)に気付いた。あの人、案外気遣いの人。ジナイーダと似たもの親子なんだけど、確実に父親の血で薄まってるとこありますね。

・「どうしたの、オリガ」っていうジナイーダの怖さたるや半端ない。あの人絶対に分かってて言ってる。

・舞踏会に現れたイリナを見て、すごく苦々しい顔をするフェリックスと、「あらあらあらあら」みたいな表情のクセニヤさん、そしてアリーナ。フェリックスとアリーナって一分の隙もなく政略結婚なんだろうけどベストカップル感あって好き。

・「血友病ではないロマノフの血が必要なのだ」っていう台詞、もっと病的な持ち味の人がフェリックスを演じてたら、「ドミトリーを取り込もうとしている感」が全面的に出てきて、すごい病んだ場面になったような気がするんだけど、なんだかんだ健全なフェリックスで良かったと個人的には思う。

・ショーは思ったよりサヨナラ仕様だったんだということに今更ながら気付いて、わりといろんなところでめそめそした。

・オープニングで♪太陽色のダイヤモンドって歌いながら両手上げてちょっと身体曲げる(伝わりそうにない説明……)朝夏まなとが好き。ていうか手を広げたり上げたりしてる朝夏まなとが大体好き(だから、任官式の振り付けは最高)。

・午後公演で真風涼帆と朝夏まなとのリフトが変わってた(アクロバティックではないけどなんかやらしい振りに)ので、今更変えるって!?ってちょっとビビった。でもなんか不調があったから……てわけではないのかな。

 

・サヨナラショーがすごくよかった!

・ちょこちょこ小芝居混ぜてきて、観客もちょいちょい笑う感じで、しんみりするというよりは楽しかった。いいショーだった。

・エジプトは領地を広げている→VIVA FESTA→ソーラン宙組→TOPHAT→翼ある人びと(デュエダン)→メランコリックジゴロ→王妃の館→最後のダンス→HOT EYES→シェイクスピア、かな。

・ソーラン宙組の盛り上がりが半端なさ過ぎて、ラダメス見て込み上げていたしんみりムードが飛ぶ模様。あんなに客席がキャーキャーいうサヨナラショー初めて見た。大好き。

・デュエットダンスでつるりと滑る朝夏まなと(スモークに滑ったのかな?)。明日までだから頑張れ……とか思って、明日までという響きに勝手に凹む自分がわりと盛大にキモい。

・鞄持って真風涼帆(違うスタン)が出てきた時、「お前が好きだ!」をここでやり始めるのかと思ってめちゃくちゃニヤニヤした(しません)。メランコリックジゴロのあの歌(♪失うものなど〜)好きなので嬉しい。飲め飲めソングも好き。

・北白川右京からのトート閣下にちょっと笑った。

・最後の衣装がかたちも色合いも好き!(胸元が派手に深くてちょっとドギマギしたけど)

・本当にいいサヨナラショーだった。なんかまだ朝夏まなとの退団が実感できてないんだけど、明日の中継見ればそれなりに落ち着くでしょう。多分。まあ、東京も行きますし……

 

宙組梅田芸術劇場公演「TOPHAT」/DVD

・面白い。テレビで見ても充分面白いんだけど、これは生で見た方が断然面白い作品だったのでは……!、って色々後悔した(何で無理やりにでもチケット取らなかったんだろうね当時の私は……)。

・まあ、出会い→誤解→騒動→大団円っていう他愛もない話(※)なので、ちょっと間延び感がなくはないし、役は少ないし、歌もちょっと分かり難いんだけど、とにかく最後は皆幸せ!なハッピーミュージカルで、ハッピーミュージカルが大好きな身としては楽しかった。いかにも外国映画風の台詞回しが地味にツボ(出会いの場面の「随分スリムなお相手ね?」(大意)とか)。タップダンス好きなので、色々評価甘いところはあるかも。

(※ 物語の構成でちょっと意外だったのは、誤解のタイミングが結構早かったこと。起承転結的に言うと、「出会い(起)→ほだされる(承)→誤解(転)→大団円(結)」だと思ってたら、どちらかというと「出会い(起)→誤解(転)→でもほだされる(承)→大団円(結)」だった)

朝夏まなとも実咲凜音もとにかく台詞声が聞き易いタイプで、芝居の巧拙っていうのはまあ、最低限のレベルさえクリアしてしまえば見る人間の好み(とあと、中の人に対するイメージの影響)の方が大きいのでは?と思うんだけど、個人的な好みだけで語るなら、二人とも芝居が上手いと思った。あと実咲凜音が絵に描いたようなブロンド美女を演ってて(特に序盤)、それが意外と似合ってるので面白い。

朝夏まなとはちゃらちゃらしたスター!が似合うし、常に「主人公感」がある人なので、完璧なハマリ役だった。「主人公」を演ってここまで魅力的なのって得難い才能だと思う。ホント、真ん中が似合うんですよ!!

・七海ひろきの美貌芸が封印されてて、「ホレスはまあ三枚目かもしれないけど、でも別に美貌は封印しなくてもいいのよ?」ってちょっと思った(見たかっただけ)。「君のマニキュアが嫌い、マスカラが嫌い」「あなたの寝起きが間抜けで嫌い」「それ以外はアイラブユー」の歌が最高によかったので、なんだかんだかっこいいし美味しい役だった。これまたいかにも外国人女優的な純矢ちとせとベストカップル。

・純矢ちとせはこういう役をやって似合わないわけがないですね(でも意外と享楽的な役よりは、ジェシカ・エドワーズ(銀英伝)とか、ゾフィ皇太后エリザベート)とかの方が魅力が出る気もする)。

・七海ひろきは滑舌がいいタイプではないと思うんだけど、声が好きなので全然オッケー。逆に愛月ひかるは声が悪い(というとアレだ)(つまり好みじゃない)んだよなあ、と痛感した。台詞が聞き取れないし、聞き取ろうとするとなんだか妙に疲れる。今回ずっとまくし立ててるキャラクタだったので、余計にそうだった。

・ホレスと被ってる感あるし、見た目だけでもキラキラ貴公子(デザイナーだし)に作ったらダメだったんだろうか?海外ミュージカルだからダメ??色黒+髭が似合ってない(のか二枚目に作ろうとしていないのか、は分からない)のがとにかく勿体なかった。

・チークトゥチークのデュエットダンス!リフトが完全に遠心力ついてる系(朝夏まなとは実咲凜音の体重ではなく、遠心力を支えている)(離すと多分飛んでいく)(つい、遠心力イコールmrω^2って言いたくなる)で、すごく好き。ある意味体重を感じさせないリフトというか、体重の代わりに遠心力をビンビンに感じるというか。でもあんまり「力技(=力任せ)」感はないので、見ていて楽しい。
・娘役も全員燕尾服着てタップダンスする場面いいね!(かっこいい!)

・「神々の土地」みたいな作り込まれたシリアス芝居だと、どうしても役名が先に立ってくるんだけど、こういうコメディだと逆に中の人が先に立つ感じがあって、どっちがいいとかではなく単純に面白いと思った。

宙組大劇場公演「神々の土地」「クラシカルビジュー」/7回目

「今日も宝塚??また宙組??」って不審がられながらの七回目。我ながらヤバイと思いながら見に行ったら、舞台機構トラブルで芝居が15分くらい中断するというレアな場面に遭遇した。宝塚で舞台中断するの初めて見た。

・「皆様、広間へ!」でバサッと幕が落ちて(多分)近衛騎兵隊が大階段を下りてくるシーンで、幕が不吉な音を立てながら(破れた?)バ、バサ、バササって感じで落ちる→(多分いつもはどっちかに引き抜かれるんだけど)引っ掛って階段の下に溜まる→大道具さんが必死に引っ張る(※)→ダメ→で、舞台中断(そして幕が降りた瞬間緊張が切れて笑いを漏らす客席)(再開のアナウンスが「3場Bより再開致します」だったことにもちょっと困惑の笑いが漏れてた)(どこなのそこ!?的な感じで)。

(※裏では早い段階で中断っていう判断が下されてたのかもしれないけど、(中断のアナウンスより先に)わりと普通に大道具さんが舞台に出てきたので、ちょっとツボに入った)

・階段上の近衛騎兵隊はその間普通に踊って全く動じず。プロだなあ、と思って見てた(このまま無理矢理幕踏み越えて降りてくるのかな?とか考えながら)。微動だにしない姿がむちゃくちゃかっこいいんだまた。赤い絨毯に黒い軍服、そして白手袋!最強過ぎない?

・再開は普通に幕が上がったら任官式、だった。できれば「皆様、広間へ!」から再開して欲しかったなあ、とちょっと思った。あそこ、一番かっこいいシーンなので、幕が上がるなり任官式だとちょっとカタルシスが大幅減でもったいない。

 ・「おはよう、お二人さん」の言い方は前回たまたまという訳ではなくて、やっぱり意識的に変えてる模様。状況にそぐわない(ちょっと真面目(真剣)よりに変更)ってことなのかなあ。そういうとこがフェリックスの余裕っぽくて好きだったんだけど。

・「好きな男を死なせたいのか!?」が完全に「俺は嫌だ!死なせたくない!」って聞こえるあたり、ユスポフくんは「目的を達成する過程で手に入ればいい」とかいってみせる余裕を失っている模様。

・この場面、「駅まで送ってくれ」っていうドミトリーがホント好き。フェリックスの重い愛をドミトリーは受け取れる範囲(友情の範囲)で受け取ってて、でもそれは別に「自分を愛してる人間を都合よく利用する」とかでは全然ないんですよ。ドミトリーが自分のことを愛してようが愛してなかろうが、ユスポフくんはドミトリーを愛していたいようにしか見えないし、それをドミトリーは受け入れて許してる。

・ドミトリーのおかげでロシアを好きになった(イレーネではなくイリナになった)イリナが、「我が麗しのイレーネ」と呼び掛けられて「イリナよ」(※)って言うのもいいし、それに「あなたが結婚する前の名を呼んでみたかった」と返すのもいい。すごくいい。

(※あなたが愛してくれたイレーネは、あなたを愛してイリナになったのよ/あなたを愛するイレーネはイリナなのよって言いたいんだと勝手に思ってる。作中に愛を告げる台詞が一切出てこないんだけど、こういう台詞が無数に散りばめられているのが素敵)

・ちょっと帽子被ってる時間が短すぎるんだよなあ……もうちょっと被っててもいいのよ?(←今回はちゃんと忘れずに見たけど横顔しか見えなかった)

・「バカなことをした……」の台詞回しもちょっと変わって、比較的若い感じ?

・最後、歩み寄る二人のところ、朝夏まなとが妙に晴れ晴れした表情で(前からそうだったのかもしれないけど、初めてこの場面でオペラ覗いた)、やっぱりこれは戻ってきた魂たちの場面という理解でいいんだなあ、と思った。

 

宙組大劇場公演「神々の土地」「クラシカルビジュー」/6回目

今日は花道のすぐ横だったので、頭おかしい感想しか出てきません!やっぱ全体眺めて世界観に浸るなら二階席一択だわ……でも前で「やだ…かっこいい……かわいい……きれい……」って頭おかしくなるのもそれはそれで楽しい。すごく楽しい。

・舞踏会の場面で下手花道で踊ってる紫のドレスの娘役が可愛かったんだけど、さて、誰なんでしょうね……

・やっと居酒屋(違うツィンカ)で皆が出てくるところが見れた。でも下手側だったのでよく見えなかった(ダメじゃん……)

・日を増すごとに政治感増してる気がするドミトリー。「ラスプーチン殺したからには最後までやり遂げるしかない」っていう悲愴感が全面に出ててグッとくるし、その横で勝利を確信してるフェリックスとの対比でなんか泣ける。結局平和的に解決する方法なんかなかったんだよ(最早何もかも手遅れでしかない)……ていう無力感半端ない。

・フェリックスの方がそこらへん現実見てたような気もする(あの人、ドミトリーへの愛で判断濁ってるように見えなくもないんだけど)。好き嫌いで動いてるのか、政治的な判断なのかよく分からないあたりがユスポフくんの魅力なんかね。

・明らかに好き嫌いと面白いか面白くないかで動いてる(でも貴族だから好き嫌いを完全に切り離した観察眼を失っていない)ジナイーダが一番怖い。好き。

・「おはよう、お二人さん」の言い方が変わってた!(気がする)(個人的には前の方が好き)あと、「車で待つ!」の台詞だけ、いまだに台詞回しの意図が掴めないとこある。 

・何回見ても近衛騎兵隊の任官式がかっこよくてテンション上がるし、その後そこに皇族が並ぶのもめちゃくちゃ素敵。赤絨毯いいわあ。

・暗殺の後のシーン……というか、その後の奔流のような一連の流れが狂おしいほどに好き。一度堰を切って流れ出した歴史のうねりは誰にも止めることができない。ドミトリーはその中で懸命にもがいたし、イリナは信念に基づいて、オリガは母親への愛に殉じて、身を任せた。

・ラッダとコンスタンチンの、(結局ゾバールたちにバレなくても)絶対に幸せにはなれそうにない感。「君を妻に迎えたい」という言葉が(コンスタンチンの真剣さとは裏腹に)あまりにも虚しく響いて聞こえる。

・最後の場面、皇后とイリナが微笑み合うところで無性に涙がこみ上げてきてびっくりした。皇后の笑顔をここで初めて見るのか、と思ったらもうダメだった。

・最後、ドミトリーとイリナが向かい合って歩み寄りながら幕が降りる、という演出がホントに好き。

・神々の土地に魂たちが戻ってくる(あるいは神々の土地が魂たちの記憶を反芻してる?)あの場面があるから、なんだか清々しい気持ちで帰れるし、何度も見れるような気がする。

・ロケットで前に出てきてくるくる回ったあと、ねっとりウインク決めていった男役!カッコよかったけど誰だあれ!名札付けて!!

 

朝夏まなとの思い出

花組大劇場公演「太王四神記」(2009年)

記念すべき朝夏まなと初見なんだけど、当時はまだ「名前と顔は知ってる(多分)」くらいだったので、「朝夏まなとを生で見たぞ!」とかって思ってたわけではなかった(と思う)。でも、チュムチという役は覚えていたので、「あ、あれってそういえば朝夏まなとだったかあ」とは後々思った。あと、新人公演トークかなんかで「プルキルをやります朝夏まなとです」って言ってるのは見たような記憶がある(朝夏まなとの一番最初の印象はもしかするとそれかな)(私の中ではしばらく、「壮一帆にちょっと似た人」「プルキル似合いそう」だった)。

−−−−−−

花組全国ツアー公演「哀しみのコルドバ」「Red Hot SeaⅡ」(2009年)

思い出を振り返るためにWikipediaを見てて、出てたという事実に驚いた(え、出てたの!?)。

−−−−−−

花組梅田芸術劇場公演「ME AND MYGIRL」(2009年)

きちんと、朝夏まなとという男役を認識したのは多分この作品で、生で見る「ME AND MYGIRL」の楽しさ(※)とともに、強く印象に残っている(※ 天海版と瀬奈版を映像で見た限りでは、そんなに好きな作品とは思ってなかったので意外だった)。とりあえず、ジェラルドってアホの子じゃなかったんだ!?って、愛音ジェラルドと朝夏ジェラルドを見てびっくりした。

今でも私のベストジャッキー&ジェラルドは、壮一帆ジャッキー&朝夏ジェラルドです。根拠なく自信家で高飛車な美しい従姉と、器の大きい年下の男の子!大好き。あと、プロダクションノートの稽古場映像が相当ヤバイ代物に仕上がってて、頭おかしいほどリピートしたのを覚えている。ステージ・ドアも悪くないけど、プロダクションノートも復活してくれませんかねえ……?

−−−−−−

花組大劇場公演「ベルサイユのばら アンドレ編」「Exciter!!」(2009年)

アンドレ編は「朝夏まなと(と華形ひかる)が衛兵隊で一山いくらとか舐めてんのかコラ」って激怒しながら、「いやでもこれ、台詞の量とかっこよさが反比例する(あるいは台詞の量と狂気が比例する)脚本だから、台詞がない方が案外お得かも……」ってよく分からないことを考えてたような気がする。駄作なんていう言葉じゃ表現し切れないほどの放送事故だった。「Exciter!!」はすごくすごく良かったんだけど、まあ、芝居がアレ過ぎたので結局一度しか見てません(隣で「これをあと8回見るのか……」って呟いていたお姉さんのその後が気になる)。当時はまだ、「ショーだけ見る」っていう割り切り方ができてなかった。

−−−−−−

花組バウホール公演「BUND/NEON 上海」(2010年)

朝夏まなと結構好きだしチケット取れたし、で見に行って、「なんだよこの続き物の主人公みたいなパーソナリティの語られなさは!!(朝夏まなとに主人公属性があるからって、やり過ぎだろ!)」って怒りながら帰ってきたと記憶している。まあ、「コードヒーロー」に比べれば、良作っていってもいいくらいなんですけどね。発光するような主人公ぶりでかっこよかったんだけど、素敵なところが全然書かれていない脚本だったので、「………」ってならざるを得なかった。フィナーレで踊る朝夏まなとの手の長さが印象的。

−−−−−−

花組大劇場公演「虞美人」(2010年)

虞姫のお兄さん(出てきて接待されて死ぬ(!))だったと思うんだけど、最早自分の記憶があやしい。

−−−−−−

花組大劇場公演「麗しのサブリナ」(2010年)

朝夏まなとの記憶は全然ない。ただ、「わりといい作品なんだけど、明らかに役の数が足りないな」っていっぱしのタカラヅカファンみたいなことを考えていたのは覚えている。この頃の花組って男役がえらく豊富だった気がするので余計に。

−−−−−−

花組バウホール公演「CODE HERO」(2010年)

放送事故物件過ぎて、見ている間中ずっと変な汗をかいてた。序盤だけはすごく面白そうだった……という記憶があるんだけど、これは(あまりの衝撃に)記憶を改竄しているのかもしれない(朝夏×望海のコンビ芝居!みたいなワクワク感はあったような……)。ヒロインが実咲凜音だったということに、つい先日気付いた。今なら谷正純(not和物)(notコメディ)っていうだけで、見に行かないので貴重な体験をした(かもしれない)(彩風咲奈のネモ船長も当然回避しました(!))。

−−−−−−

花組大劇場公演「愛のプレリュード」「Le Paradis!!」(2011年)

朝夏まなとどうこう以前に、作品がもう超ド級のアレ過ぎて、「これで退団とか、真飛聖も報われないな…」って思ったことしか覚えてない(以来、鈴木圭は敬遠モード)。

−−−−−−

花組大劇場公演「ファントム」(2011年)

カルメンの場面で踊るセルジュの格好よさに困惑したとき、わりと好き、が好き!になった。白い軍服(だったと思う)で、まるで発光しているみたいだった。朝夏まなとって、スタイル100点満点!というタイプではないんだけど、手足がとにかく長くて、踊るとそれがめちゃくちゃ際立つんですよね。群舞だと一際目を引く。劇場で見たときのインパクトを上書きしたくなくて、未だにあの場面の映像は見ないようにしている。

−−−−−−

花組ドラマシティ公演「カナリア」(2011年)

ウカだと思ったのにウカじゃなかったショック(どうしてもウカ役で見たかったというよりは、「もしかして、朝夏まなとの立場ヤバかったりするの!?」っていう心配)が一番印象強い。そりゃ、カナリアは悪い作品じゃないし、刑事も悪い役では全然ないんだけど(でもって朝夏まなとは上手かったんだけど)、そういう意味で色々残念だった。

−−−−−−

花組大劇場公演「復活」「カノン」(2012年)

検事役だった……よね?くらいの記憶しかない(!)。

−−−−−−

宙組大劇場公演「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」(2012年)

原作ファンだったので、当然ウキウキで見に行って、「駄作一歩手前じゃねえか!」って発狂した記憶、朝夏キルヒはとてもとてもよかったので、それは嬉しかった。「フレイヤの星」を歌う場面はどちらも(銀橋でラインハルトと誓うところも)(亀裂が入った直後も)大好き。普通にアンネローゼに実咲凜音を配役して、普通にラインハルト・アンネローゼ・キルヒアイスの物語にしちゃダメだったのか、とは今でも思う(いや、この時の二番手格が悠未ひろだというのは分かってるんだけど)。

−−−−−−

植田紳爾脚本はスルーというマイルールに従って「ベルばら」と「風と共に去りぬ」はスルーした。「モンテ・クリスト伯」は見たかったけれど、色々諸事情で見られなかった。当時(2012~2014年)は仕事が修羅場っていた(月300時間くらい働いていた)(若干鬱入ってた)ので、一番ぬるぬるファンモード(大劇場公演さえちょいちょい取りこぼす)でした。

−−−−−−

宙組大劇場公演「白夜の誓い」「PHOENIX 宝塚!!」(2014年)

「ヒドイ役だな」というのが第一印象。「朝夏まなとの二番手時代って最後まで恵まれねえなあ」っていうのが最終的な結論。原田諒って、谷正純とか鈴木圭とか植田紳爾ほどの破壊力はないんだけど、とにかく徹頭徹尾つまらない辺りが最高に救われないような気がする(そして、脚本も派手さがないだけで静かに破綻している)(褒めるところがポスターセンスくらいしかない)。

−−−−−−

こうやって振り返ると、若手~二番手時代の朝夏まなとって作品にも配役にもあんまり恵まれてなかったんだなあ、としみじみ思った(よりによって「翼ある人びと」を見逃しているのでそう思うだけかもしれない)。でもまあ、トップとしての作品の引きは最強レベルによかったので、プラマイでいうとプラスなんだと思う。逆よりずっといい。