タカラヅカメモ

全組観劇のライトファンによる宝塚感想置き場。

花組大劇場公演「ポーの一族」

一応原作買って予習はしたものの、はいからさんよりも先に読んだので色々忘れてて、あんまり予習の効果はなかったような……。でもそれくらいでちょうどよかったのでは?、という気もしなくはない。過激な原作ファンが激怒したと聞いても、狂喜したと聞いても納得できそうな出来。通うとなると財布のダメージが半端なさそうだったので、一回見てそれなりに満足できる作品でほっとした。駄作ではないんだけど、傑作では全然ない……かなあ。でも、明日海りおのビジュアルだけで傑作やで!っていう過激派がいても驚かない(ただ個人的な好みだけでいうと、エドガーは装飾過多過ぎた)。

そういうわけでまったり箇条書き感想。

・制作発表会で「ポーの一族〜♪」って歌ってるのを聞いて、いくらなんでもその歌詞はダサいだろ……って脱力したんだけど、案外舞台で聞くと悪くなかった。お、始まるぞ!ってワクワク感を煽ってくれるオープニング(なお、その後に待ち受けるのは怒涛の説明場面の模様)。

・一幕がとにかく超説明モードで、しかもその出来があんまりよくなくて辛かった。登場から30秒くらいで退場(!)したユーシスの扱いとか色々言いたいことが山ほどある……ていうか、ちょっと説明台詞多すぎじゃないですかね……。特急ダイジェストも上手くやってくれたら好きなんだけど、今回の一幕は全部言葉で説明しちゃうのかぁ……って残念感が先行した。狂言回しの現代人たちが完全に説明役に回っちゃってるのが勿体なかったような気がする(日記なり本なりを朗読する体にするとか、もう少し雰囲気が欲しかった)。

エドガーがメリーベルを失ってアランを得るまでの話っていう主筋を変えられないなら、普通にアランとエドガーの出会いから始めて、回想でエドガーの半生を描いた方が収まりが良かったような。で、エドガーとアランの関係性ももうちょっと書き込んで欲しい。「どうして僕を選んだんだ……!」みたいなアランの台詞があるんだけど、え、君たちいつの間にそんな深い仲(違う)に!?って我に返りかけた。柚香光も明日海りおもすごくよかったので、単純に脚本の問題として。

・あと些細な点なんだけどめちゃくちゃ気になったのが、ギムナジウムとかパブリックスクールの生徒たちがスコッティ村の子どもたちと変わらないくらい庶民的なあたり(品がない、というと言葉がキツ過ぎるんだけど)。原作もそうだっけ?ああいう学校って監督生とかがいて、バチバチに規則に縛られてて、表向きはお行儀がよいものなのでは(そしてイジメはめちゃくちゃ陰湿(!)なのでは)……ノリがアメリカンで現代的過ぎて困惑した。受けるイメージよりも舞台上の設定年齢が低いせいかなあ、って気はする。

エドガーダンサーズで笑いそうになったんだけど、私は悪くないと思う。衣装合わせてくるのホントギャグだから概念的な役の衣装にして欲しかった……

・老ハンナの死に方がすごくよかった(ちゃんと、服を残して塵になる)。ただ制約があるのか、他のバンパネラたちは同じ演出で死ねなくて、リフトされてはけたりせり下がったりするんだけど、老ハンナはちゃんと服を残していったのに他の人は丸ごと消えるの!?って微妙に分かり難くて残念。老ハンナの死に方が完璧だっただけに色々惜しい。せめてメリーベルは同じ演出でやって欲しかったなあ(多分、何かしらの物理的設備的な制約があって無理なんだろうけど)。

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・明日海りおのエドガーは完璧ハマり役。そして意外なことに、柚香光のアランもハマってて素敵だった。この二人の関係に焦点が当たってる場面はどこも好き。小劇場公演でやった方が、意外と良かったんじゃないかなあ。ショーアップすればするほど、「ポーの一族」ぽさみたいなのが薄れちゃう気がする(でも大劇場公演ってある程度ショーアップしてくれないと舞台が埋まらないんですよね……)

・最後二人が幸せそうに見えなくもないので、後味が悪くないのも良かった。ギムナジウムの場面に蛇足感がなくもないんだけど、あった方が明るく終われる気がする。

・シーラ仙名彩世が美しくて、でもってこの人声が可愛いので、意外とメリーベルいけたのでは…?ってちょっと思った。仙名彩世がメリーベルなら、もうちょい踏み込んでエドガーメリーベルアランの物語にできたような気がするんですよね。もちろん華優希のメリーベルも可愛くてよかったんだけど。

・鳳月杏が悪い色男丸出しで、あれ?クリフォード先生って表向きはもうちょい誠実そうな(なおかつちょっと芋臭さのある)人じゃなかった……?ってなった。「粋なキスを知らなくて…」とか言ってるけど、とても田舎のプレイボーイには見えない怖い。 なので、ジェイン桜咲彩花が気の毒でとても良かった。好き。あと、原作でどうだったか分からないんだけど、男爵一家バンパネラって気付いたクリフォードが「ジェイン!」ってスッ飛んでいくとこに、女遊びはするけどなんだかんだ言ってジェインのことが好き、感を感じて結構ホッとする。この作品、性格的にマトモな人があまりいないから……ね……

・水美舞斗がすごく美しくて、二幕で長々歌う説明ソングが盛大にアレ(!)。結構歌える人だと思ってたので、不意をつかれておおう…ってなった。でも超美形だからセーフ。

・ホテルの支配人がいい声。多分和海しょう。多分。

・アラン母が花野じゅりあなのがすごく良かった。落ち着いた美貌と、溢れ出る「女として現役」感。好きだわ。

・フィナーレの男役群舞が死ぬほどオラオラしてて、すごく楽しかった。ポーの一族ぽさはあんまりないけど、ああいうの大好き。あと、デュエットダンスの衣装が素敵。

・貸切だったから、拍手が薄くてそこはちょっと残念。

・そういえばパンフレットが物凄く凝ってた。日本物ではないのに、謎のこだわり(?)で右開き/縦書き。綴じ込みピンナップ付。小池修一郎の挨拶が気合入ってて、念願叶ったんだなあ、と(萩尾望都の許可が三十年出なかったのではなくて、エドガー役者とポーの一族が出来る時代を待ってた、みたいなニュアンスだったけど)。あと、萩尾望都のコメントが意外と文章書き慣れている人のそれで、面白かった。

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そういうわけで、なんだかんだ文句はいいつつ楽しかった。チケットが確保できたら二回目行こうかな(無理だろうな……)って感じです!

 

2017年のタカラヅカ費用まとめ

2016年10月からわりと本気の家計簿をつけ始めた結果、2017年のタカラヅカ費用が1円単位まで明らかになったわけですが、これが結構面白い(そしてちょっと恐ろしい)ので、ここにもメモとして残しておきます。体感だけでいうと、ここ五年くらいで一番宝塚にお金を使った一年でした。

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宝塚に関する出費の合計:420,961円

遠征以外の交通費を含んでいないので、それを入れると45万くらいは使った計算。まあ、趣味に使う金額としてはけして少なくないですけど、常識外れなほど多いわけでもないかなあ、と。宝塚という趣味は、あまりかたちで残らないから楽でいいなと思いました(マンガとか小説に似たような額を突っ込んでたときは、部屋に書籍タワーが乱立して(処分が)大変だったしストレスでしょうがなかった)。

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チケット関係:264,410円

28回(内、中継3回)見て、この金額。「基本的にSS席ですのホホホ」みたいなバブリーファンというわけではなくて……非合法な手段(!)でチケット確保することが多々あったからです……(ごにょごにょ)。来年以降はもうちょいチケット取りの段階から気合入れると思うので、同じくらいの回数見ても費用は下がるんじゃないかなあ、と。来年はトップの退団もなさそうだし!!

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スカイステージ:37,452円

単純に、3,121円×12ヶ月分(スカステのためだけにスカパー加入してる民)。

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グッズ関係:100,959円

え、グッズに10万も使ってたの!?、って我に返ったんですが、半分以上は朝夏まなと関連のDVDです(「Special DVD BOX」「TOPHAT」「Amotion」「翼ある人びと」「神々の土地/クラシカルビジュー」「A☆LIVE」)。あとは、雑誌の類とか舞台写真(とそれを整理するアルバム用品)とか、音楽配信とか。来年は多少減る……いや、減らないかな……まだDSとかラストデイとかスカステ集とかあるから……(買うのか)(買うよ)。

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遠征関係:18,140円

東京往復一回分(行きは飛行機/帰りは新幹線)。新幹線が台風で四時間くらい遅延したので特急料金が払い戻しされて、結果的に結構安く上がった模様。有楽町駅のみどりの窓口で新幹線のチケットを買ってると、前の人も横の人も関西までのチケットを買ってたので、「お仲間かな?」って思いました。

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来年は30万円くらいの予算でまったりやります。多分。

 

2017年のタカラヅカまとめ

月組大劇場公演「グランドホテル」「カルーセル輪舞曲」/0回

今年の、「見に行かなかった私はホント頭おかしかった」賞大劇場部門受賞作品。満場一致。ちなみにnot大劇場部門受賞作品は宙組「Amotion」です(ホント頭おかしかったですね!)。BD借りて見たんだけど、自分でも買おうかなあ、って悩み中。

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宙組大劇場公演「王妃の館」「VIVA!FESTA!」/1回 ◇2/11

仕事とチケット手配でしくじって、泣く泣く立ち見で一回だけ見たんだけど、芝居・ショーともにいい作品で、立ち見(しかも二列目)でも全然辛くなかったことに救われた。田淵大輔ってもしかして結構期待していい演出家なのでは……?

すごく無遠慮に真風ルイの過去を詮索する朝夏右京の振る舞いに笑いながら、「でもちょっとどうなのそれは」って思い始めたあたりでちゃんとルイが怒るので(そして朝夏右京が猛烈に凹むので)、ちゃんと考えてある作品だな(デリカシーのある脚本だな)、と。まあ、クレヨンの扱いとかオールドミスのくだりなんかはすごく前時代的ではあったんだけど。でもこのくらい前時代的にやった方が、それこそ「ギャグ」になるのでいいのかも。個人的には、「今時これは古過ぎでは」って笑えたので。

実咲凜音はこういう、一人で空回っているような役が似合うし、その奮闘している姿を愛おしいと思わせる人なので、すごくハマリ役でした(作中で彼女をシャカリキツアーガイドって評してたのは、朝夏右京だっけ?)(適切な表現過ぎる)。ただまあ、ダブルブッキングツアーを目論むほど悪い人にも、(それがバレないと思うほど)楽観的な人にも見えないのは確かなんだけど。

朝夏まなとの台詞回しが個人的にすごいツボで、「己の才能が怖い」とか「イケる」とかでドッカンドッカン笑いを取ってて、いやあ、芝居うまいなあ、と思った。なんか分かり易い、派手さのある「上手さ」では全然ないんだけど、さりげなく上品に上手い。好きなので贔屓目入ってるかも。

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星組大劇場公演「THE SCARLET PIMPERNEL」/1回 ◇3/31

安蘭パーシーが「癖のある切れ者」で、霧矢パーシーが「真面目で不器用」だとしたら、紅パーシーは「おちゃらけているけれど人情家」。これまでのパーシーの中で一番、相手に寄り添おうとする(=相手の苦しみを我がもののように感じる)パーシーで、そのせいで貴族の「格」みたいなものがちょっと欠けてしまったきらいはあるんだけど、これはこれで私は結構好きです。紅パーシーは見た目に貴族感があるから、どっちにしろ庶民には見えないしね(顔芸激しいからオペラで見ると、「貴族とは……?」ってなるけど(!))。歴代パーシーに比べると歌は格段に落ちるので、そこはちょっと辛かった(まあ、相手が悪過ぎる)。

礼真琴のショーヴランはとにかく、「礼真琴ならこのくらい当然できる(してくれる)はず」という勝手な期待を裏切らない出来で、それだけに想像通りといえなくもないのが損なところだよなあ、なんて思いもしながら見てたんだけど、「栄光の日々」の後、「騙されていた」ことに気づいたショーヴランが急に冷やかになったあたりで、グッと礼真琴のショーヴランらしさ、みたいなのが出てきて、私の勝手な予想なんぞはそこで現実に完全敗北した。めちゃくちゃ良かった。いつか礼真琴のパーシーが見てみたいなあ(持ち味的にトート・ファントムよりはパーシーだと勝手に思ってる)。

あとは、ロベスピエールがちゃんと「スターの役」になってた。七海ひろきは色々うまい人ではないんだけど、舞台の上だと妙に目を引くし、ロベスピエールの歌の曲調もあってか、「お、かっこいいぞ」→「歌もいいぞ」→「ロベスピエールいいぞ!」って感じですごくよかった。

初演は私の宝塚初見(かつ、私をタカラヅカファンにした記念すべき公演)なんだけど、立樹&涼コンビの役を、壱城あずさと天寿光希がやってるというところに色々と感慨深いものを感じた。思えば2008年も随分遠くなりましたねえ(と、一端のタカラヅカファンぶってみる)。

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雪組大劇場公演「幕末太陽傅」「Dramatic "S"!」/0回

友の会で全滅し、小柳奈穂子だしサヨナラだし一度くらいは見なきゃ……ってチケット算段しようとしている内に、いつの間にか公演が終わってた(!)。

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花組大劇場公演「邪馬台国の風」「sante!!」/2回 ◇6/3・24

「sante!!」は個人的に2017年のNo.1ショー。芝居は久々のアレ。

いやでも、ここで久々の、っていえるのが結構嬉しかったりする。「邪馬台国」の前の超ド級って「NOBUNAGA」まで遡れるのでは?(「桜花に舞え」とか「ケイレブ・ハント」もややアレではあったけれど、全然超ド級ではなかったような記憶)。まあ、私的五大発狂芝居(「アンドレ編」「ソルフェリーノ」「愛のプレリュード」「仮面の男」「誰がため」)には全然及ばないんだけど。及ぶ必要もないんだけど。及ばないで欲しいんだけど。

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月組大劇場公演「All for One」/2回 ◇7/23・8/3

オリジナル脚本の小池修一郎にいいイメージが全くなかったんだけど、予想に反してとても面白かった。ちょっと小柳奈穂子がやりそうな感じ(でも小柳奈穂子なら一幕でまとめてショーが付くような気もする)。「宝塚を一度くらい見てみたい」って感じの人を連行するのにちょうどいい演目だったので、しまった、誰か連れて行けばよかった!!ってすごく後悔した。

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宙組大劇場/東京宝塚劇場公演「神々の土地」「クラシカルビジュー」/10回+中継2回
◇8/19・25・9/2・3・9・16・18・24W・(25)・10/22・(11/19)

朝夏まなとの退団+傑作+個人的ツボ、のあわせ技で頭おかしいくらい通った。東京にも行った。この時の私は明らかに狂ってた(でもまあ、幸せだったような気がしなくもない)。上田先生には一度、ガチガチのハッピーエンドを書いてみて欲しいな(でもどこかで「宝塚には演出家がいっぱいいるから、こういう作風(どちらかというと悲劇寄り?)を売りにする演出家がいてもいいと思ってる」みたいなコメントを見た気がするので、期待薄なのかも)(というか、そういうのはショーでするのかしら)(月組ショーもディストピア感あるけど……)。










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星組大劇場公演「ベルリン、わが愛」「Bouquet de TAKARAZUKA」/2回 ◇9/30W

ナチスドイツをお手軽悪役に使う薄っぺらさと、その薄っぺらさで人種差別をマジマジと取り上げちゃうバランス感覚の悪さ(人によってはこれ、致命的なのでは)を除けば、そこまで致命的に脚本が破綻している訳でもなく、原田諒ということを考慮すれば十分大勝利といっていい出来。ただ芝居は一回しか見ていないので、全体的に評価甘め(二回目見てたら粗が目に付いて盛大に酷評してたかも)。あとは、ショーのスペインの場面がすごく良かった。

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花組ドラマシティ公演「はいからさんが通る」/2回 ◇10/8・14

完璧なビジュアル+超特急ダイジェストだけどそこそこ無難な脚本+キャッチーな曲+魅力的なキャラクタ=完・全・勝・利・!! まあ、もうちょい少尉視点にリライトしても良かったんじゃ……?と思わなくもない。

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花組赤坂ACTシアター公演「ハンナのお花屋さん」/1回 ◇10/22

こういう社会派気取った作品が好きじゃないのでどうも評価できない。「ハイスペックだけどヘタレ系美男子」っていう明日海りおのキャラクタは新機軸で良かった(もうちょっと早い段階でそのキャラクタを前面に押し出してもよかったような気はする)。邪馬台国でも似たようなこと思ったんだけど、もうピヨピヨしてた芹香斗亜はどこにもいないんだな、ってアベルで実感した。ちょっと寂しい。

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雪組大劇場公演「ひかりふる路」「SUPER VOYAGER!」/3回 ◇11/25・12/2・10

ロベスピエールでお披露目ってどうなの……?(あんまりよく知らないけど、革命後の権力闘争で(政敵を処刑しまくった挙句)失脚して処刑された人でしょ……?)みたいな前知識で見に行ったら、激しい光を発しながら落ちていく望海風斗がめちゃくちゃ魅力的だったので、「さすが生田大和&ワイルドホーン!!やってくれると信じてたで…!!」って快哉を叫んだ。まあ、脚本的にはちょこちょこ穴があるような気がするんだけど、曲がいいのと望海風斗の歌に力があってオールセーフ。あと彩風ダントンがかっこいい。超かっこいい。 いい男になった。


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月組バウホール公演「Arkadia」/1回 ◇12/2

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梅田芸術劇場公演「タカラヅカスペシャル」/中継1回

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11公演/25回+中継3回(花5回/月3回/雪3回/星3回/宙13回/他1回)

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2016年にも増してまったり進行で終わるのかと思われた2017年。

「神々の土地」という超ド級の爆弾が投げ込まれたことによってシャカリキファンモードのスイッチがON!ガンガン増える手持ちチケット!ガンガン跳ね上がるカードの請求額!!……いやあ、正直、めちゃくちゃ楽しかった(!)。

2018年はのんびりまったりの通常運行に戻る予定。でも来年は来年で年明けから、花組ポーの一族」/月組上田久美子ショー/宙組天は赤い河のほとり」と、ツボにはまったらヤバげな演目が目白押しなのでどうなることやら。

 

梅田芸術劇場公演「タカラヅカスペシャル2017」/中継

とりあえず、宙組コーナーで朝夏まなとの退団を実感してしんみりしつつも、終始ゆるーい雰囲気にニヤニヤできて楽しかった。でも終わって「ああ、楽しかった!」って思った瞬間、ほとんどの内容を忘れてしまった感があるので、一応覚えている(ような気がするけど大分怪しい)ところを中心に、以下箇条書きでテキトーな感想(適当なので何も信用してはいけない)。

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・真風涼帆のトップには何の心配もしてなかったんですが、想像通り立派なトップでした。でも、トップが四人並ぶと「デカイな……」ってめっちゃ思った。いつも朝夏まなとと並んでたし、周り固めるのが宙組だし、で全然意識してなかった。芹香斗亜も宙組の中にいると意外と小さくて(というか大きくなくて)びっくりした(宙組って怖いな…)。

・トップ四人のトークが面子から予想される通りのゆるゆる具合で、思う存分ニヤニヤした。真風涼帆は多分仕切れる人だと思うけど下級生だしお披露目もまだだしで控えめだし、珠城りょうは「いじられ役」に徹するのが己の指名と思ってるところがあるし、望海風斗は「仕切りなさい」って言われたら頑張って仕切る人だと思うんだけど今回は新米トップだからそういうのは免除だし、って思ってる節があって、明日海りおは仕切ろうとしてるのかしてないのか、超ゆるゆるマイペース。で、それがすごく面白かった。あれだけで元は取ったと思える幸せな人間なので非常に満足。紅ゆずるが入るとまた大分空気が変わると思うし、それはそれで楽しみ。

トークの個人的ツボとしては、望海風斗→真風涼帆の「まきゃぜ」呼び(噛んだのかそれとも普段からそう呼んでるのか/超気になる)とか。肩幅ネタでいじられた珠城りょうが真風涼帆に視線を送って、「いや、見ないで私を巻き込まないで」って言われるところとか。明日海りおが「明日(の観客巻き込みコーナー)はあやちゃんだよね!がんばって!!」って口走って、「……今日の16時公演ですからね?」「明日は公演ないですからね!?」って突っ込まれるところ(「明日って文字が見えた気がするんだけどなあ、おかしいなぁ」って言い訳してさらに、「明日海の明日では?」って突っ込まれるオチ)とか。めちゃくちゃ楽しかった!

・明日海りおにショースターの印象が全くなくて、トップ就任当初のショーがやや弱いっていう印象を今の今まで引きずってたんだけど、一幕のどっかでバン!って出てきて歌う姿を見て、いつの間にか貫禄ついてる……!!、ってびっくりした。タカラヅカスペシャルってまあ、基本的に舞台に出てきて歌うだけっていう、一番スター性が試されるノー演出じゃないですか。にも関わらず「スター来た!!」って思ったんですよね。本質的にはショースターの人ではないと思うんだけど、全く不足のない存在感だった。ていうか明日海りおがいつの間にかトップとしても十分ベテランなことにびっくりですよ……。

轟悠は元々声が好きな人じゃないのであれなんだけど、今回は喉が不調だったりしたのかな。びっくりするくらい声が出てなくて、聞いててちょっと辛かった(しかも結構曲数あったので余計に)。

・コンビシャッフルは真風涼帆&愛希れいかの組み合わせが意外と似合ってて、ほほう、って思った。体格的なところが大きいかな。真風涼帆ってあんまり相手を選ばないですよね。逆に、相手を選ぶのが明日海りおだなあ、と。明日海りおって誰と組んでも、「なんか画風(絵柄)が違う……(から合わない(※))」って思うので不思議な人だと思います。好きです(※ 合わないけど、致命的に合わないレベルではなくて、「なんか違和感を覚える程度に」合わないくらいの印象。誰と組んでもわりとそう。羽桜しずくが一番その違和感が薄かったような気がする)

・あの可愛い花組の娘役は誰だ!?、って思ったら、桜咲彩花だった。相変わらず可愛い。

・「マトカ~♪」って歌う彩風咲奈を見て、これが巷の噂のマトカ……!、って思った。マトカが何なのかはイマイチよく分かってません。

宙組は代替わりしたばかりで歌う歌に微妙に苦労した印象あり。「土よ」でデュエットするとは思わなかったので意表をつかれた(でも好きな歌なので嬉しかった。あれ、ドラマチックでいい曲ですよね)。あと、「A motion」の歌を愛月ひかるが歌ってくれて嬉しかった。まあ、しんみりはしたけども(しんみり)。

・「夢をつくってみませんか♪」っていう曲(多分「夢人」)が好きなので、望海風斗が歌ってくれたことに大興奮した。ちょっと歌謡曲ぽさがありつつもドラマチックで、すごく好きなんですよね。好きな割に元ネタが何なのかを知らないんですけど(凰稀かなめが宝塚の名曲CDか何かで歌ってるのを聞いて好きになったの)。凰稀かなめが歌ったのもあのやわらかい声に合っててよかったんだけど、望海風斗で聞けたのもすごく嬉しかった。

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そういうわけで、2017年の宝塚は無事タカラヅカスペシャルで〆。幸せな一年でした。

 

花組ラインナップとかFNSとかスカステージトークとか/CSめも

ラインナップ発表/花組「MESSIAH 異聞・天草四郎」「BEATIFUL GARDEN」

まさかの原田諒なので、なるべく期待値(とハードル)を上げないでおこうと思います……(ていうか、「雪華抄」でノルマ達成じゃなかった、のか……マジか(マジだよ))。まあ、原田諒も星組ベルリンは本人比でまあまあ悪くなかったんですけど。ただ悪くなかった(のにイマイチ乗り切れなかった)ので根本的にセンスが合わないんだなって事実があからさまになっちゃって、どうにもテンションが上がらないんですよね。個人的に。あと、原田諒って作風が頭悪い感じだから、歴史(史実)ものには向かないんじゃないの(グスタフとか、ベルリンのナチス周りとか酷かったじゃん)、って愚痴(ハーレクインでいうところのヒストリカルロマンスくらい雰囲気で流せる芝居やればいいのに)(でもああいうのも意外とセンスだからな……)。

ショーに賭けるしかないので、野口先生には盛大に期待します!

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FNS歌謡際

ハットをピャッて投げるところがかっこよかった、ハイパーかっこよかった(大切なことなので二回言う)。

宙組は背が高いのでTVに出ると一際映えますねえ。宙組・芹香斗亜にびっくりするくらい違和感なかったのが予想通りではあるんだけど、嬉しかった(良くも悪くも、アクがなくてサラッとしてるところが宙組ぽい気がする)。あと、及川光博が凄かった。大体男役と並んだリアル男性って対比の問題で「小汚く」「大味に」見えがちなのに、ちゃんとキラキラしてた。さすが「職業:王子様」な人は違うな……

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スカイステージトーク朝夏まなと・望海風斗」

お互い気を許してるのが色んなところから漏れている(というかそもそも隠す気がない)トークで面白かった。「まぁ様はやっぱり先を行くんだなって」って望海風斗が誇らしげに(!)言ったところでなんかはやくもテンションがピークに達して、以降ずっとニヤニヤしながら見てた。生え抜き原理主義者では全くないんだけど、下級生時代をともに過ごした関係性が秘めてるものってやっぱり大きいんだよなあって(そりゃそうだよ)。この二人がタカラヅカスペシャルとかでトップとして並ぶところが切実に見たかったです(超今更)。

 

雪組大劇場公演「ひかりふる路」「SUPER VOYAGER」/3回目

そういうわけでチケットを無理矢理捻り出して3回目見てきた。初めての上手側なので色々新鮮。大体いつもそう思うけど、二階席から見る方が好きだなあ(前は前なりに、近いってことに興奮するんだけど)

・三回目にして暗黒面に落ちた望海ロベスピエールに哀れさみたいなものを感じてドキッとした。特に至高の存在の祭典の場面。痛々しいんだけど、でも、やっぱり魅力的。望海風斗の声ってパキッとしていて聞き易くて好きだなあ。あと歌に力があるので、「ロベスピエールの語る理想は毒だ」って評されるのがすごくよく分かる。

・ルイ十六世の衣装にもなかったので、斜め線は別にギロチンで死ぬ人限定モチーフってわけじゃなかった模様(単純に革命家には全員ついてるのかも/デムーラン夫人の紺ドレスじゃない方の衣装にはついてたし)。

・ついに処刑台の階段を数えることに成功した。(数え間違ってなければ)十二段だった。十三段じゃなかった。

・やっぱりダントンとロベスピエールの楽しい晩餐の場面が大好き。っていうか、「ジョルジュを呼びましょう」→ジャコバンクラブ→晩餐→処刑までの流れが狂おしいほど好きです。

・ダントンが処刑の場面で「先に行ってるぜ」って言うのがホントに最高ですよね。「次はお前の番だ」とかじゃないのがいいんですよ。ここのダントンにロベスピエールに対する恨みつらみみたいなのが全然ないのがすごくいい。ロベスピエールを止めることが(救うことが)できなかった…っていう悔い(※)はあっても、ロベスピエールに対する恨みも憎しみもない(でもって、デムーランもそんなダントンを理解して処刑台で静かに彼を迎える)。(※ そして、救えなかったことを悔いてはいるんだけど、自分の行動はひとつも後悔してなくて、やりきったぜって堂々としてるのがかっこいい)

・デムーラン夫人の彩みちるがかっこいい!好き!!(けど、ショーだとイマイチ見つけられなくて残念……)

・女革命家たちの場面が相変わらずかっこよかった。舞咲りんいいなあ。

・エレオノールは完璧報われない片思いキャラでちょっとかわいそう。「あなたが振り向いてくれるまで私は耐え忍びます」みたいなところが若干怖い。

サンジュストがイマイチ映えないのって、キャラ的にロベスピエールと被ってるからじゃ…?って今回初めて思った。本質的に真面目で、真面目だからこそ思い込んで突き進むと怖い、みたいな。

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・ショーは、朝美絢と望海風斗の逃避行(未遂)の場面と、めちゃくちゃかっこいい娘役のスパニッシュの場面と、スーツで踊る彩風咲奈センターのところと、アンダルシアが大好き!

・そういえば今回ショーの衣装がどれもよかった。望海風斗って身長ないのに意外とロングコートが似合う。沙央くらま(美女モード)のドレスも良かったなあ(あとここの歌がすごくよかった)。

 

雪組大劇場公演「ひかりふる路」「SUPER VOYAGER」/2回目

二回見ても全然満足できなかったので、三回目のチケットを探し回ってます。まあ、どこにもないんだけど。平日ならどこからか湧いて出てくるんじゃないかしら……?(でも宙組公演中にあれだけ奔放に有給取ったのに? タカラヅカスペシャル中継のために休むつもりなのに? ポーも休まなきゃ見れないよ!?)って、微妙に煩悶中。

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・開幕前に、「あの(幕の)斜めの線は「ひかりふる路」を表しているのかなあ」って言ってる人がいて、「残念それはギロチンモチーフ(多分)」って心の中でこたえたんだけど、「ひかりふる路=ギロチン無双ロード(!)」って解釈すると、色々怖いなって思った(そりゃ確かに、「ひかり(=ギロチン)」は死ぬほど「ふる(=落ちる)」んですけどね(意外と面白い解釈かもしれない))。

・あと、この印象的な斜め線モチーフがタレーラン(とか将軍たち)の衣装には使われてないように見えるので、最終的に処刑死する人だけこのモチーフの衣装なのかしらん、とかってちょっと思った……んだけど、(処刑された)マダム彩凪翔の衣装にも使われてないように見えるので考え過ぎかも(デムーラン夫人のドレスにもなかったような気がするし)。

・「どういう話なんだろう」って身構えてた前回と違って、今回は楽しみ方が分かっているので、最初から最後までとにかく楽しかった。望海ロベスピエールの何がいいって、誰の目にも明らかな「破滅」に突き進む姿が激しい光を発しているところと、ちょっとギョッとするくらいその光に力があるところなんですよね。真面目な人なのに意外と堕ちて行く(破滅に突き進む)姿に「哀れさ」「痛々しさ」みたいなものがないので、すごく魅力的だし見ていて辛くない(というか、「痛々しさ」はあるんだけど、「見ていられないような痛さ」ではない、というか)。感情が爆発するところ(「恐怖なき徳は無力である!!」)に変なカタルシスと爽快感があって、ワクワクしながら見ちゃった(※)。

(※ どちらかというと、開幕早々のサンジュストの演説(「戦場ならば敵は打ち倒すのみ。我らの敵に「裁判/法律」は不要である」(大意)のところ)の方が恐怖政治とカルト感が溢れててゾッとするし、そういう風に演出されているような気もする。ルイ十六世の処刑の場面にロベスピエールが立ち会わないのってイメージ的な配慮なのでは……?/とか思ったけど、「君のあの演説は素晴らしかった」みたいな台詞があるから、単純にロベスピエールさんをせり上がりで登場させたかっただけなのかしら……/弁護士があの演説を肯定しちゃいかんでしょ……って思うのは現代人の感覚なんですかね(正直開幕だけでいうとジロンド派に肩入れしちゃうゾ))

ロベスピエールが暗黒面に落ちてからが勝負!みたいな脚本なので、そこに至るまでが退屈になってしまうとアレなんだけど、曲に力があるのとマリーアンヌの存在がそこを埋めてくれるので、やっぱり最初から最後まで楽しかった。二回目でも「マリーさんデレるの早すぎでは?」とは思うものの、家族を失った悲しみをとりあえずロベスピエールにぶつけているだけ(=明確な憎しみがあるわけではないし、復讐対象でもない)って背景を呑み込んで見ると、そこまで違和感はない。でも、マリーアンヌってやっぱり難しい役だと思う。

・彩風ダントンが相変わらずかっこよかった。役もかっこいいし、彩風咲奈もかっこいい。「ジョルジュを呼びましょう」から説得空しく処刑までの流れがホント、文句のつけようがないくらいに完璧。あと「ジョルジュを」って言い出すのがデムーラン夫人なのもいいよね。声が凛としていて、すごくかっこいいの(彩みちるの名前をやっと覚えました/弥彦してた人ってのは分かる)。沙央デムーランはちょっと「ヘタレ」な役どころ(で、奥さんが凛々しい)なんだけど、そのデムーランが処刑台で静かにダントンを迎えるところが、泰然としていて、運命を受け入れてなお前を向いていて、めちゃくちゃかっこよくて好き。

雪組って全体的に歌のレベル高いのかなあ。メインメンバーに歌が明らかにアレな人(ハードルは相当低い)が少ないような印象。一部の難しそうな歌(を議員たちがソロで歌い継ぐところ)が苦しく聞こえた以外は、ロベスピエールの下宿先の娘さん(エレオノール)くらいしか、アレ?ってならなかったんですよね(エレオノールさんは可愛いのでちょっとくらいアレ?ってなってもセーフ)。

・「普通に出会って/結婚して/子供ができて/家族になる/そういう未来があっただろうか……?」「いやそんな未来はなかった/そうであれば私たちは出会うこともなかった」(大意)っていう最後のやり取りで盛大に泣いた。個人的にはここで一番、涙腺が刺激されます(ダントンの処刑は見せ場なので泣くというよりむしろ滾る)。

・前回に引き続き、階段の段数を数えようとして挫折した(やっぱり十三段なのかなって気になってる)。

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・前方席だったせいか、周囲のポンポン所有率に困惑する幕間(!)。

・二階席じゃなかったので、二階席の客席降りが見れなくてちょっぴり残念(二階席にどこかの高校の貸切が入っていたので、客席降りの時に盛り上がる声がかすかに聞こえて面白かった)。二階席の客席降りってびっくりしますよね。初めて見たときはめちゃくちゃ驚いたし興奮した(でも当時(百周年前)の二階席は土日でも空席が多かったので、胸も痛かった)。

・歌詞は二回目でも全然慣れなくて相変わらず恥ずかしい。ショーの歌詞(というか、役ではなくジェンヌそのものとして歌ってるシチュエーション)での、一人称「オレ」ってちょっと恥ずかしいじゃないですか(ガチファンだとそうでもないのかなあ)。ストーリー性がある場面なら別に何とも思わないんだけど。

・あと、若手のジャニーズみたいな場面の映像使いに背中のムズムズが止まらなかった。踊ってる男役はめちゃくちゃかっこいいのに、最後に文字出るあたりとか最高にダサくない……? 演出家的にはあれがミソなの……?

・でもそれ以外は大体全部好き(雑な結論)。

・アンダルシアに憧れて~♪がすごくいい曲なので、望海風斗でもっと聞きたかった。「誰か彼女に伝えてくれよ♪」のところのドラマチックさがとにかく完璧。いい歌だなあ。

・あとその一つ前の場面、ここの彩風咲奈がめちゃくちゃかっこいいんだけど、同じくらい周りの娘役がかっこよくてワクワクする。こういう、黒と赤のフラメンコみたいな衣装で、髪に赤い花を飾って扇を持って踊るのっていいですよね!すごくいい!! 歌もかっこいいし、娘役がオラオラしてるのがホント好き。もっとやって欲しい(※)(でもって、そんなにかっこいい娘役を周囲にはべらせて(はべってない…か…?)踊るっていうのが彩風咲奈の男前度を上限まで上げてる/娘役が寄り添ってくれるのも好きだけど、凛々しく並び立っているのはもっと好きです)。

(※ アパショナードの娘役群舞(階段降りてくるところ)とかね/あれは城咲あいのかっこよさに心底痺れた/あの瞬間、月組の三番手張ってたといっても過言じゃない)。

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そういうわけで、三回目のチケットを探す旅に出ます。年明け東京までWSS見に行くついでに、雪組も見てこようかなあ(どっちもチケット確保が死ぬほど大変そうだけど……)。

 

月組バウホール公演「Arkadia」

初めての演出家なので、期待できる人だといいなあとか思いながら見てきたんだけど、イマイチ判断に困った。複雑な筋立ての話ではないので「明らかな破綻」はないんだけど、心情的なところがきちんと書けてるかっていうと「?」だし、「魅力的なキャラクタ」がいないので、下級生が全然分からない人間からすると、わりと退屈。暁千星のダンスだけで保ってるようなところがある。キャラクタ立てが弱いのって宝塚の演出家としては致命的じゃないですか。「誰か分からないけどあの役の人が良かった!」が今回全然なかったのです(※)。バウでそれって結構珍しい(※というか、どちらかというと好感を抱けない登場人物ばかりでちょっとアレな感じだった。フェリとかフェリとかデジレとか。なのに後半それで謎の友情ドラマ始めるから余計引っ掛かる)。あと、台詞回しに正塚晴彦臭があるので、あの独特の言い回しが苦手な私はちょっと辛かった(やたらと「〜よ!」って言うの、関東の人だと違和感ないんですかね…?)。

 しかしまあ、暁千星はかっこいいし、ダンス踊ってるところにのびのびした解放感あってすごく良かった。二十歳くらいの役なので若いのも違和感がないし、それが可愛いしかっこいい。変にハードな役柄で大人ぶるよりこのくらい若い役の方が、色々積んだ経験で出る余裕、みたいなのがどこか翳りを帯びて大人びた風になってていいなあ。あと、右頬に結構大きい傷跡があったんだけど、あれ、話に全く絡まなかったし、色もつけてなかったから舞台メイクじゃないのかな。それが妙に魅力的だった。

 ダリアはスター!って感じで押し出される役なので、難しい役だなあ、っていう印象。どうしても「スター格」的なものが足りないように見えちゃう。可愛いし、下手では全然ないんだけど。フォルスタッフのジュリエットなのかな? あの時はめちゃくちゃ可憐なジュリエットに見えたので、こういうはすっぱな役が似合わないのかもしれない。

脚本的に言うと、もっと完全に年上に振り切った役(全盛期を過ぎたかつてのショースターとか)にした方が面白かったのでは、とか思ったり(個人的に、大人の女性と少年を残した青年のラブロマンスを見たいという欲望を抱え続けてるので……)

フェリが二番手役なんだけど、イマイチいいキャラクタとは言い難くて損な気がする。役者ではなく脚本の問題 として。いきなり歌い出したあたりで、「なんで急に歌い出したのこの人、二番手アピール!?」って思わせるあたり、色々失敗してる……(ダリアを挟んだ三角関係にすらなってないので)

あとは……

・探偵役が下級生の割にうまい(でもまあ、この役もイマイチ意味のない役でもったいないんですけど……)。一応語り手なんだけど、なんで語り手というポジションをおいたのかが最後まで見ても理解できなかった(ミネットは後に……みたいなオチがあるかと思ったらないしね)。 

・白雪さち花はさすがにうまいし、ジャン=ポールの光月るうが超いい声。

・ドミニクの青いワンピースが可愛かった。あと、使えないオーナーにイライラしてるのがよく分かるあたりの演技好き。

・演出家的には「これがやりたいの!」っていう熱意がどこにあるのかが分からなかったのが一番残念。

雪組大劇場公演「ひかりふる路」「SUPER VOYAGER」/1回目

※注/世界史やってないのであの辺りの歴史背景全然よく分かってません!予習しない派なので大して調べてもいません!!「ロベスピエールってことは…処刑エンド?」くらいの知識で見てます(やったね予想大当たりだよ(!))

ファーストネームで呼び合われたら誰が誰だか分かんねーな…って開幕五秒(嘘)で悟ったくらい訳分かんなかったんだけど、脚本家はあんまり悪くない…かな……多分、フランス革命に関する宝塚ファンの知識に多大に期待してる気がする(そして私はその期待を盛大に裏切ってる)(しゃーない)。でもまあそれでも大筋のストーリーは把握できるので大丈夫。

序盤はどういう話になるのかが掴めなくてちょっと入り込めなかったんだけど、「あ、望海風斗(違う、ロベスピエール)が闇落ちする話ね」って分かったら俄然面白くなった。サンジュストという救済措置はあるとはいえ、ここまでガチで主人公が粛清繰り返すと思ってなかったので、ちょっと意表を突かれた。でも望海風斗だと持ち味(※)のせいか、極悪人感がそれほどないので抵抗なく見れる(※ わりと痛々しいくらいに生真面目感がある人だから。あと、歌に力があるというのも大分寄与してるような印象/ミュージカルにおける「弁舌が立つ=歌が上手い」の法則の力って絶大じゃないですか)。

彩風咲奈のダントンがとにかく終始かっこよくて美味しかった。ギョッとするくらい色男だし、飄々とした男前。「口説くのはいい女に対する礼儀だぜ」とか言いそう(邪推です)。でも愛妻家ってあたりがベタなんだけど、すごくいい。彩風咲奈って舞台化粧にちょっとむくれた少年感があると思うんだけど、それが今回、少年の無鉄砲さが残る男、になってて良かった。説得の場面で望海風斗と相対して、全然押し負けてないことに感動さえ覚えた。いやあ、立派に二番手してる!

真彩希帆は多分、個人認識して見るのは初めてかな。とにかく歌が上手いし、演技も悪くないし、可愛いし、老けて見えない人で良かった。ただ、マリーアンヌという役は意外と難しいのかしら、っていう印象。結構早い段階でナイフチラつかせなくなるので、マリーさんデレるの早すぎでは…?とか思ったんだけど、最後の場面では「今でもあなたを恨んでる」みたいなこと言うんですよね……何か見落としたのかもしれない。あと、折角歌が上手いのに、キャッチーなナンバーに恵まれてないのが勿体ない。盛大に歌い上げて欲しかった。

朝美絢は相変わらず美しい。でも意外とこういう病んでる系が得意!って持ち味の人ではないのかな。めちゃくちゃ病的なロベスピエール信者の割に、ヤバさよりは健気さの方が前面に出てる感あり(まあ、その健気さってヤバさと紙一重のような気もするけど)。

夏美ようは台詞声が篭ってるので、こういう役(状況説明役を兼ねてる)だと他の人で見たかった。組内にできる人が絶対いると思う。

あとは、女たちの場面が結構印象的。わりと全編「情けない男たちと性根の据わった女たち」感があるんだけど、一番あそこでそれが出てる。情けなく逃げようとする男の中で毅然と立つ彩凪翔(美人モード)とか、微笑みさえ浮かべてダントンを迎える、沙央くらまの妻(役名も中の人も分からないのが惜しい)とか(あの場面は沙央くらまも彩風咲奈もかっこよかったけど)。

ジャコバン派ジロンド派カラーギャング(というかロミジュリ)みたいに色分けてくれたら分かり易くて個人的には嬉しかったかなあ。皆似たような衣装なので、下級生どころか中堅どころも顔が怪しい人間にとっては、個人認識が盛大に怪しかった……辛子色の服を着たイケメンは永久輝せあでいいんですかね……?

大階段を処刑台に見立ててそこを上っていく望海風斗で幕なのでは、って予想してたんだけど、ちょっと外れた。シェイクスピアほど盆回ったり派手な演出はなかったのはちょっと残念。でも処刑(というかギロチン)の見せ方はよかった。そういえば、最初にルイ十六世が上っていった階段を最後ロベスピエールが同じように上っていって終わる、んですね。いいですね。

ショーの感想は以下、箇条書きに。

・歌詞がこっ恥ずかしい。あと映像の使い方(というかセンス)もちょっとこっ恥ずかしい。 

・サヨナラに比べてお披露目ではそれほど内輪ネタを繰り出すイメージがなかったので、随所で押し出される「望海風斗お披露目!」感にニヤニヤした(そもそも、トップの名前を織り込んだショーって、所謂お約束的に言うと退団作品を連想するじゃないですか)

・朝美絢がハイパー美女モードの場面が好き。まあ、宝塚のお約束的によくある「女(たまに男)を取り合っての刃傷沙汰」の場面なんだけど。逃げようとした二人に帽子を渡してくれるあたりの小芝居がきっちりしてて、グッと来た。あと沙央くらまがめちゃくちゃ美女。好き。

・彩風咲奈って踊れる人なのね!って嬉しい驚き。あと、サンバ衣装の場面でちゃんと「二番手用」みたいな色違いの衣装を着せてもらってるのがちょっと嬉しい。

・野口幸作って藤井大介に勝るとも劣らないくらい男役の女装が好きなのでは…ていう疑惑を抱いた。サンバの場面でダルマ衣装着てたのが永久輝せあってことでいいんですかね……?

 

宙組東京宝塚劇場公演「神々の土地」「クラシカルビジュー」/中継

宝塚千秋楽中継のカメラワークがあまりにも良かったのと、あれがほぼ初めての中継だったということで、これくらいが普通なのかな?とか思ってたんだけど、とんでもない勘違いだった。東京千秋楽中継のカメラワークはびっくりするくらい色々怪しかった。「ここでなんでそこなの!?」「ちょっと振ったら二人とも入るのにどうして入れないの!?」「え、入れないだけならまだしもそれで慌ただしく切り替えるの!?」「何なのその謎のバストアップは…」「今カメラの切替ミスりましたよね!?」のオンパレード。あれだ、観劇五回目くらいの細かいとこ確認するためにオペラ覗きまわる私の視界だこれ(!)。全然オペラ定まってないし、大事なところちょいちょい見落とすし、たまにオペラ落とすアレ。

まあ、最後の公演を見せてもらえるだけで満足なので、今回に関しては全然私自身としてはいいんだけど(宝塚千秋楽のカメラワークだったら…とは何度も思ったけど)、「退団のイベント」ではなく、宝塚の舞台のライブビューイング、として売り物にするなら、最低限の中継のレベルは必要なのでは…?ってちょっと思った。最近のライブビューイング推しって、「生はハードル高いけど中継なら」みたいな人を狙ってるんだろうし……(違うのかな)。

ちょこちょこ思ったことだけ箇条書きで。

・ドミトリーがすごく若くなってるので、宝塚での最初の方と比べると結構別人感があった(※)。お互い愛し合ってるし、そのことを分かってもいるけど、(自分もイリナも)愛ゆえにすべてを投げ捨てることができない、という事実にどこか苛立ちを覚えてるように見える。年齢の分だけ、イリナの方が覚悟の完了が早かったのかなあ、っていう印象。

(※ 宝塚のドミトリーはラスプーチンにドン引きしてるんだなって感じたんだけど、千秋楽のドミトリーはむしろ嫌悪感が強く出てた気がする。あと、アレクサンドラに向ける眼差しが明らかに好きじゃない/気に入らない人に向けるソレ→だから、ラスプーチン暗殺に対しても積極的に見える)

・「あなたが結婚する前の名前を一度呼んでみたかった」の後にハハって自嘲するのがすごく新鮮で、「あれ、この二人ってもしかしてプラトニックなまま終わったのかしら」って初めて思った(これまでは過激な「最後に結ばれたに決まってるだろ」論者でした)。面白い。

・ 謎カメラがちょいちょいジナイーダさんの顔を抜くので、「この人ホント性質悪いな」ってあらためて思った。「欲望に正直になりなさいよ」って迫りつつも、ドミトリーとイリナがどう対応するかっていうのを冷徹に観察してる風なのが最高に怖い。ジナイーダ的には、「愛し合ってるけど愛だけに生きられないドミトリーとイリナ」が至高なの…?(なんだかんだ二人が結ばれてドミトリーが幸せならそれでいいよ……って言いそうなユスポフくんとは対照的ですね…)

 ・最後の銀橋の歌になんかグッと来た。あそこは一瞬、ドミトリーじゃなくて朝夏まなととして見てしまうようなところがあった。退団なんだなあ、って。まだあんまり実感があるわけではないんだけど。

・サヨナラショーはやっぱり面白かった。しんみり……できない(!)。いいサヨナラショーだなあ、ってあらためて思った。翼ある人びとのデュエダン→メランコリックジゴロ→王妃の館、の流れが狂おしいほど好き。

・カーテンコールは三回目くらいからぐだぐだで、朝夏まなとがいつもの調子でパカって口を開けて笑う姿が見れて嬉しかった。あと、「今まで支えてくれてありがとう」って言われて言葉に詰まって「そんなことないですぅ…私の方が…まぁさまぁ」ってなってる真風涼帆がこれ以上ないくらいゆりかちゃんで胸が熱くなった。

・そういうわけでいい千秋楽でした。カメラワークに不満は言いつつ、ライブビューイングしてくれることには感謝しかないです。